自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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 ー純ー

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「着替えてくるから待っててくれる? あ、手を洗いたい時は洗面所が廊下の……。」
「分かってる。」

 ドアを開けた途端にピーピーと警告音が鳴る。先週はこれで慌てた。リビングのドアを開けてすぐに機械があり、スティックはその上に乗っていたから助かったが。でもスティックを置きっぱなしって、警備システムを使う意味があるのか?

 先週家探ししたおかげで、洗面所とトイレ、キッチン周りなどは全部把握している。侑に促されて洗面所へ行くと、先週とは違うタオルが掛かっていた。

『この前は、茶色一色だったが。』
 今日は茶色に薄茶のドットが飛んでいる。こんなタオルを使うところはやはり女なのか。

 遠慮なくそのタオルで手を拭き終わってリビングへと行くと、まだ侑は寝室に籠ったままだった。冷蔵庫の前に置きっぱなしの買い物袋の中から、ジャガイモを取り出す。ピーラーで皮を剥き終わり、まな板を出して包丁を手に取ったところで侑が現れた。

「遅い。」

 何をしていたのやら。着替えたとも思えない。何か重要なものでも隠していたか? 自然と目を前に向けると、洗濯物が壁に掛かっているのが見えた。

『洗濯物でも片付けていたのか。』
そんなことを考えているうちに、侑が慌てた様子でキッチンへと回り込んできた。

「ごめん! 自分がやるよ?」
「人参と玉ねぎの皮剥いて。そして他のものはしまっとけ。」

 魚が心配だ。買ってから結構な時間が経った。しまい終わったら料理をバトンタッチ。でも、そう思った通りにはいかなかった。

『ニブイ。』

 玉ねぎの皮むきに何時間かける気だ? 出された使いかけの人参を皮を剥いて刻んでも一向に玉ねぎが手渡される気配がない。肉は小間切れを買ってきたから刻む必要もない。
 
「玉ねぎ。」
「待って。純、速いから。」

 焦った様子の侑の言葉に、即座に決心する。俺が作った方が早く飯にありつける。

「ほら、かせっ。」

 玉ねぎを奪い取り、侑の目の前で皮を剥いて見せる。「魔法みたい。」なんて言ってるってことは、1人暮らしをするまではろくに調理なんてやったことが無かったに違いない。

 そこからは俺の独壇場。侑には任せておけない。鍋を出させて油を敷き、微塵切りにした玉ねぎを炒め始めた。飯はたくさんありそうだ。一気に炊いて冷凍しておくのが侑のやり方。でも1つ1つがとても小さかった。

 カレールーを出させて、後は座ってろと指示をする。侑は少しだけ不満そうにしながらもソファに座り、やがて熱心に本を読み出したようだった。

 
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