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第十章 幸せを噛み締めて
幸せを噛み締めて ※
しおりを挟む布越しに、くちゅっと、俺のモノを握り込まれた。大きな手で包み込まれて、やわやわと握られる。そんな些細な刺激にも、今の俺には耐えられそうにない。
クチュ、クチュ、と卑猥な音が、俺の耳を犯していった。
自分でするのよりも、何倍も刺激が強い。どうやって動くのか予想できなくて、スフェンの手で擦られる度に、びくびくしてしまう。快感で腰が浮いたところで、スフェンに一気に下着を下げられ脱がされた。
「……ぐしょぐしょだな……。こんなに感じてくれて、嬉しい。」
「……うっ…、言わ、ないで……。ンぁっ?!……!」
外気に晒されてのも束の間で、いきなり俺のモノが熱さに包まれた。驚いていると、スフェンの金糸の髪が、俺の足の間に見えて、一瞬でかぁぁっと顔に火が付いた。
「まっ?!……そ、こ、きたな…!!」
スフェンの頭を両手で押して引きはがそうとするけど、快感が強すぎて身体に力が入らない。それでも押しやろうとしていたら、うるさいとばかりに、先っぽを舌でぐりっと抉られた。
「…はぁ…んンっ!!」
「汚くなんかない。……ミカゲはどこも綺麗だよ。」
先走りのトロリとした液体を指で掬い、全体に塗りたくされる。滑りが良くなったそこは、スフェンの右手で上下に扱かれて、さらに硬さを増していく。
渦を巻いていた快感の熱が、一気に下半身に集中する。はぁ、はぁという浅い呼吸になって、絶頂が近づいてきていることに、俺は狼狽えた。
でも、俺の焦りをスフェンは気にすることなく、むしろ煽るように上下の動きを激しくした。もう、あられもない声を抑えることも出来なくて、ガクガクと身体が震えた。
「あぁっ!…もっ、は、なしっ、…て!…スフェン…!」
俺のを扱く手は止めないまま、スフェンは獰猛な目でニヤリと口角を上げる。
「…いいよ。……好きなだけイけ。」
低く、わざと腰に響かせるように、命令された。ぶるりっと、身体がその声に反応して、その声だけで思わず達しそうになる。
グチュグチュっと音を立てて、スフェンに激しく手を動かされる。絶頂の波がすぐそこまで来て、なんとかそれを耐えようとした瞬間。
再び熱い口に含まれて、先っぽを抉られて強く吸われた。
「あっ!んぁっ、…やぁっ?!……っンんん!!」
ビクビクっと身体が痙攣して、強い快感が俺の全身を貫いた。頭が真っ白になって瞼の裏に火花が散る。
俺が絶頂に達すると、スフェンは残滓さえも残さないとばかりに、扱いてクチュっと吸い上げた。達したばかりの俺には、刺激が強すぎて「あっ、ん……。」という喘ぎが止まらない。
やっと口を離してくれたスフェンは、顔を上げると、口の端から零れた白濁をペロリと舐めとった。
「……甘いな。それに、熱くて……。媚薬のようだ。」
そんなことを宣ったスフェンに、そんなもの飲まないで!と切実に訴えたい。
でも、そんな気力も体力も、俺にはもうない。熱に浮かされた身体は、もう思うように動かなかった。
スフェンは熱に当てられたのか、着ていたシャツをもどかしそうに荒々しく脱ぎ捨てた。
鍛え抜かれた彫刻のような裸体が露わになる。俺と違って筋肉もしっかりついて、腹筋も割れて引き締まっている。前髪をかき上げた姿は色気が溢れすぎて、もう直視できない。
上着で隠れていたスフェンのズボンも、張りつめて窮屈そうにしている。
ベッドサイドに置いてあった小瓶を手に取ると、スフェンは手の平に中身をたらりと零した。部屋には花を思わせる良い匂いが広がる。
香油を指先に纏わせると、スフェンは俺の窄まりにつぷっと、その指を沈めた。そして、形の良い唇で洗浄魔法を唱える。
うぅっ、ありがたいけど、恥ずかしすぎる。
スフェンの指が、ゆっくりと俺の中を進んでいく。異物感に反射的に身体に力が入って強張ってしまう。
「……力を抜いて。痛かったら言ってくれ。」
チュッと額にキスをされて、投げ出していた右手に指を絡まれる。優しく握られて、啄むようなキスを何度も唇に落とされた。
そのふわりとした唇が心地よくて、身体の強張りが自然と抜けていった。
奥まで進んだ指が、内壁をゆっくりと少しずつ広げていく。俺の様子を窺がいながら、スフェンの指が何かを探るような動いた。
痛くはないけど、まだ異物感に慣れそうにないと思っていた、その時だ。
「……あっ?!…っ?!」
中のある一点をスフェンの指が掠めると、突き抜けるような快感が俺を襲った。背を仰け反らせて、身体がビクンっと勢いよく跳ねる。
自分でも驚くほど甲高い嬌声が、喉から突いて出た。
なんだ……?今のは……??
何が起こったのか分からず呆けていると、スフェンが獰猛な目をして意地悪に笑った。
猛獣が、目当ての獲物を追いつめたと確信した、獰猛な愉悦。そして、どうやって享楽を味わおうかという、妖艶な笑み。
瞬時に何かまずいと、俺は本能的に感じ取った。
腰を上げて、指から逃れようとしたところを、がっちりと腰を掴まれる。
「……ここ?」
「あァっ!まっ…、んンっ!…そこ、…だ、め!!」
そのしこりは、全身に電流のような快感を生み出す。
ダメだと言ったのに、スフェンは執拗にそこばかり指で押して、俺を追いつめた。断続的な喘ぎ声が止まらない。鋭利な快感から逃れようとするけど、身体に思うように力が入らなくて、首をイヤイヤするように左右に振るので精一杯だった。
「……だめじゃないだろ?そんなに可愛い声を出して……。もっと『気持ちいい』って、啼いてみせて……?」
いつの間にか2本に増やされた指は、しこりを挟みこんで、摘まむように擦り上げてくる。やがて、3本にまで増やされて、抜き差しを始めた。
クチュっ、チュプっ、という卑猥な音が、静かな部屋に響く。
さっき絶頂に達したばかりなのに、それよりも大きな快感が押し寄せてくる。あともう少しで、達するというときに、俺の内壁を穿っていた指がするりと抜かれた。
その直後にカチャリとベルトを外す音と、床に何かがバサリっと落ちる音が聞こえる。
後ろの窄まりに、硬く熱い、脈打つ楔の先端が当たっている。
「……ミカゲ、……力を抜いていて……。」
欲情を隠し切れない瞳で、見つめられて、スフェンも相当我慢してくれたのだと気が付いた。後ろに当たっている楔を意識すると、俺の中もきゅっと反応したのが分かった。
早く、スフェンと繋がりたい。身も、心も。
全部、貴方のものにしてほしい。
そう想いを込めて、快感で滲む視界で、エメラルドの瞳を見つめる。
スフェンが、ぴったりと先端を入り口に押し付けて、ゆっくりと俺の中に楔を埋めた。指よりもさらに質量が増して、すごく熱を感じる。
「……っはぁ…、あぁァっっ!!」
入れられた瞬間に、あまりの熱量に、息を飲んで呼吸が止まった。中を擦り上げていく圧迫感に、内壁は歓喜に震えて蠢いた。
身体全体が溶けてしまいそうなほど、熱い。
そして、スフェンの楔が脈打つのを、身体の中が感じ取ってもっと奥にと促していく。やがて、ぴとっと動きが止まり、肌と肌が触れ合った感覚がした。
最奥にコツっと当たって、ビクリと身体が震える。
麗しい顔貌の眉間に皺を寄せて、ふっと息を吐いた。そして、嬉しそうに微笑んで、俺の髪を梳いてくれる。
「……馴染むまでしばらく、このままでいよう。」
スフェンの鼓動を、身体の奥から感じる。
繋がれたことが嬉しくて、心も体も満たされた充足感に思わずポロリと涙が零れた。手を伸ばして、スフェンの首に手を回す。
自然と微笑んで、言葉が口から零れていく。
「……うれしい……。大好きだ、スフェン。」
貴方に、心も体も満たされて。
一つに繋がれて、本当に嬉しいのだと。
優しく梳いていたスフェンの指先が、ピタリと止まった。目を見開いたスフェンが、息を飲んでいる。
そして、今にも泣きだしそうな、それでいて嬉しそうに。
年相応の青年に見える、嬉しくてたまらないという表情で破顔した。
眩しい太陽のような美貌が近づき、触れるだけの優しい口付けを落とされる。
「……私も愛しているよ、ミカゲ。……私の最愛の人。」
ゆっくりと、楔が抜き差しを始める。内壁が硬い楔に擦られて、奥に進むと切っ先部分でしこりを押しつぶされた。
切っ先が通り過ぎると、抜かれるときに、今度は楔のくびれ部分でグリグリと擦られる。スフェンは、集中的にその快感を生み出すしこりを、切っ先とくびれで何度も責め立てた。
「…ァッ!…ンぁっ!…そ、こ…ばっか、だ…めぇ…!!」
次第に律動が早くなって、パンっ、パンっ!と肌がぶつかり合う音と、くちゅ、ぬちゅっという卑猥な音が激しく響く。
もう、しこり部分だけではなく、最奥をコツコツと突かれるのも、内壁が何度も抜き差しで擦られることだけでも、気持ちが良すぎて腰が揺れてしまう。
俺の前からは、たらりと先走りの透明な蜜が絶え間なく出ている。お腹に反り返うほどのそれを、スフェンの大きな手が覆う。
待って?!
今、そこを触られたら……。
「……後ろだけでは、まだイケないだろう?……一緒に、気持ちよくなろうな?」
俺の焦りはスフェンに届かず、スフェンは激しい律動をそのままに、白濁と透明な蜜にまみれたモノを扱き始める。一度達したそこは、敏感になり過ぎていて、快感が強すぎて辛い。
高くなる俺の嬌声に、スフェンが怪し気な光を瞳に宿した。
俺のモノを扱きあげる手を、より一層激しく上下に動かす。ガクガクと内腿が震えて、身体の中に渦巻いていた熱が押し寄せる。
そして、一度後ろへと引き抜いた肉杭を、一気に最奥まで突き立てた。
そこで、頭が一瞬真っ白になった。
頭の中でチカチカと火花が散る。はくっと、呼吸をするのも忘れてしまう。
腰をグイっとスフェンが引き寄せて、太い部分で奥の内壁を回して抉るように、グリグリと苛め抜かれた。
「__っっ?!!…っアあ!…ひぁっ!……あァぁぁっっ!!」
背中が仰け反り、びくっと身体を大きく震わせながら、俺は二度目の絶頂に達した。お腹の奥底で燻っていた快感が弾けて、全身に巡って駆け抜けていく。
俺の張りつめていたモノからは、勢いよく白濁が飛び散った。
「……クっ、うっ……」
スフェンの色っぽく呻く吐息が、耳元で聞こえた。脈打っていた熱い肉杭が、さらに大きく震えて中にじんわりとした熱を感じる。スフェンも達してくれたようだ。
お互いに肩で呼吸をしながら、しっとりとした肌を重ねて抱き合った。
暖かくて、安心する。
スフェンの鼓動を感じながら、何度も達したせいか、ゆるゆると瞼が閉じていきそうになる。
僅かに身体を離したスフェンに、頬をするりと撫でられる。穏やかに微笑んだスフェンは、唇に一度だけ触れるだけのキスをすると、俺を横にして抱き込み始めた。
そのまま、ポンポンと頭を撫で始める。それをされてしまうと、瞼が重くなってしまう……。
まだ、こうしてスフェンを感じていたいのに……。
自分でも気が付かないうちに、スフェンの胸元にすり寄っていたらしい。上から、スフェンがクスリっと笑った声が聞こえる。
「ゆっくりお休み。……私は、ずっとそばにいるよ。」
愛しい人の、優しい声を聞きながら、
俺は幸せに満たされて眠った。
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