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もうどこにも行かないで? 僕を独りぼっちにしないで?
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「眠りについて1時間ほど経ったとき、セキュリティに起こされた。そしてある場所に連れて行かれた。」
「セキュリティって……警察!?」
セイちゃんが「食べろ。」と取ってくれたマルゲリータを危うく落とすところだった。セイちゃんの方を見ると、微笑んで首を振っていた。
連れて行かれたのはビジネスホテルの最上階の部屋。手荒なことは何一つされなかった。セイちゃんも違法なことをしたと分かっているから、逆らわなかったという。
「暫く待って現れたのは、ある企業の社長。少しだけ話をして、その人が俺の腕を買ってくれた。」
セイちゃんの話で理解したことは、区のコンピュータにハッキングしたことで、セキュリティの会社が反応したらしい。そして、どのようにハッキングしたのかをセイちゃんに聞いて、その腕前に感心した……ということ?
「なんていう会社なの?」
「M.O.(モー)というらしい。IT関係のセキュリティに特化した会社で政府機関の仕事も扱っているとか。一度は会社に足を運んだが、とりあえずは月曜日。何もかもそれからだ。」
結局は偽の戸籍や嶺誠二朗として生きていくのに必要なもの、書類上のものは殆ど全てその会社で作ることができたのだとか。
「い、違法なんでしょ?」
不安な気持ちが拭えないけど、セイちゃんは全く平気らしかった。
「俺の存在自体が、考えられないだろ? それを王高寺さんは信じてくれた。少し調べただけで。俺にはそれだけで充分だ。」
社長の名前は「王高寺」というらしい。本当にその会社は大丈夫なのかと思うところもあるけど、僕もこれ以上心配はしないことにした。
セイちゃんが警察に捕まったり、元の世界に戻らなくて良いというだけでも感謝だ。僕はそれ以上質問しないことにした。
「ほら、最後の一切れ食べるか?」
「うん、食べる!」
牛カルビが乗った一枚を手渡されて、大口を開けて齧り付く。モッツアレラチーズのピザはセイちゃんが殆ど一人で食べたけど、大きなクオーターは2人で半分こ。
久しぶりに美味しい夕飯だった。この1週間の疲れが取れたような気がした。
「お休みなさい。」
「お休み。」
お風呂に順番に入ってペットボトルのお茶を飲む。冷蔵庫には入れてなかったけど、セイちゃんが買ってくれたお茶を2人で飲むことができて、僕はとても満足だった。
リビングの床に敷いた敷布団の上でソファに置いたクッションを枕にセイちゃんが横になる。灯りを落として、声をかけた。
お腹がいっぱいになったからか、一週間の疲れが溜まっていたからかとても瞼が重い。隣の寝室へ行ってベッドに横になると、すぐさま眠気が襲ってきた。
「今日はぐっすり眠れそう。アラームは……かけなくてもいいな。」
そんなことを考えながら、すぐさま深い眠りに落ちていった。
「セキュリティって……警察!?」
セイちゃんが「食べろ。」と取ってくれたマルゲリータを危うく落とすところだった。セイちゃんの方を見ると、微笑んで首を振っていた。
連れて行かれたのはビジネスホテルの最上階の部屋。手荒なことは何一つされなかった。セイちゃんも違法なことをしたと分かっているから、逆らわなかったという。
「暫く待って現れたのは、ある企業の社長。少しだけ話をして、その人が俺の腕を買ってくれた。」
セイちゃんの話で理解したことは、区のコンピュータにハッキングしたことで、セキュリティの会社が反応したらしい。そして、どのようにハッキングしたのかをセイちゃんに聞いて、その腕前に感心した……ということ?
「なんていう会社なの?」
「M.O.(モー)というらしい。IT関係のセキュリティに特化した会社で政府機関の仕事も扱っているとか。一度は会社に足を運んだが、とりあえずは月曜日。何もかもそれからだ。」
結局は偽の戸籍や嶺誠二朗として生きていくのに必要なもの、書類上のものは殆ど全てその会社で作ることができたのだとか。
「い、違法なんでしょ?」
不安な気持ちが拭えないけど、セイちゃんは全く平気らしかった。
「俺の存在自体が、考えられないだろ? それを王高寺さんは信じてくれた。少し調べただけで。俺にはそれだけで充分だ。」
社長の名前は「王高寺」というらしい。本当にその会社は大丈夫なのかと思うところもあるけど、僕もこれ以上心配はしないことにした。
セイちゃんが警察に捕まったり、元の世界に戻らなくて良いというだけでも感謝だ。僕はそれ以上質問しないことにした。
「ほら、最後の一切れ食べるか?」
「うん、食べる!」
牛カルビが乗った一枚を手渡されて、大口を開けて齧り付く。モッツアレラチーズのピザはセイちゃんが殆ど一人で食べたけど、大きなクオーターは2人で半分こ。
久しぶりに美味しい夕飯だった。この1週間の疲れが取れたような気がした。
「お休みなさい。」
「お休み。」
お風呂に順番に入ってペットボトルのお茶を飲む。冷蔵庫には入れてなかったけど、セイちゃんが買ってくれたお茶を2人で飲むことができて、僕はとても満足だった。
リビングの床に敷いた敷布団の上でソファに置いたクッションを枕にセイちゃんが横になる。灯りを落として、声をかけた。
お腹がいっぱいになったからか、一週間の疲れが溜まっていたからかとても瞼が重い。隣の寝室へ行ってベッドに横になると、すぐさま眠気が襲ってきた。
「今日はぐっすり眠れそう。アラームは……かけなくてもいいな。」
そんなことを考えながら、すぐさま深い眠りに落ちていった。
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