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風呂
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『今日はいつにも増して長湯でしたね。』
脱衣所のドアを開けると、2号がそこに佇んでいた。ゆっくりと触手を回して自分をアピールしているみたいだ。
「俺が風呂好きなの知ってるだろ?」
パジャマのボタンを閉めながら、2号を避けて歩き出す。ジュースでも飲もう。2号は追いかけてくることはせずに、静かに部屋の隅に戻って行った。
「愼、テレビつけて。」
『承知いたしました。何を見ますか?』
「何やってる?」
キッチンの天井から声が聞こえる。コップとレモン果汁入りの炭酸水を取り出しながら、愼に問いかける。本当はテレビなんて見たくない。けど、今の自分には、有り余っている時間をどう使ったらいいか分からなかった。愼が音楽を消して、テレビ番組を読み上げる。
「その歴史探求何ちゃらってやつ、かけて。」
『承知いたしました。』
愼の声とともにテレビが明るくなる。ソファに座ってジュースを一口飲んだ。
米田さんには彼女がいる。それは理解した。でも、それなら何故俺に優しくしてくれたんだろ? 「優樹」と呼び捨てにして接してくれたのは米田さんだけだ。生まれて初めて心が許せると思ったのに。
自然と流れてきた涙がコップを持つ手に落ちた。慌ててティシュを探す。どこに置いたっけ? いつも箱ごと持ち歩いてその辺に置いておくから、薄暗い中ではすぐに見つからない。
『ティッシュはテレビの隣に。』
愼の静かな声が天井から響くと、2号が部屋の隅からテレビ台の隣にやってきた。
「ありがと。」
コップを置いてティッシュを箱ごと持ってくる。涙を拭うと、2号が足元まできて触手をユラユラと動かしていた。思わず2号を持ち上げる。
抱きしめてテレビを見ると、江戸時代の有名な城の特集をしているようだった。結構歴史は好きな方だけど、何一つ頭に入ってこなかった。
『優樹様、何かありましたか?』
触手を動かすことをやめてじっとしていた2号から、愼の声が聞こえた。「聞いて! 米田さんに彼女がいたんだ。好きだったんだけど。」そう愼に打ち明けたい気持ちになる。でも違う。愼に話したところで何も解決にならない。
物言わぬぬいぐるみなら愚痴も言いたくなるけど、愼はAI。愼は必ず解決策を探ろうとするはず。俺のことを守るためにプログラムされているんだから。でもそれは望まない。
「何もないよ。もう少しだけこうさせて。」
四角い2号の体を抱えて上に頭を乗せながら、テレビを見る。少しだけ、ほんの少しだけ元気が出たように感じた。
脱衣所のドアを開けると、2号がそこに佇んでいた。ゆっくりと触手を回して自分をアピールしているみたいだ。
「俺が風呂好きなの知ってるだろ?」
パジャマのボタンを閉めながら、2号を避けて歩き出す。ジュースでも飲もう。2号は追いかけてくることはせずに、静かに部屋の隅に戻って行った。
「愼、テレビつけて。」
『承知いたしました。何を見ますか?』
「何やってる?」
キッチンの天井から声が聞こえる。コップとレモン果汁入りの炭酸水を取り出しながら、愼に問いかける。本当はテレビなんて見たくない。けど、今の自分には、有り余っている時間をどう使ったらいいか分からなかった。愼が音楽を消して、テレビ番組を読み上げる。
「その歴史探求何ちゃらってやつ、かけて。」
『承知いたしました。』
愼の声とともにテレビが明るくなる。ソファに座ってジュースを一口飲んだ。
米田さんには彼女がいる。それは理解した。でも、それなら何故俺に優しくしてくれたんだろ? 「優樹」と呼び捨てにして接してくれたのは米田さんだけだ。生まれて初めて心が許せると思ったのに。
自然と流れてきた涙がコップを持つ手に落ちた。慌ててティシュを探す。どこに置いたっけ? いつも箱ごと持ち歩いてその辺に置いておくから、薄暗い中ではすぐに見つからない。
『ティッシュはテレビの隣に。』
愼の静かな声が天井から響くと、2号が部屋の隅からテレビ台の隣にやってきた。
「ありがと。」
コップを置いてティッシュを箱ごと持ってくる。涙を拭うと、2号が足元まできて触手をユラユラと動かしていた。思わず2号を持ち上げる。
抱きしめてテレビを見ると、江戸時代の有名な城の特集をしているようだった。結構歴史は好きな方だけど、何一つ頭に入ってこなかった。
『優樹様、何かありましたか?』
触手を動かすことをやめてじっとしていた2号から、愼の声が聞こえた。「聞いて! 米田さんに彼女がいたんだ。好きだったんだけど。」そう愼に打ち明けたい気持ちになる。でも違う。愼に話したところで何も解決にならない。
物言わぬぬいぐるみなら愚痴も言いたくなるけど、愼はAI。愼は必ず解決策を探ろうとするはず。俺のことを守るためにプログラムされているんだから。でもそれは望まない。
「何もないよ。もう少しだけこうさせて。」
四角い2号の体を抱えて上に頭を乗せながら、テレビを見る。少しだけ、ほんの少しだけ元気が出たように感じた。
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