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第三章『王子様、現る!?』
第57話 回想・幼き日の学院で
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「うっ……ううっ、ひっく……ぐすん」
「どうしたのヒミカ、またいじめられて泣いてるの?」
物語に出てくる王子様のような、ストレートの金髪。
幼い顔立ちに宝石のような瞳を輝かせているクライドが、泣きじゃくるヒミカの顔を覗き込む。
「うぇえん! ひっく、だってぇ……。クラスの子がいじめるんだもん。私のお母さんが、みずしょうばいしてるからって、わたしも男の子をだましてお金を盗むんだって。わたし、そんなこと絶対しないのに」
ある日の学院、放課後。
まだ【適正】にも目覚めていない幼い頃の記憶。
「人の悪口なんて気にするなよ。大人になったら見返してやればいいんだ」
クライドは鞄を置いて、腰に下げた木刀を抜いて素振りを始める。
授業が終わった後はいつも、一人ここで鍛錬を続けているのだ。
ある日、ヒミカは、一人で泣ける場所を探していて、たままたクライドと鉢合わせた。
逃げようとしたヒミカをクライドは優しく呼び止め、慰めてくれた。
それ以降、二人は子供ながら逢い引きするようになったのだ。
「見返す? もしかして、クライドも誰かを見返したいから毎日すぶりをしてるの? 頭もよくて運動もできて、ケンカも強いのに?」
「そうだね。僕がどれだけ剣の成績がよくても、気にくわなくて陰口言ったり、ケンカを挑んできたりするヤツらがいる。僕は奴らに何もしてないのにね」
「わたしとおんなじだ。ヒミカも、クラスの子には何もしてないのに。……あ、ごめんね。私はクライドと違って頭悪いし剣もへたっぴだから、同じじゃないね」
「そうだね。同じじゃないよ。僕とヒミカは」
「え?」
「あ、ううん。なんでもない」
ヒミカには聞こえないくらいの小さな呟き。
「話を戻すけど、僕のことを気に入らなくてケンカを挑んでくるようなヤツらは、負けたって僕のことを尊敬したりしないよ。それはね、僕のことを自分よりちょっと強い程度の、所詮世の中全体から見れば大したことない存在って思ってるからなんだ。だから僕は誰よりも、もっともっと強くなりたいんだ。そう──世界を救う、勇者みたいに」
「勇者……カッコいいね!」
軽く身を弾ませたヒミカの胸が大きく揺れた。
子供ながら、大人顔負けの巨乳だった。
「……ヒミカは、将来は何になりたいんだ?」
「う~ん……。わかんない。わたし、得意なことなんて、お祭りの日に、お歌や太鼓に合わせて踊ることくらいしかないし……」
「じ、じゃあさ、僕が勇者になったら、ヒミカをお嫁さんにしてあげてもいいぜ」
「お嫁さん! ほんとう!? こんな、貧乏で何もないわたしをお嫁さんに選んでくれるなんて、クライドはかっこいいね!」
上目遣いで潤んだ瞳。
純真無垢で、自覚のない眼差し。
当然、魔力なんて込められているはずもない。
少年であるクライドは、下半身が熱く滾るのを自覚して、ヒミカに一歩近づいた。
「クライド? どうしたの?」
何かを察したのか、無意識に離れようとしたヒミカに対して、手の平で壁をドン! と叩く。
「ひっ」
逃げ場を封じられた。
「ヒミカのこと、触りたいんだよね」
クライドの手が、ヒミカの大きな胸に伸びる。
「あっ……はぁっ……ふっ……んんっ」
「すげぇ……鷲掴みにしてるのに、手から肉が零れ落ちるっ……!」
人気のない学び舎に響いていた素振りの音は、まだ幼き男女の吐息に変わる。
「んっ……そこ、ぐりぐりしちゃ……っ」
閉じた太ももを割られ、下着に膝を押し付けられる。
クライドはかなり興奮しているのか、かなり力が入っていたにも関わらず、ヒミカは今まで感じたことのない下腹部の切なさに思わず喘ぐ。
「はぁっ……はぁっ……」
やがて、互いの呼吸と目線が重なり、最後に唇同士が吸い寄せられていく、その時だった。
『ん? もう授業は終わったのに、まだ誰かいるのか?』
「まずい、先生だ。逃げよう!」
「あ、うん」
こうして、たわいのない一日が終わる。
しばらくして、冒険者だったヒミカの父親が魔物に襲われて死亡し、母親も娼館で知り合った男を追って失踪する。
ヒミカは学院を退学することになり、クライドと会うことはなくなった。
クライドは学院を卒業し、ただ一人の勇者を夢見て冒険者となる。
つまり、幼き二人の夢は、最初から叶うことはなかったのだ。
「どうしたのヒミカ、またいじめられて泣いてるの?」
物語に出てくる王子様のような、ストレートの金髪。
幼い顔立ちに宝石のような瞳を輝かせているクライドが、泣きじゃくるヒミカの顔を覗き込む。
「うぇえん! ひっく、だってぇ……。クラスの子がいじめるんだもん。私のお母さんが、みずしょうばいしてるからって、わたしも男の子をだましてお金を盗むんだって。わたし、そんなこと絶対しないのに」
ある日の学院、放課後。
まだ【適正】にも目覚めていない幼い頃の記憶。
「人の悪口なんて気にするなよ。大人になったら見返してやればいいんだ」
クライドは鞄を置いて、腰に下げた木刀を抜いて素振りを始める。
授業が終わった後はいつも、一人ここで鍛錬を続けているのだ。
ある日、ヒミカは、一人で泣ける場所を探していて、たままたクライドと鉢合わせた。
逃げようとしたヒミカをクライドは優しく呼び止め、慰めてくれた。
それ以降、二人は子供ながら逢い引きするようになったのだ。
「見返す? もしかして、クライドも誰かを見返したいから毎日すぶりをしてるの? 頭もよくて運動もできて、ケンカも強いのに?」
「そうだね。僕がどれだけ剣の成績がよくても、気にくわなくて陰口言ったり、ケンカを挑んできたりするヤツらがいる。僕は奴らに何もしてないのにね」
「わたしとおんなじだ。ヒミカも、クラスの子には何もしてないのに。……あ、ごめんね。私はクライドと違って頭悪いし剣もへたっぴだから、同じじゃないね」
「そうだね。同じじゃないよ。僕とヒミカは」
「え?」
「あ、ううん。なんでもない」
ヒミカには聞こえないくらいの小さな呟き。
「話を戻すけど、僕のことを気に入らなくてケンカを挑んでくるようなヤツらは、負けたって僕のことを尊敬したりしないよ。それはね、僕のことを自分よりちょっと強い程度の、所詮世の中全体から見れば大したことない存在って思ってるからなんだ。だから僕は誰よりも、もっともっと強くなりたいんだ。そう──世界を救う、勇者みたいに」
「勇者……カッコいいね!」
軽く身を弾ませたヒミカの胸が大きく揺れた。
子供ながら、大人顔負けの巨乳だった。
「……ヒミカは、将来は何になりたいんだ?」
「う~ん……。わかんない。わたし、得意なことなんて、お祭りの日に、お歌や太鼓に合わせて踊ることくらいしかないし……」
「じ、じゃあさ、僕が勇者になったら、ヒミカをお嫁さんにしてあげてもいいぜ」
「お嫁さん! ほんとう!? こんな、貧乏で何もないわたしをお嫁さんに選んでくれるなんて、クライドはかっこいいね!」
上目遣いで潤んだ瞳。
純真無垢で、自覚のない眼差し。
当然、魔力なんて込められているはずもない。
少年であるクライドは、下半身が熱く滾るのを自覚して、ヒミカに一歩近づいた。
「クライド? どうしたの?」
何かを察したのか、無意識に離れようとしたヒミカに対して、手の平で壁をドン! と叩く。
「ひっ」
逃げ場を封じられた。
「ヒミカのこと、触りたいんだよね」
クライドの手が、ヒミカの大きな胸に伸びる。
「あっ……はぁっ……ふっ……んんっ」
「すげぇ……鷲掴みにしてるのに、手から肉が零れ落ちるっ……!」
人気のない学び舎に響いていた素振りの音は、まだ幼き男女の吐息に変わる。
「んっ……そこ、ぐりぐりしちゃ……っ」
閉じた太ももを割られ、下着に膝を押し付けられる。
クライドはかなり興奮しているのか、かなり力が入っていたにも関わらず、ヒミカは今まで感じたことのない下腹部の切なさに思わず喘ぐ。
「はぁっ……はぁっ……」
やがて、互いの呼吸と目線が重なり、最後に唇同士が吸い寄せられていく、その時だった。
『ん? もう授業は終わったのに、まだ誰かいるのか?』
「まずい、先生だ。逃げよう!」
「あ、うん」
こうして、たわいのない一日が終わる。
しばらくして、冒険者だったヒミカの父親が魔物に襲われて死亡し、母親も娼館で知り合った男を追って失踪する。
ヒミカは学院を退学することになり、クライドと会うことはなくなった。
クライドは学院を卒業し、ただ一人の勇者を夢見て冒険者となる。
つまり、幼き二人の夢は、最初から叶うことはなかったのだ。
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