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第一章『復讐H。職場の嫌いな女先輩』
第八話「シトラスの正体と、これから」
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「一度状況を整理しよう」
シトラスは懐から一冊の本を取り出した。
「我は大悪魔シトラス。訳あって貴様が働いている図書館に、魔本として封印されていた」
「その本、僕が死ぬ間際に持っていた……いつの間に」
「そして、貴様によって封印は解かれ、ここに現界したのである」
そうだ。
僕は飛び降りる少し前に、図書館の旧書庫掃除を命じられていた。
その中の一冊に、妖しいオーラと卑猥な絵が描かれたこの本を見つけたのだ。
問題は、エロ本を読むようにニヤニヤしていた僕の姿を、仕事中の二人の人物に見られてしまった。
一人は、普段から僕を家畜のようにこきつかう先輩『氷室摩耶』。
もう一人は、密かな想い人である『倉林聡美』。
氷室先輩にはゴミを見るような目で蔑まれ、倉林さんは感情の消えた瞳で僕をぼんやりと見つめていた。
特に倉林さんは、メンタルがボロボロだった僕の、唯一の味方とも言える存在だったのに。
あの時の、『あえて何も見えていない』虚無の目つきに、僕の心は完全に壊れてしまったのだ。
「我の望みは一つ。恩師『大悪魔シトリー』に近づく為の膨大な【生命魔力】を得ること。それを我の代わりに得るのが、貴様の役目だ」
シトリー。本で見たことある。確か、美形で男女の恋愛を燃え上がらせる悪魔だとか。
「でも、どうやって?」
「今シたばかりであろう。大量の精液を現実世界に放出し、【生命魔力】を生みだすのだ」
「はい?」
「何をとぼけている。精液は膨大な生命の基礎。究極の魔力源であるぞ」
「うーん、言われてみれば確かに?」
僕が毎日ティッシュに種付けしていた精液が、究極の魔力源だったとは……。
「だったら、これから毎日オナニーしてればいいんじゃ……?」
「駄目だ。【生命魔力】はそんなチャチなものじゃない。十階建てのビルから飛び降りた宋真が生きる為に、どれだけの【生命魔力】が消費されたと思ってるのだ?」
その時、シトラスが死ぬ間際の僕と同じく、身体が少し透けていることに気付いた。
「まさか……」
「【生命魔力(マナ)】は二割失うと、重症な風邪と同等の衰弱。九割欠けると、人は意識を保てない。だから、我の七割を、【契約】を通して、1割しか残ってない宋真に注ぎ込んだ」
「な、七割も……?」
「つまり、今の我と宋真は、いわば一心同体なのだ。宋真が死ねば、我も消える」
「そんな……。 僕の、僕の所為でシトラスが」
「勘違いするな。我も長い封印のブランクで、【契約】無しにはこの世界に干渉できなかった。だから、我も宋真に感謝しているし、これでおあいこだ」
怒るのでも悲しむのではなく、まるで天使のように微笑んだ。
「僕、シトラスの為に頑張るよ……でも……」
「どうした?」
「その、【生命魔力】を得る為には、お、女の子と……セックスしなくちゃいけないんでしょ?」
「そうだ。特に膣内射精が濃度が高く、効率が良い」
「ひ、ひええっ」
「何女の子のように顏を赤くしてるのだ。あ、因みに我とのセックスを期待したなら、口惜しいが諦めろ。宋真の精を注ぐのはこの世界の女の子、つまりリアルでないとダメだ」
「ずーん……」
「なんだ? 今度は急に真っ青になったな」
「いや、だって。僕とセックスしてくれる女の子なんていないし。仕事場はクソみたいな女先輩や同僚ばかりだし……」
「そこで【魅了魔法】の登場、というワケだ。早速、退院まで修行するぞ」
魔法の話をし始めると、シトラスは一段と愉悦な笑みを浮かべた。
シトラスは懐から一冊の本を取り出した。
「我は大悪魔シトラス。訳あって貴様が働いている図書館に、魔本として封印されていた」
「その本、僕が死ぬ間際に持っていた……いつの間に」
「そして、貴様によって封印は解かれ、ここに現界したのである」
そうだ。
僕は飛び降りる少し前に、図書館の旧書庫掃除を命じられていた。
その中の一冊に、妖しいオーラと卑猥な絵が描かれたこの本を見つけたのだ。
問題は、エロ本を読むようにニヤニヤしていた僕の姿を、仕事中の二人の人物に見られてしまった。
一人は、普段から僕を家畜のようにこきつかう先輩『氷室摩耶』。
もう一人は、密かな想い人である『倉林聡美』。
氷室先輩にはゴミを見るような目で蔑まれ、倉林さんは感情の消えた瞳で僕をぼんやりと見つめていた。
特に倉林さんは、メンタルがボロボロだった僕の、唯一の味方とも言える存在だったのに。
あの時の、『あえて何も見えていない』虚無の目つきに、僕の心は完全に壊れてしまったのだ。
「我の望みは一つ。恩師『大悪魔シトリー』に近づく為の膨大な【生命魔力】を得ること。それを我の代わりに得るのが、貴様の役目だ」
シトリー。本で見たことある。確か、美形で男女の恋愛を燃え上がらせる悪魔だとか。
「でも、どうやって?」
「今シたばかりであろう。大量の精液を現実世界に放出し、【生命魔力】を生みだすのだ」
「はい?」
「何をとぼけている。精液は膨大な生命の基礎。究極の魔力源であるぞ」
「うーん、言われてみれば確かに?」
僕が毎日ティッシュに種付けしていた精液が、究極の魔力源だったとは……。
「だったら、これから毎日オナニーしてればいいんじゃ……?」
「駄目だ。【生命魔力】はそんなチャチなものじゃない。十階建てのビルから飛び降りた宋真が生きる為に、どれだけの【生命魔力】が消費されたと思ってるのだ?」
その時、シトラスが死ぬ間際の僕と同じく、身体が少し透けていることに気付いた。
「まさか……」
「【生命魔力(マナ)】は二割失うと、重症な風邪と同等の衰弱。九割欠けると、人は意識を保てない。だから、我の七割を、【契約】を通して、1割しか残ってない宋真に注ぎ込んだ」
「な、七割も……?」
「つまり、今の我と宋真は、いわば一心同体なのだ。宋真が死ねば、我も消える」
「そんな……。 僕の、僕の所為でシトラスが」
「勘違いするな。我も長い封印のブランクで、【契約】無しにはこの世界に干渉できなかった。だから、我も宋真に感謝しているし、これでおあいこだ」
怒るのでも悲しむのではなく、まるで天使のように微笑んだ。
「僕、シトラスの為に頑張るよ……でも……」
「どうした?」
「その、【生命魔力】を得る為には、お、女の子と……セックスしなくちゃいけないんでしょ?」
「そうだ。特に膣内射精が濃度が高く、効率が良い」
「ひ、ひええっ」
「何女の子のように顏を赤くしてるのだ。あ、因みに我とのセックスを期待したなら、口惜しいが諦めろ。宋真の精を注ぐのはこの世界の女の子、つまりリアルでないとダメだ」
「ずーん……」
「なんだ? 今度は急に真っ青になったな」
「いや、だって。僕とセックスしてくれる女の子なんていないし。仕事場はクソみたいな女先輩や同僚ばかりだし……」
「そこで【魅了魔法】の登場、というワケだ。早速、退院まで修行するぞ」
魔法の話をし始めると、シトラスは一段と愉悦な笑みを浮かべた。
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