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僕は君の初恋の人? 君は憧れのお兄さん?
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「そうか。結局、夕べ会社帰りに手を繋いでしまったことが後ろめたいってことだよな? 何故手を繋いだんだ?」
「それは……。」
自分でも分からない。嶺さんらしき人が女性と焼き鳥屋に入っていくところを見て、無意識に手を取っていたなんて言えない。届いた味噌ラーメンを少しずつ啜りながら、僕は、嶺さんに全部話し終わっていた。
「ほら、女性の温もりを感じたかったんじゃないの? 性的な意味でさ。」
「違います!」
つい語気が荒くなる。齋藤さんを性的な目で見ていたとか、気のあるふりをしていたとかそんな目で見られたくはなかった。
「ははははっ、そんなにムキにならなくても。じゃあ、なんで?」
「ちょっと知り合いが女性と並んでいるのを見て、羨ましくなったというかなんというか……。」
嶺さん、あなたのせいですよ。そう言えたらなんとスッキリすることか。でも、盗み見をしていたようで気が引ける。それにあの時の感情をどう言い表したら良いのか、まだ頭の整理ができていなかった。
「渡良瀬はまだ若いなあ。羨ましいよ。ま、あと6、7年経てば俺みたいになるんだろうけどな?」
「茶化さないでくださいよ。」
麺を啜り終わってビールを流し込んだ後、スープに見え隠れしているメンマやチャーシューを弄ぶ。箸で沈めたり持ち上げたり。味噌ラーメンに入っていたチャーシューは、分厚かったおつまみ用のものとは違ってとても薄く感じた。
「ま、あれだ。渡良瀬の気持ちは誰がどうこうできるモノじゃない。自分の気持ちがはっきりするまで、今のままでいいんじゃないの?」
「今のままって?」
メンマを一本口に入れていた僕は、ビールと一緒にごくんと飲み込んでから尋ねた。
「やはり齋藤さんが好きだと感じたなら告ればいいし、違うと感じたら振ればいい。金井や渡辺に揶揄われるのが嫌だからといって結論を急ぐこともないだろ?」
「そうですよね。」
ビールが空になったことに気づく。まだ餃子が1つとチャーシューが残っている。もう一杯飲みたい。
「店員さん! 生もう一つ。」
通り過ぎようとしていた店員を呼び止め、ビールを追加する。思ったよりも大きな声が出て自分でも驚いた。嶺さんも苦笑いしながら一緒にビールを頼んでいた。
「あ、嶺さんちょっとトイレに行ってきますね?」
もうそろそろ膀胱がやばい。冷たいビールが運ばれてくる前に、トイレに行ってこようと思った。
「酔っ払ってない? 大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。」
思わず笑顔になる。立って歩き出したら、ちょっとふらっとするけど大丈夫だ。何だかふわふわしている気分。楽しくなってきた。嶺さんに相談して良かった。
明日も齋藤さんには悪いけど、2本前の電車に乗ろう。でも会社では今日みたいに避けるような真似はやめよう。そうして自分の気持ちを確かめるんだ。
僕は少しだけ晴れ晴れとした気持ちで、店の奥にあるトイレへと向かった。
「それは……。」
自分でも分からない。嶺さんらしき人が女性と焼き鳥屋に入っていくところを見て、無意識に手を取っていたなんて言えない。届いた味噌ラーメンを少しずつ啜りながら、僕は、嶺さんに全部話し終わっていた。
「ほら、女性の温もりを感じたかったんじゃないの? 性的な意味でさ。」
「違います!」
つい語気が荒くなる。齋藤さんを性的な目で見ていたとか、気のあるふりをしていたとかそんな目で見られたくはなかった。
「ははははっ、そんなにムキにならなくても。じゃあ、なんで?」
「ちょっと知り合いが女性と並んでいるのを見て、羨ましくなったというかなんというか……。」
嶺さん、あなたのせいですよ。そう言えたらなんとスッキリすることか。でも、盗み見をしていたようで気が引ける。それにあの時の感情をどう言い表したら良いのか、まだ頭の整理ができていなかった。
「渡良瀬はまだ若いなあ。羨ましいよ。ま、あと6、7年経てば俺みたいになるんだろうけどな?」
「茶化さないでくださいよ。」
麺を啜り終わってビールを流し込んだ後、スープに見え隠れしているメンマやチャーシューを弄ぶ。箸で沈めたり持ち上げたり。味噌ラーメンに入っていたチャーシューは、分厚かったおつまみ用のものとは違ってとても薄く感じた。
「ま、あれだ。渡良瀬の気持ちは誰がどうこうできるモノじゃない。自分の気持ちがはっきりするまで、今のままでいいんじゃないの?」
「今のままって?」
メンマを一本口に入れていた僕は、ビールと一緒にごくんと飲み込んでから尋ねた。
「やはり齋藤さんが好きだと感じたなら告ればいいし、違うと感じたら振ればいい。金井や渡辺に揶揄われるのが嫌だからといって結論を急ぐこともないだろ?」
「そうですよね。」
ビールが空になったことに気づく。まだ餃子が1つとチャーシューが残っている。もう一杯飲みたい。
「店員さん! 生もう一つ。」
通り過ぎようとしていた店員を呼び止め、ビールを追加する。思ったよりも大きな声が出て自分でも驚いた。嶺さんも苦笑いしながら一緒にビールを頼んでいた。
「あ、嶺さんちょっとトイレに行ってきますね?」
もうそろそろ膀胱がやばい。冷たいビールが運ばれてくる前に、トイレに行ってこようと思った。
「酔っ払ってない? 大丈夫か?」
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明日も齋藤さんには悪いけど、2本前の電車に乗ろう。でも会社では今日みたいに避けるような真似はやめよう。そうして自分の気持ちを確かめるんだ。
僕は少しだけ晴れ晴れとした気持ちで、店の奥にあるトイレへと向かった。
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