自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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遭遇4 〜侑〜

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「いただきまーーす!」

 結構大きなトラックだった。助手席に上ってみると見晴らしがいい。今までに友だちの車に乗せてもらったことはあるけど、全然違う。

「ほら、ジュース。冷えてはいないけどな。」
「うわっ! ラ・フランス入りの天然水じゃん! 見たの初めてっ。」
「だから新発売って言ったろ?」

 自分が膝の上でお弁当を広げている間に運転席のドアから投げられたジュースで一気にテンションが上がった。少し遅れて純も運転席に収まる。純がエンジンをかけると、わりと派手な音がした。

「ここ、煙草臭くないね?」
 もらったジュースをフォルダーにセットして聞いてみる。さっきは純から煙草の香りが漂ってきたと思ったんだけど、違った?

「中では吸わん。それに、俺は依存はしてない。」
「へぇ。じゃあどうして吸っているの?」

 やっぱり吸ってたのはこの人。煙草は父さんがよく吸ってるから、依存性が高いものだっては知ってる。結構匂いにも慣れてる。だからといって吸ってみようとは思わないけど。

「……何となく。」
「それが依存症なんじゃないの?」

 そう言い捨てて、スプーンを取り麻婆丼に取りかかる。お腹が空いた。ネギとニラと一緒に炒めたそれはチョッピリ辛くて、いくらでも食べられそうだった。

「お前、旨そうに食べるな。」
 麻婆丼を味わっていて、純のことを全く気にしてなかった。大学の敷地から道路に出たところで、徐に純が口を開いた。

「あっ、純はお昼まだだった? ごめんね? 全然気にしてなかった。」
「俺は食った。懐かしい学食で。あそこは安くていい。」

「……そっか。良かった。あそこの鯖の味噌煮が超絶好き。じゅ、あ、あなたは何を食べたの?」

 いけない、自分「純」って呼び捨てにしてた? ヤバイじゃん。全然警戒してない。仲のいい友だちみたいに感じてた。

「『純』でいいよ。食ったのは三食揚げ定食だな。今週の限定メニューって書いてあったぞ? 唐揚げとトンカツとカニクリームコロッケがついてた。500円。」
「へぇ……。」

 麻婆丼をまた掬い上げながら、純の横顔を見る。純は大きなハンドルに両手を乗せながら前を見て運転に集中しているようだった。左の耳に……ピアス痕。透明な器具で目立たないようにしてるけど、穴が塞がらないようにするためのもの。この人、ピアスなんかもするんだ。

 自分が学食で食べるのはお魚中心。自分は魚に触るのが苦手だから、アパートで料理をする時も絶対に買ってこない。食べるのは好きなんだけどね。だから、学食で焼き魚がある時には必ずそれを食べる。鯖の味噌煮は貴重。あまり出ているときがないんだ。

「ん? 俺の顔に何かついてるか?」
「なっ、何もついてない。」

 横目でチラリとこちらを見た純が呟いた。ちょっとだけ恥ずかしくなって、山盛り掬い上げた麻婆丼を口に入れる。それからは、麻婆丼を食べることに集中することにした。

 
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