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第八章 決戦
手がかり
しおりを挟む五芒星と陰陽師が護符に使用する、独特の丸みを帯びた悉曇文字。
複雑な円には、たくさんの封印の言葉が刻まれていた。
あれは、封印の陣。
太古の陰陽師が残した、戦いの爪痕だった。
シユウを倒す手がかりになるはずだ。
俺は頭の中の知識を急激に呼び起こす。古い文献に資料、父や祖父の言葉。全てに何か手がかりがないかを探した。
封印をするときはどうするのか。
相手の力を極限まで削ぎ落してから、封印をする。
封印の陣を書く場所は様々だ。地面に書いて敵をおびき寄せたり、札に書いて敵に張り付けたり……。
敵の急所部分に、直接描いたりする。
思考に耽っている間にも、皆がシユウの魔法を回避しつつ、懸命に戦っていた。シユウの動きを一時でも止めて、その隙にツェルの闇魔法で鎧を溶かしていった。
鎧から見えた赤黒い肌には、所々に心臓部分にあるのと同じような魔法陣が出現する。
両足に、腹部、右肩と左肩。
……だから鎧を着ていたのか。
『ヒスイ、俺を乗せて飛んでくれ!』
念話でヒスイに頼むと、すぐに大きなアウラドラゴンの姿と鳴ったヒスイが目の前まで来てくれる。背中に飛び乗って、空を旋回してもらう。
赤く大きな満月と赤黒い雲の中を、風に乗って飛ぶ。風圧はヒスイが結界によって防いでくれた。
俺はマジックバッグから和弓を取り出した。
弓を構えて白銀の矢を番える。浄化の力を込めて、白銀色の光の矢を作り出す。
射切れ。
清めよ。
貫け。
右足に書かれた封印の陣の、真ん中にある五芒星が描かれた場所。さらにその中心を狙う。
ギリギリと音を立てて弦を引き、弓が軋むほど引き絞る。それに伴って、白銀色の矢の輝きが増していく。
フレイを大剣で横に薙ぎ払うために、シユウが右足を踏ん張る。
弓矢が、手から離れた。
ヒュンっと、刹那で空気を切り裂く音が聞こえる。鳴弦の波が俺の周囲と、皆の周囲の邪気を払っていく。
白銀色の鋭利な弓矢が瞬時に放たれ、疾風のごとく一直線にシユウの右足へと向かう。シユウの右足、太もも部分にあった陣の中心に、矢が刺さった。
シユウの鋼のように硬い皮膚を、浄化の矢は貫いたようだ。
矢が刺さった瞬間に、封印の陣に銀色の光が流れる。
そして、眩しく封印の陣が輝き始めた。
「っグァアアギャァアー-!」
獣の呻き声を上げながら、シユウが右足を地面に付いた。弓矢で射貫いた場所から、大量の緑色の血が噴き出ていた。身を捩っているが、右膝を地面につけたままシユウは動けないでいる。
やはり、あの封印の陣はシユウの急所だ。
全員に俺は伝達魔法で話した。
『魔法陣がある場所が急所だ。浄化の矢で射るから、シユウの動きを止めてほしい。多分、頭部にもあるはずだ。』
『了解』
全員から短く返事が来た。
スフェンの宵闇色と金色の剣に、金色の光を纏う。
コマの背中に乗ったスフェンが、右から左へと駆け抜けざまに、腹部の封印の陣を切りつけた。
それと、同時に封印の陣が光出した。
ぶわっと、緑の血が吹き出る。
スフェンの長剣も浄化の力を宿している。スフェンでもシユウにダメージを与えられそうだ。
ヒューズが木魔法で長方形の岩を作り、空中に浮かべる。その岩を跳躍しながら、ツェルがシユウに近づく。
途中でシユウがツェルを捕まえようと手を伸ばすが、手を伸ばした先には、ツェルはすでにいない。
気配を消しつつ、俊敏な動きで岩を渡る。
「こんな冑、ダサすぎでしょ!」
シユウの頭部に、紫色の魔力を纏った双剣が振り下ろされる。ドロリっと銅の冑が飴のように蕩けた。
シユウの額に、封印の陣が現れる。
すかさず、矢を放って額を貫いた。シユウの額から出た血が、4つ目の顔を緑色に染めた。
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