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風呂
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「何でもない。風呂に入る……覗くなよ?」
俺の言葉にリビングの隅から2号が足元にやって来た。
『ご一緒できれば安心なのですが。』
「ばーーか。誰が入れるか。1時間は入ってるから、ドアにぶつかって急かすのもなし。」
足元に屈んで、愼2号を撫でてやる。2号は触手を回して俺の足をくすぐり始めた。
『……承知いたしました。』
しばらくすると満足したのか、触手をクルクル回しながら、キッチンの方に回り込んで行った。白く平な上部にマジックで書いた目が可愛い。ゲームのキャラクターみたいだ。でも、見ているのは真ん中に開いた小さなカメラらしい。あとは側部にもあると聞いたが、その時には全然分からなかった。
「零してないよ。」
後ろから声をかける。スティックコーヒーの粉を零してないかと点検に行ったのだろう。何も言わない2号をそのままにして、着替えを取るために寝室に向かった。
「……ん、ふっ……。」
これだけは愼に知られたくない。愼にはいつも通り、スピーカーでハードロックの音楽を流してもらっている。聞こえないはず。出しっぱなしにしたシャワーから、風呂場一杯に湯気が充満していた。
『……米田さん。』
米田さんには彼女がいた。気軽に話せる相手ができて、ちょっとだけ期待していた俺が馬鹿みたいだ。
「……ん……。」
誰にも明かせない自分の性志向。俺は物心ついた時から、好きになるのは男ばかりだった。女の子はいくらでも寄ってきた。特に高校の時。俺の名前と育ちが分かると、次から次へと。だから男子に遠巻きにされていたっていうのもあっただろう。今だって……。
身体は快楽を拾っても、自然に涙が出てくる。大学でも同じ。変な香水を振りまいた厚化粧の女《こ》。一見大人しそうな女の子でさえ、俺が断ると本性を表す。
『どれだけ理想が高いの?』
理想なんか高くない。ただ、一緒にいて安心できる、そんな相手が欲しいだけだ。そしてその対象が男だというだけで。
「ううっ、うっ……。」
嗚咽を抑えなくては。愼が心配する。でも……。
『ここだけが自分を解放できるんだ。』
声を抑えて身体の快楽を求め続ける。小さな電子音。愼にはどう聞こえているんだろう?
「……はっ! はぁ、はぁ、はぁ……。」
出るものが出てしまうと、少しだけ頭が冷える。誰に見られているわけでもないし、愼の対策もしている。けれども、羞恥心が半端ない。
『風呂……洗わなくちゃ。』
愼との約束。毎日、風呂場は洗って浴槽の栓をしておくこと。そうすることで、次の日にすぐに風呂に入れる。食器洗いは洗浄機を使うことにした。洗剤と食器を入れておけば、愼が夜中にやっておいてくれる。
風呂の栓を抜き、使った器具も一緒に洗おうと、隅にかけてあるスポンジを手に取った。
俺の言葉にリビングの隅から2号が足元にやって来た。
『ご一緒できれば安心なのですが。』
「ばーーか。誰が入れるか。1時間は入ってるから、ドアにぶつかって急かすのもなし。」
足元に屈んで、愼2号を撫でてやる。2号は触手を回して俺の足をくすぐり始めた。
『……承知いたしました。』
しばらくすると満足したのか、触手をクルクル回しながら、キッチンの方に回り込んで行った。白く平な上部にマジックで書いた目が可愛い。ゲームのキャラクターみたいだ。でも、見ているのは真ん中に開いた小さなカメラらしい。あとは側部にもあると聞いたが、その時には全然分からなかった。
「零してないよ。」
後ろから声をかける。スティックコーヒーの粉を零してないかと点検に行ったのだろう。何も言わない2号をそのままにして、着替えを取るために寝室に向かった。
「……ん、ふっ……。」
これだけは愼に知られたくない。愼にはいつも通り、スピーカーでハードロックの音楽を流してもらっている。聞こえないはず。出しっぱなしにしたシャワーから、風呂場一杯に湯気が充満していた。
『……米田さん。』
米田さんには彼女がいた。気軽に話せる相手ができて、ちょっとだけ期待していた俺が馬鹿みたいだ。
「……ん……。」
誰にも明かせない自分の性志向。俺は物心ついた時から、好きになるのは男ばかりだった。女の子はいくらでも寄ってきた。特に高校の時。俺の名前と育ちが分かると、次から次へと。だから男子に遠巻きにされていたっていうのもあっただろう。今だって……。
身体は快楽を拾っても、自然に涙が出てくる。大学でも同じ。変な香水を振りまいた厚化粧の女《こ》。一見大人しそうな女の子でさえ、俺が断ると本性を表す。
『どれだけ理想が高いの?』
理想なんか高くない。ただ、一緒にいて安心できる、そんな相手が欲しいだけだ。そしてその対象が男だというだけで。
「ううっ、うっ……。」
嗚咽を抑えなくては。愼が心配する。でも……。
『ここだけが自分を解放できるんだ。』
声を抑えて身体の快楽を求め続ける。小さな電子音。愼にはどう聞こえているんだろう?
「……はっ! はぁ、はぁ、はぁ……。」
出るものが出てしまうと、少しだけ頭が冷える。誰に見られているわけでもないし、愼の対策もしている。けれども、羞恥心が半端ない。
『風呂……洗わなくちゃ。』
愼との約束。毎日、風呂場は洗って浴槽の栓をしておくこと。そうすることで、次の日にすぐに風呂に入れる。食器洗いは洗浄機を使うことにした。洗剤と食器を入れておけば、愼が夜中にやっておいてくれる。
風呂の栓を抜き、使った器具も一緒に洗おうと、隅にかけてあるスポンジを手に取った。
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