【R-18】踊り子なのに世界を救えと命令されて? ~勇者として魔王を逝(イ)かせる旅に出ます~

湊零

文字の大きさ
65 / 95
第三章『王子様、現る!?』

第65話 魔王

しおりを挟む
 ぴしゃりと手を撥ね除けられた。
 驚いて漏れた声は、喉に引っかかって、呼吸の仕方さえ忘れてしまう。
 
 次の瞬間、思いきり胸ぐらを掴まれた。
 乱暴に扱われても、深紅のベラは破れることなく、大きすぎる胸が零れ落ちるように外側へはみ出した。

「お前が俺の夢をぶち壊したのか、ヒミカ」

「なに、言ってるの、クライド……?」

「今お前が言っただろう! ヒミカ、お前が勇者だと! ふざけるな、ふざけるな!! あの役立たずのヒミカが、役立たずの【踊り子】の分際で、最強【竜剣士】であるクライド様を差し置いて勇者だと? しかも娼館で働いている娼婦で魅了の力? なんだそれ。ああそうだな、確かにお前は汚らわしい」

 目には見えない言葉が、鈍器となって頭蓋を殴打し、刃物となってヒミカを串刺しにしていく。
 拒絶されても仕方ないと思った。拒絶されるべきとも自身を断じた。
 けれど勇気を出して伝えたのは、幼い頃の記憶がヒミカとクライドを今も繋いでくれていると思ったから。

 こんな結末は、あんまりだ。

「どうして……。どうしてそんな言い方をするの? 私だって、学び舎スクールでクラスの子にイジメられていた私を慰めてくれた、クライドのことを……っ! クライドだって!」

「俺が、ヒミカのことを……?」

 澄み切ったアクアマリンの瞳は、鉛色に濁っていた。

学び舎スクールトップの優秀な剣の成績を修め、次期勇者候補だと崇められた俺様が、貧乏人で役立たずなお前に声をかけた理由がわかるか?」
 
 知りたくもない。
 すっかり怯えきたヒミカを嘲笑うクライドの、端正な顔の口元が耳まで裂けるほどに歪む。

「ヒミカぁ、お前がガキのくせにエロい身体していたからに決まってんだろ」

「……っ!?」

「けどお前、恥ずかしいのか知らないけど、一丁前にガードが堅いのなんのって。勇者候補の俺が雌豚を抱いてやるってのによ。挙句の果てに学び舎スクールを中退してお預けだと? 調子に乗りやがって、お前まで俺を馬鹿にするのか? ああ、そうだ。ヒミカ、今ここで俺の時間と、夢をぶち壊した詫びをしろよ」

 まくし立てたクライドが、何のためらいもなく下半身の鎧とズボンを自ら剥ぎ取った。

「ひっ……」

 異形の男性器。
 先日、ヒミカが手で扱いたとは全く違う。

 竿全体が充血して血のように赤い。
 蜘蛛の巣さながらに張り巡らされた血管の一つ一つが、遠目から見ても脈打っているがわかる。
 先端はやじりの如く尖っていて、一度挿入したら簡単には抜けないようにがついたエラを張っている。

「なによ、これ」

「ククク……クカカ! 勢い余って、俺様が人間辞めてるってことがバレちまったぜ! まぁいいさ。目的の勇者が目の前にいるんだからよぉ」

「クライド……? いや、あなた誰なの!?」

「誰も彼も、ボクだよ。正確には、遠隔でヴィーヴィルと繋がっているだけの精神的な存在だけどね」

 急に、声の雰囲気が幼い子供の声に変わった。

「魔王……!? あんたが全ての元凶……っ!」

 ヒミカは思わず後ずさるも、そこが限界だった。
 レンガの破片がパラパラと音を立てて落下していく。

「バカだよねぇも。遊撃部隊だかなんだか知らないけど、ノコノコ魔王城の近くに現れてさ。ヴィーヴィルならともかく、魔王族は勇者の力を宿した神聖武装がないと倒せないのになぁ。たまたまの練習をしていた、ボクと出会っちゃったのが運のツキだね。余りにも弱っちくて、『力が欲しい、勇者になりたい』って嘆くもんだから、お望み通り力を与えてやったんだ。勇者を滅ぼす側として、ね」

「クライドは、ヴィーヴィルに操られて……?」

「おおっと。都合よく解釈しようとしているけど違うよ。ボクは魔王であって、クライドの別人格じゃない。だから勇者ヒミカ、クライドがキミに対して吐いた、ボクでさえドン引きする程の汚らしい言葉の数々は、正真正銘の本音、本物だよ」

 涙が頬を伝う。
 暴言を笑って流せるほど、ヒミカは強くない。
 今更被害者うるつもりなんてない。
 
 悲劇のヒロインを演じようなんて思わない。
 
 ただ、夢を見ていたかった。
 どれだけ貧乏でも、苦しくても、いつか素敵な王子様が助けてくれる。
 そんなありきたりで平凡な夢を見ることすら、許されないのだ。

「さて、と。それじゃあボクは眠くなってきたし、退散するよ」

 クライドが欠伸をするように唾を吐き捨てると、何か黒いものがべちゃり、と落ちた。
 唾液塗れのヴィーヴィルだった。

「なんだ? 今、一瞬意識が……? まあいい。俺の役目はまだ成長途中の魔王様に代わって勇者を殺すこと。……いや、すぐには殺さねぇ。その前にヒミカ、お前の身体はこのクライド様がしゃぶり尽してやるよ」

 魔王の意識がクライドに戻ったらしいけど、もうどうでもよかった。
 ヒミカは全身の力が、抜けたまもう動けない。
 踊り子としても、勇者としても必要とされてない。

(私に、一体何の価値があるの? もう、どうでもいいよ)

「魔王族と勇者のセックスなんて前代未聞だよなぁ。たぁっぷりナカ出ししたら、悪魔の子を孕むのか? ククク、魔王様には申し訳ないが、先に美味しく頂きますか」

「う……」

 ウネウネと動く肉の触手と、蛇のように長い舌を揺らしながら、クライドがヒミカに襲いかかった。

「う、うああああああああああああああっ!」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

囚われの姫君の♥♥♥な舞台裏

AIに♥♥♥な質問
ファンタジー
清楚で可憐な王女、魔物を操る敵国に幽閉、肉体改造。何も起きないはずがなく…。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

金髪女騎士の♥♥♥な舞台裏

AIに♥♥♥な質問
ファンタジー
高貴な金髪女騎士、身体強化魔法、ふたなり化。何も起きないはずがなく…。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

処理中です...