15 / 100
僕の趣味は女の子、君の趣味も女の子
3
しおりを挟む
「あるみたいよ? でも、それで2人で仕事を続けていく人は稀なんですって。日山さんに聞いたけど……。」
斎藤さんが話し始めた言葉は、頭に入ってこなかった。僕たちの席からちょうど視界に入る窓際の席に案内された嶺さんたちが気になってしょうがなかった。
日山さんだと教えてもらった人が窓際に座り、嶺さんはこちらに背を向けている。足を広げてメニューを見ている様は、とてもリラックスしているように見える。
日山さんは長いストレートの髪を耳にかけながら、メニューを指差してにこやかに嶺さんに話しかけていた。
「おーーい渡良瀬、戻ってこい! 斎藤さん可哀想だろ。」
渡辺の声よりも、後ろを振り向いた嶺さんの姿で我に返る。慌ててテーブルに視線を戻して隣の斎藤さんを見ると、真っ赤な顔で俯いていた。目の前の2人はクスクス笑っている。
「ああ、ごめん。何だっけ?」
「……いい。」
小さく呟いた斎藤さんの声を聞いて、渡辺が声を上げて笑い始めた。
「はははははっ! 渡良瀬、鈍感!」
渡辺の隣の田部さんも口元を両手で隠して、必死に笑いを隠しているようだった。
「お待たせいたしました。本日のスープ、『オニオンスープ』とサラダでございます。」
店員さんが4人分のスープとサラダを運んできて、何となく気まずい思いを回避することができた。「いい香り。」とスープを覗き込む女性2人を横目に、僕は少々ゲンナリしていた。
『レタス……。』
ミニトマト、きゅうり、キャベツの千切り、ハムの下に隠れるように敷いてある黄緑のもの。縁が紫になっているこれは、サニーレタス? 食べないとダメだろうか? 少ししかかかっていないシーザーサラダドレッシング、大量にかけたい。
それから間もなく料理も運ばれてきて、僕たちは自分のたちがやっている仕事の様子や趣味について話をしながら楽しく食べ始めた。
「それで? 家に帰ってから映画を見たりゲームをやったりしている渡良瀬君には彼女いるの?」
渡辺がニヤニヤ笑いながら訊いてきた。ちょっぴりその様子が癪に触る。渡辺には彼女がいそうだ。
「いないよ。渡辺は?」
「俺? いるいる。付き合い始めて2年目に突入。彼女年下でさ、まだ学生なんだ。」
やっぱり……そんな雰囲気。でもそう思う気持ちは田部さんの一言でどこかに吹き飛んでいった。
「私も大学生の彼女がいるわ。」
「「「えっ!」」」
僕を含めた3人が一斉に田部さんを見る。斎藤さんが「私もいない。」と呟いた言葉はほとんど耳に入ってこなかった。田部さんはオレンジジュースの残りを一口飲んでから、笑顔を見せた。
「可愛い子よ? 斎藤さんに似てるかも。小さくて恥ずかしがり屋で、放っておけない。」
僕はしばらく、空いた口が塞がらなかった。
斎藤さんが話し始めた言葉は、頭に入ってこなかった。僕たちの席からちょうど視界に入る窓際の席に案内された嶺さんたちが気になってしょうがなかった。
日山さんだと教えてもらった人が窓際に座り、嶺さんはこちらに背を向けている。足を広げてメニューを見ている様は、とてもリラックスしているように見える。
日山さんは長いストレートの髪を耳にかけながら、メニューを指差してにこやかに嶺さんに話しかけていた。
「おーーい渡良瀬、戻ってこい! 斎藤さん可哀想だろ。」
渡辺の声よりも、後ろを振り向いた嶺さんの姿で我に返る。慌ててテーブルに視線を戻して隣の斎藤さんを見ると、真っ赤な顔で俯いていた。目の前の2人はクスクス笑っている。
「ああ、ごめん。何だっけ?」
「……いい。」
小さく呟いた斎藤さんの声を聞いて、渡辺が声を上げて笑い始めた。
「はははははっ! 渡良瀬、鈍感!」
渡辺の隣の田部さんも口元を両手で隠して、必死に笑いを隠しているようだった。
「お待たせいたしました。本日のスープ、『オニオンスープ』とサラダでございます。」
店員さんが4人分のスープとサラダを運んできて、何となく気まずい思いを回避することができた。「いい香り。」とスープを覗き込む女性2人を横目に、僕は少々ゲンナリしていた。
『レタス……。』
ミニトマト、きゅうり、キャベツの千切り、ハムの下に隠れるように敷いてある黄緑のもの。縁が紫になっているこれは、サニーレタス? 食べないとダメだろうか? 少ししかかかっていないシーザーサラダドレッシング、大量にかけたい。
それから間もなく料理も運ばれてきて、僕たちは自分のたちがやっている仕事の様子や趣味について話をしながら楽しく食べ始めた。
「それで? 家に帰ってから映画を見たりゲームをやったりしている渡良瀬君には彼女いるの?」
渡辺がニヤニヤ笑いながら訊いてきた。ちょっぴりその様子が癪に触る。渡辺には彼女がいそうだ。
「いないよ。渡辺は?」
「俺? いるいる。付き合い始めて2年目に突入。彼女年下でさ、まだ学生なんだ。」
やっぱり……そんな雰囲気。でもそう思う気持ちは田部さんの一言でどこかに吹き飛んでいった。
「私も大学生の彼女がいるわ。」
「「「えっ!」」」
僕を含めた3人が一斉に田部さんを見る。斎藤さんが「私もいない。」と呟いた言葉はほとんど耳に入ってこなかった。田部さんはオレンジジュースの残りを一口飲んでから、笑顔を見せた。
「可愛い子よ? 斎藤さんに似てるかも。小さくて恥ずかしがり屋で、放っておけない。」
僕はしばらく、空いた口が塞がらなかった。
0
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【BL】『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとでした
圭琴子
BL
この世界は、αとβとΩで出来てる。
生まれながらにエリートのαや、人口の大多数を占める『普通』のβにはさして意識するほどの事でもないだろうけど、俺たちΩにとっては、この世界はけして優しくはなかった。
今日も寝坊した。二学期の初め、転校初日だったけど、ワクワクもドキドキも、期待に胸を膨らませる事もない。何故なら、高校三年生にして、もう七度目の転校だったから。
βの両親から生まれてしまったΩの一人息子の行く末を心配して、若かった父さんと母さんは、一つの罪を犯した。
小学校に入る時に義務付けられている血液検査日に、俺の血液と父さんの血液をすり替えるという罪を。
従って俺は戸籍上、β籍になっている。
あとは、一度吐(つ)いてしまった嘘がバレないよう、嘘を上塗りするばかりだった。
俺がΩとバレそうになる度に転校を繰り返し、流れ流れていつの間にか、東京の一大エスカレーター式私立校、小鳥遊(たかなし)学園に通う事になっていた。
今まで、俺に『好き』と言った連中は、みんなΩの発情期に当てられた奴らばかりだった。
だから『好き』と言われて、ピンときたことはない。
だけど。優しいキスに、心が動いて、いつの間にかそのひとを『好き』になっていた。
学園の事実上のトップで、生まれた時から許嫁が居て、俺のことを遊びだと言い切るあいつを。
どんなに酷いことをされても、一度愛したあのひとを、忘れることは出来なかった。
『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとだったから。
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる