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第三章『王子様、現る!?』
第47話 二人で特訓!
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二週間後。
「【魅惑の舞!】 ──今よ!」
草木がまばらな、荒れ果てた平原でベアウルフの群れと交錯するヒミカとユーマ。
「はい! てりゃあああああっ!」
小柄な体を活かして跳びながら回転斬り。鎧を着ていても動作は機敏だ。
日夜訓練漬けのセントエルディア騎士団を舐めてはいけない。
ユーマの二倍近くある大きさのベアウルフを二頭、切り伏せ、一匹は惜しくも躱される。
すぐさま反撃に備えて盾を構えたが、ベアウルフはユーマを無視して、後方のヒミカへ飛びかかった。
「しまった!」
踊っている間はただでさえ隙が大きい。
魔力加工された真紅のベラは噛みつかれても平気だが、柔肌を大きく露出しているヒミカにとって致命傷であることに変わりはない。
「きゃああああああああッ!」
「ヒミカさんッッ!」
耳を塞ぎたくなるような叫び声と、金属音が響き渡った。
地面に叩きつけられたのは、ヒミカ──ではなく、ベアウルフの方だった。
間一髪、踊りに使っていた銅の扇が、偶然にも弱点である鼻っ面を叩いたのだ。
そのまま扇はあらぬ方向へ飛んで行ってしまったが、間一髪だった。
思わぬ手痛い反撃に、一旦距離を取ったベアウルフ。
濁った眼が怒りで歪み、吠えるように顎をこじ開け、鋭利に尖った牙で今度こそヒミカの肌に突き立てようとして──。
「勇者様に触るなぁああアア!」
「グぎゃウッ!?」
耳を塞ぎたくなるような鈍い音。
身体を弾丸のようにして突進したユーマが倍近くある巨体を吹き飛ばした。
【盾騎士】の固有スキル【シールドバッシュ】だ。
自慢の牙をぽっきり折られ、頭を強打されたベアウルフは、ぴくぴくと身体を痙攣させた後、ついに動かなくなった。
「ありがとう、ユーマ。また、助けられちゃった」
「いえ、お礼を言われる筋合いはありません。僕がさっきの一撃で確実に仕留めていれば、ヒミカさんを危険な目には……っ!」
「な、泣かないでよ。私は無事なんだから。それより、ギルドを出発してからずっと練習してきた私達の連携、少しは戦えるようになってきたじゃない」
「ですが……っ!」
サブルブ村でスライムとゴブリンに苦戦した反省から、お互い魔物への恐怖を押し殺して、二人で戦え
るように特訓していたのだ。
いざ魔王と相対した時に、足が竦まないために。
「私ね、ユーマと同じくらい魔物が怖い! って思ってた。今だってそう。大けがするところだったし。でもね、心は落ち着いてるの。どうしてだと思う?」
「それは、勇者様が、僕よりも強いからです」
「違う違う。ユーマが、どんな時でも私を守ってくれるから、なんだよ」
「え……」
「何呆けてるの? さ、いくわよ! あと少しで村が見えるわ。今日はどんなボロ宿が待っているのか
しら」
「わわっ」
ヒミカに手を取られて陽が沈む荒野を駆ける二人。
二人とも、頬に朱が差しているのはきっと夕日のせいだけじゃない。
★
地図に載らないような小さな小さな村の宿屋。
ドアノブを握った瞬間から木くずが零れ、軋むに軋んだ扉を開けた。
「ただいま我が家! わ、今回もめちゃくちゃボロい!」
もはや親しみさえ湧いてきた辺境の村の激安宿。
粗末なベッドと、埃の被った小さな机しかない、まるで独房のような小さな部屋で一夜を明かすことにする。
魔王城があるタラウス地方にほど近いこの場所に、冒険者が日銭を稼げるようなギルドや働き口はなく、閑散としている。
人の流入が少ないため、村があっても宿屋がないこともある。寝床があるだけまだマシな方なのだ。
残りの全財産はアグリナ街で稼いだ金貨がニ枚。
節約のため、さらに一番安い部屋を選ばなくちゃならない。
「でも野宿よりはマシよね。ベッドに少しくらいカビが生えてたって、天上の雲みたいに柔らかいわ」
ベッドは当然の如く一つしかなく、ユーマと並んで腰かける。
「おっとと」
「どうしたの?」
「はは……部屋に着いた途端、足が痺れちゃって」
「鎧、重そうだもんね」
「それもありますが、無意識に足の震えを我慢しすぎたみたいです」
「じゃあ、私がマッサージしてあげよっか」
「え、だ、大丈夫ですよ! 勇者様の手を煩わせる必要は」
「本当に?」
「本当です」
「嘘つき」
妖艶な笑みと共に、鎧の隙間から手を入れられた。
「あっ……」
「こんなに膨らんでる。身体は正直ね」
「うぅ。ごめんなさい。勇者様とずっと相部屋の生活をしていたら、一緒の部屋に居るだけで勃起するようになってしまって」
「正直でよろしい。あ、顔真っ赤になってる。か~わいい」
「うぅ……。ヒミカさんだって、いつも」
「なんか言った?」
「なんでもないです!」
恥ずかしくて壁に向かって話しかけているけど、相当苦しそうだった。
ヒミカとユーマは勇者と騎士であり、つまり主人と従者みたいなものである。
(従者の性欲処理も、主の責任よね……。これは、仕方のないことなの)
……と思いつつ、自身もお腹の淫紋の辺りがきゅんと疼く。
ここ最近は、えっちとは無縁の生活を送っていた。
勇者の力によって常に発情しているヒミカにとっても、そろそろ我慢の限界だったのだ。
「ねぇ、鎧ってどうやって脱がすの?」
「あっ、自分でやりますから!」
足の痺れはどうしたのやら、ベッドの上で膝立しながら下着を下ろそうとするユーマ。
しかし、内側のイチモツがつっかえて、中々脱げない。
「もう、焦らさないでよ……って痛ったぁ!?」
ばるんっ!
両手で勢いよくパンツを下ろしたら、反り返った中身がヒミカの頬を殴打した。
「【魅惑の舞!】 ──今よ!」
草木がまばらな、荒れ果てた平原でベアウルフの群れと交錯するヒミカとユーマ。
「はい! てりゃあああああっ!」
小柄な体を活かして跳びながら回転斬り。鎧を着ていても動作は機敏だ。
日夜訓練漬けのセントエルディア騎士団を舐めてはいけない。
ユーマの二倍近くある大きさのベアウルフを二頭、切り伏せ、一匹は惜しくも躱される。
すぐさま反撃に備えて盾を構えたが、ベアウルフはユーマを無視して、後方のヒミカへ飛びかかった。
「しまった!」
踊っている間はただでさえ隙が大きい。
魔力加工された真紅のベラは噛みつかれても平気だが、柔肌を大きく露出しているヒミカにとって致命傷であることに変わりはない。
「きゃああああああああッ!」
「ヒミカさんッッ!」
耳を塞ぎたくなるような叫び声と、金属音が響き渡った。
地面に叩きつけられたのは、ヒミカ──ではなく、ベアウルフの方だった。
間一髪、踊りに使っていた銅の扇が、偶然にも弱点である鼻っ面を叩いたのだ。
そのまま扇はあらぬ方向へ飛んで行ってしまったが、間一髪だった。
思わぬ手痛い反撃に、一旦距離を取ったベアウルフ。
濁った眼が怒りで歪み、吠えるように顎をこじ開け、鋭利に尖った牙で今度こそヒミカの肌に突き立てようとして──。
「勇者様に触るなぁああアア!」
「グぎゃウッ!?」
耳を塞ぎたくなるような鈍い音。
身体を弾丸のようにして突進したユーマが倍近くある巨体を吹き飛ばした。
【盾騎士】の固有スキル【シールドバッシュ】だ。
自慢の牙をぽっきり折られ、頭を強打されたベアウルフは、ぴくぴくと身体を痙攣させた後、ついに動かなくなった。
「ありがとう、ユーマ。また、助けられちゃった」
「いえ、お礼を言われる筋合いはありません。僕がさっきの一撃で確実に仕留めていれば、ヒミカさんを危険な目には……っ!」
「な、泣かないでよ。私は無事なんだから。それより、ギルドを出発してからずっと練習してきた私達の連携、少しは戦えるようになってきたじゃない」
「ですが……っ!」
サブルブ村でスライムとゴブリンに苦戦した反省から、お互い魔物への恐怖を押し殺して、二人で戦え
るように特訓していたのだ。
いざ魔王と相対した時に、足が竦まないために。
「私ね、ユーマと同じくらい魔物が怖い! って思ってた。今だってそう。大けがするところだったし。でもね、心は落ち着いてるの。どうしてだと思う?」
「それは、勇者様が、僕よりも強いからです」
「違う違う。ユーマが、どんな時でも私を守ってくれるから、なんだよ」
「え……」
「何呆けてるの? さ、いくわよ! あと少しで村が見えるわ。今日はどんなボロ宿が待っているのか
しら」
「わわっ」
ヒミカに手を取られて陽が沈む荒野を駆ける二人。
二人とも、頬に朱が差しているのはきっと夕日のせいだけじゃない。
★
地図に載らないような小さな小さな村の宿屋。
ドアノブを握った瞬間から木くずが零れ、軋むに軋んだ扉を開けた。
「ただいま我が家! わ、今回もめちゃくちゃボロい!」
もはや親しみさえ湧いてきた辺境の村の激安宿。
粗末なベッドと、埃の被った小さな机しかない、まるで独房のような小さな部屋で一夜を明かすことにする。
魔王城があるタラウス地方にほど近いこの場所に、冒険者が日銭を稼げるようなギルドや働き口はなく、閑散としている。
人の流入が少ないため、村があっても宿屋がないこともある。寝床があるだけまだマシな方なのだ。
残りの全財産はアグリナ街で稼いだ金貨がニ枚。
節約のため、さらに一番安い部屋を選ばなくちゃならない。
「でも野宿よりはマシよね。ベッドに少しくらいカビが生えてたって、天上の雲みたいに柔らかいわ」
ベッドは当然の如く一つしかなく、ユーマと並んで腰かける。
「おっとと」
「どうしたの?」
「はは……部屋に着いた途端、足が痺れちゃって」
「鎧、重そうだもんね」
「それもありますが、無意識に足の震えを我慢しすぎたみたいです」
「じゃあ、私がマッサージしてあげよっか」
「え、だ、大丈夫ですよ! 勇者様の手を煩わせる必要は」
「本当に?」
「本当です」
「嘘つき」
妖艶な笑みと共に、鎧の隙間から手を入れられた。
「あっ……」
「こんなに膨らんでる。身体は正直ね」
「うぅ。ごめんなさい。勇者様とずっと相部屋の生活をしていたら、一緒の部屋に居るだけで勃起するようになってしまって」
「正直でよろしい。あ、顔真っ赤になってる。か~わいい」
「うぅ……。ヒミカさんだって、いつも」
「なんか言った?」
「なんでもないです!」
恥ずかしくて壁に向かって話しかけているけど、相当苦しそうだった。
ヒミカとユーマは勇者と騎士であり、つまり主人と従者みたいなものである。
(従者の性欲処理も、主の責任よね……。これは、仕方のないことなの)
……と思いつつ、自身もお腹の淫紋の辺りがきゅんと疼く。
ここ最近は、えっちとは無縁の生活を送っていた。
勇者の力によって常に発情しているヒミカにとっても、そろそろ我慢の限界だったのだ。
「ねぇ、鎧ってどうやって脱がすの?」
「あっ、自分でやりますから!」
足の痺れはどうしたのやら、ベッドの上で膝立しながら下着を下ろそうとするユーマ。
しかし、内側のイチモツがつっかえて、中々脱げない。
「もう、焦らさないでよ……って痛ったぁ!?」
ばるんっ!
両手で勢いよくパンツを下ろしたら、反り返った中身がヒミカの頬を殴打した。
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