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君はどこにもいない、僕はどこまでも探し続ける
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『ないな。』
アパートを建設している場所を通りながら、ようやく諦める気持ちになった。1時間近く歩き回った。
この辺りは開発が進んでいるのか、新しく建てられたような家が多い。それに2階建てのアパート。大手の建設会社が次々と新しいマンションやアパートを建てているようだった。
トボトボと公園まで歩みを進める。喉が渇いた。近くにあったコンビニでコーラでも買って飲もう。
コンビニに通じる角を曲がり、遠くにコンビニの看板を認めた途端に心臓が跳ねた。
『セイちゃん!?』
紺色のスラックスに白い半袖のワイシャツ。背が高く黒髪短髪の男が、白いビニールの袋を持って僕とは反対方向に歩いていた。間違いない。セイちゃんだ。
僕は思わず走り出していた。すぐにセイちゃんは右に曲がって見えなくなった。あの先には公園がある!
50m以上ある道のりを全速力で駆け抜ける。同じように右に曲がって公園まで止まらずに走った。
「はあ、はあ、はあ、はあ……。」
テニスをしていた時はこんな距離を全速力で走ってもすぐに回復していたはずなのに。体力の衰えを感じた。また何か運動を始めるべきだろうか?
公園の入り口で全体を見回す。背の高い……男。セイちゃん。
「いた!」
公園の反対側の入り口から出ようとしているセイちゃんの後ろ姿を見つけてまた速足になる。ゆっくりと歩く姿に絶対に追いつけると思った。
「セイちゃん!」
公園を出てすぐに男に呼びかける。聞こえてないのか歩みを止めない男のそばまで行ってまた声をかけた。
「セイちゃん!」
黙って振り返ったその顔は、セイちゃんとは全く似てない顔だった。同じなのは髪の毛が短かったことと、紺色のスラックスを履いていたということだけ。
ヒョロヒョロとした高身長の男を前に、何を言ったら良いか分からず、大量の汗を流しながら俯くしかなかった。
「すみません。間違えました。」
そう呟くのが精一杯。名も知らぬその人は、無言のまま踵を返して歩き去っていった。
今日一番の疲労が襲ってくる。なぜ僕は、ここに来たのだろう? 自分のマンションでじっと待っていた方がよくなかったか?
脱力して祖母の家まで歩いていく。玄関先で麦茶をもらい、まーちゃんが育てたという茄子とピーマンを大量に貰って帰途に着いた。
『美代ちゃんも、賢一くんも知らないって言ってたわ。』
賢一くんっていうのが誰だか分からなかったけど、どうでもいい。ぞんざいにお礼だけ言ってまーちゃんと別れ、バスに乗るために停留所まで歩いて行った。
今日1日が徒労に終わった。明日は絶対に家から出ない。そう心に決めながら。
アパートを建設している場所を通りながら、ようやく諦める気持ちになった。1時間近く歩き回った。
この辺りは開発が進んでいるのか、新しく建てられたような家が多い。それに2階建てのアパート。大手の建設会社が次々と新しいマンションやアパートを建てているようだった。
トボトボと公園まで歩みを進める。喉が渇いた。近くにあったコンビニでコーラでも買って飲もう。
コンビニに通じる角を曲がり、遠くにコンビニの看板を認めた途端に心臓が跳ねた。
『セイちゃん!?』
紺色のスラックスに白い半袖のワイシャツ。背が高く黒髪短髪の男が、白いビニールの袋を持って僕とは反対方向に歩いていた。間違いない。セイちゃんだ。
僕は思わず走り出していた。すぐにセイちゃんは右に曲がって見えなくなった。あの先には公園がある!
50m以上ある道のりを全速力で駆け抜ける。同じように右に曲がって公園まで止まらずに走った。
「はあ、はあ、はあ、はあ……。」
テニスをしていた時はこんな距離を全速力で走ってもすぐに回復していたはずなのに。体力の衰えを感じた。また何か運動を始めるべきだろうか?
公園の入り口で全体を見回す。背の高い……男。セイちゃん。
「いた!」
公園の反対側の入り口から出ようとしているセイちゃんの後ろ姿を見つけてまた速足になる。ゆっくりと歩く姿に絶対に追いつけると思った。
「セイちゃん!」
公園を出てすぐに男に呼びかける。聞こえてないのか歩みを止めない男のそばまで行ってまた声をかけた。
「セイちゃん!」
黙って振り返ったその顔は、セイちゃんとは全く似てない顔だった。同じなのは髪の毛が短かったことと、紺色のスラックスを履いていたということだけ。
ヒョロヒョロとした高身長の男を前に、何を言ったら良いか分からず、大量の汗を流しながら俯くしかなかった。
「すみません。間違えました。」
そう呟くのが精一杯。名も知らぬその人は、無言のまま踵を返して歩き去っていった。
今日一番の疲労が襲ってくる。なぜ僕は、ここに来たのだろう? 自分のマンションでじっと待っていた方がよくなかったか?
脱力して祖母の家まで歩いていく。玄関先で麦茶をもらい、まーちゃんが育てたという茄子とピーマンを大量に貰って帰途に着いた。
『美代ちゃんも、賢一くんも知らないって言ってたわ。』
賢一くんっていうのが誰だか分からなかったけど、どうでもいい。ぞんざいにお礼だけ言ってまーちゃんと別れ、バスに乗るために停留所まで歩いて行った。
今日1日が徒労に終わった。明日は絶対に家から出ない。そう心に決めながら。
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旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
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