自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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遭遇4 〜侑〜

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 何かをジャンパーの内ポケットに入れながら、黙ったまま純が近づいてきた。年上なのは分かっているけど、心の中では「純」でいいや。

「何?」

 目の前に立った純に話しかける。うん、自分でも素っ気ないと思う。でもここで声をかけられる意味が分からない。友だちでもないし学生でもない。何なのコイツ?

「飯、買ったのか。」
「うん。」
「どこで食べるんだ。」

 目の前で見ると、本当に背が高い。和樹より5㎝ぐらいは上だな。でも、この髪型は無いわ。パーマをかけてるの? それとも天然?

 中央より少しだけ右よりから、ウェーブがかった髪が顔を縁取り後ろに流れている。耳の後ろからもところどころ撥ねながら首の後ろにかかっていた。綺麗に整えられた髭。少しだけ目尻が上がった二重の目。太くて整えられた濃い眉。まぁ、顔は整ってると言えなくもないかも。

「F棟。」
「1人?」
「うん。何か用?」

 何をこの人は言いたいわけ? 自分でも声が冷たくなっているのが分かる。前から吹いてきた風が微かな煙草の香りを運んできた。

「アンタ、タバコ吸ってたでしょ? 大学《ここ》は敷地内全面禁煙のはずだけど。」

 自分の言葉に、純が右手を口元に持ってきた。このしぐさ、この前会った時も見た。

「午後は?」
「ご飯食べたら、図書館行って帰る。」
「…………。」

 自分の質問には答えてもらえなかった。それでもいいけど、何か言いたそうに髭を撫でているのをやめてくれない? そう思いながら口を開いた。

「じゃ。」
「送る。」

 純との声が重なって、何を言ったのか聞き取れなかった。

「何?」
「送るよ。図書館には必ず行かなくちゃならないのか?」
「必ずってわけじゃないけど……。」
「じゃあ、この前の駅まで送るよ。俺のトラックで食べろ。新商品のジュース奢るから。」

 何故純に送ってもらわなくちゃならないのか分からないけど、「新商品のジュース」という言葉にちょっとだけ心が惹かれた。確かこの人と初めて会った時の台車には、お茶のダンボールが積まれてた。

「襲わない?」
 一応聞いてみる。下心あるとは思えないけど、知り合ったばかりだしね。

「ば、バカやろっ! お前なんか襲うかっ! 俺は男専門だっ!」
 顔を真っ赤にして焦った物言いに笑いが込み上げた。何だか、可愛いとこあんじゃん。

「あはははっ! 声が大きいからっ。じゃお願いしまーーす。車どこ?」

 憮然とした純の後ろに続いて歩き出す。手に持ったレジ袋の中の麻婆丼とお茶が触れ合って、カシャカシャと陽気な音を立て始めた。

 
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