【R-18】踊り子なのに世界を救えと命令されて? ~勇者として魔王を逝(イ)かせる旅に出ます~

湊零

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第四章『魔王城で婚活を!?」

第83話 騎士VS大淫婦ラミア 決着

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 ユーマはラミアの背中に剣を突き刺したまま、素早く身を翻してベッドに着地した。

(下半身が蛇の魔物でも、上半身は人間なら、心臓も同じ位置にあるはず!)

「こ、の……マセガキがあああああああああああっ!」

(く、身体が大きくて、一撃じゃ無理か!?)

 子をあやす母の如き面影は消え失せ、瞳孔を矢のように細く、耳元まで口が裂けるほど咆哮しながら、本性を現したラミアはユーマに向かって突進する。

「ぐ、う……っ!」

 大楯でなんとか致命傷を免れる。
 ユーマが騎士の中でも【盾騎士】の【適正センス】でなければ、身体は盾ごと吹き飛ばされていただろう。

「こざかしいわぁ! ──【幻惑の魔眼イルジオン】!」

「う、ああああっ!?」

 脳がぐわんぐわんと揺れて、盾を鷲掴みにするが、涙交じりにユーマの心を揺さぶる。

「マセガキがぁっ! 魔眼は解けていないはずなのに、一体なぜ……っ!?」

『ユーマ! 一体どうしちゃったの!? ヒミカのこと、嫌いなの?』

「どうしたもこうしたも、僕は最初から……上半身がヒミカで、下半身が蛇のにしか見えてないんですよ!」

 ドガッ! 
 盾を踏み台として飛び上がり、咄嗟に被った兜でヒミカ──もとい大淫婦ラミアの鼻っ面を叩く。

「ギィ、ヤァアアア! アタシの美しい美貌がああああっ! なぜ!? なぜ魔眼が効かない……っ!? この感じ、まさか、天性の【対魔力】かぁっ!?」

「どうやら、そうみたいですね」

 ラミアの魔眼は、最初からユーマにとって不完全な状態で効いていた。

(心当たりは、ある)

 思えば、セントエルディア城で初めての、ヒミカとの出会い。
 勇者を守る騎士として、誰よりも居た。
 ヒミカが魅了を発動している最中でも。

(もちろん、踊ってるヒミカさんに近づけば勃起もするし、ときどき凶暴な衝動に駆られる時もある。けど、今と同じで半分ぐらいしか効いてないんだ)

 今まではヒミカが上手く魔力を調整しているのかと思っていた。
 けれど、実際はユーマが持つ潜在的な素質が、勇者の力を完全とはいかないまでも、弾いていたのだった。

「どうして、勇者でも【魔法士】でもない僕にそんな力があったのかは分からない。でも、もう何度魔眼を直視したって、あなたは鼻血を垂らした醜い怪物にしか見えない」

「あり得ない……っ! 魔界戦線でキサマはアタシの魔眼を受けて気絶していたハズ!」

「ああ、アレか。実は、僕高所恐怖症なんですよ」

「馬鹿、な」

「つまり、ここで目を覚ましてからは、全部演技だったんです。なにより、ヒミカさんとシてる時と違う。ヒミカさんはお前みたいなビッチじゃない。だからま×こはもっとキツいんです」

 我ながら変態だと思う。
 隣に本人が居たら、きっと殴られるだけじゃ済まない。

「ん、んふふ。ヒミカって子がいなかったら、あるいは坊やが勇者だったかもしれないわね。しくじったわ。巣穴におびき寄せた獲物にヤられるなんて」

「恥ずかしい話、魔物相手でもこんなに気持ちいいんだって、溺れ死ぬところでした。自分の性欲が少し恨めしいです。あ、ヒミカさんには内緒にしていてくださいね」

「坊や、子どもじゃないわねぇ。アタシは子どもは好きでも、口先だけ大人ぶったマセガキは大嫌いなのよ」

「僕、人間界だと年齢的には成人なんです。チビなのはコンプレックスで」

 ラミアはもう返事をしない。

 心臓を刺され、流した血が多すぎたようだ。

「勝った……」

 ぐっ、と拳を握る。

「ゴブリンにさえ手こずっていた自分が、魔王の眷属を倒した。それも一人で!」
 
 頭に嵌めた兜以外全裸でなければ、もう少し格好良かった気がするけど。

「早くヒミカさんの元へ行かなきゃ」

 急いで鎧に着替え、ラミアの死骸から剣を回収し、部屋を後にする。 

「なんだ、これ、迷路みたいだし通路の一つ一つが長い」
 
 部屋の外は薄暗く、とてつもなく巨大だ。
 魔王城の構造が分からない以上、闇雲に駆け回ることしかできない。

「ヒミカさんは、どこだ……?」

 想い人は、恐らく魔王の元にいるだろう。
 魔物とセックスしていたユーマが言えたことじゃないが、胸騒ぎが止まらない。
 姿を見たことのない魔王はヒミカに妙な執着心を持っていたけど、今は信じるしかない。
 
 【対魔力】があれば、勇者ではない自分でも力になれるかもしれない。
 
(とはいえ、少し複雑な気分ですよ。まさか、ヒミカさんの魅了が僕に通じないなんて)

 ヒミカは幼馴染のクライドのことが好きだった。
 ユーマもまた、ヒミカの魅了は通じない。
 ヒミカとユーマは、あくまでも勇者と騎士で、結ばれることはない。

 そう、神様に告げられているかのような気がして。

「いや、違うな」

 弱気になりかけた頭を叩く。

「魅了が効かなくたって全く関係ない。僕はとっくに、身も心もヒミカさんに堕とされているんだから」
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