暗闇を超えてきた君が僕を離してくれない

もこ

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僕の趣味は女の子、君の趣味も女の子

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「よーーし、行くぞ!」

 情報管理部の金井の一声で、みんな揃ってゾロゾロと歩き出した。研修は午前中だけ。午後はそれぞれの部署でいつもの仕事がある。けれども、いつも11時半頃に終わってくれる研修で昼休憩がいつもより長くなるんだ。僕たち新人は、いつも揃って昼食をとることにしていた。

「今日はどこに行くの?」

 営業部の田部さんが金井に近づいて声をかけた。金井は営業部長の息子。大学に入った時から入社が決まっていたという噂。そもそも金井部長も社長の親戚と聞いたこともあるし。

 田部さんはボーイッシュだ。背が高いというのもあるけど、パンツスーツに開襟のブラウス。ネクタイをしていないだけで、後ろから見ると男と変わらない。

「いつものところでいいだろ?」

 金井が全体をぐるりと見渡して尋ねた。みんな文句はないらしい。会社近くにある全国チェーンを繰り広げているファミレスに行くことが決まった。僕も腹が満たせればどこでもいい。

 店に着くと、みんな思い思いにテーブルを選んで席に座った。僕は斎藤さんと田部さん、そしてもう1人の営業部の渡辺と席についた。

「何頼む?」

 渡辺は頼むメニューが決まっているのかろくに見ようともせずに、話しかける。僕たちはまだランチメニューを見ながら悩んでいた。

「渡良瀬君は?」
「んーー、B定食かな?」

 ちょうど決まったところで斎藤さんに話しかけられ、ハンバーグ定食を選んだことを告げた。スープやサラダ、ドリンクバーがついて手頃な値段。1,000円以内で食べられるというのは貴重だ。

「じゃあ、私もそれにしよ。」

 斎藤さんの言葉を皮切りに、田部さんは焼き魚定食、渡辺はミックスフライ定食を頼むことが分かった。早速店員を呼び出して、料理を頼む。

 それぞれ自分の飲み物を取りに行ってテーブルにつく。僕はアイスコーヒーにしたけれど、他の3人はそれぞれ甘いジュースを選んでいた。席に着いたちょうどその時、入口の方から長身の男と髪の毛の長い女の人が入ってくるのが見えた。

『嶺さんだ。』

 さっきまで営業部の活動について逹崎さんのサポートをしていた嶺さんと、その隣は……。どこかで見かけたことはあったけど、どうしても思い出すことができなかった。

「あの人。日山さん。」

 僕の隣に座っていた斎藤さんが身を近づけてこっそりと教えてくれた。

「日山さん?」

 さっき研修の前に斎藤さんが話していた人だ。何の話をしてたんだっけ? 記憶を辿ってもなかなか思い出せなかった。けれども長い髪を靡かせながら、笑顔で嶺さんに話しかけている様子が気になった。

「いつも髪の毛をきっちり結んでいるのに……。日山さん、あの営業部の方と付き合っているのかしら?」

「うん、そんな感じだね。」

 独り言のような斎藤さんの呟きに同意する。髪の毛が長くて背が高い。嶺さんの好みのど真ん中だ。

「社内恋愛ってありなのかな?」
 
 僕は思わずそう呟いていた。
 

 
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