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やり直し
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それから時は流れ、僕は10歳、ティアは8歳になった。
あれからも度々アダムス家には招待してもらい、何度かティアも連れていった。だが、ティアとゾーイは折り合いが悪く、顔を合わせる度に口論になってしまう。
まあ、内容は大したことないので、喧嘩するほど仲が良い、と言える程度ではあるのだが。
ゾーイの家族たちからは微笑ましいものでも見るような目で見られ、夫人には「ジョシュア君の争奪戦ね。」なんて揶揄われた。
そんな前世の過去からは想像もできないくらい和やかな日々を送っていた僕は、また大きな節目を迎えようとしている。
そう、今日は義弟のテオドアが家へやってくる日なのだ。それを知っている僕は、緊張しながらお父様に呼び出されるのを待った。
今世の目標はティアを幸せにすることだが、そのためには将来鍵を握るであろうテオドアとも仲良くしておきたい。
何より、最後の最後に自分を気遣ってくれた義弟だ。彼のこともきちんと知っていきたいと思う。
そしてついにその瞬間がやってきた。
お父様に呼び出され急いで客間に向かうと、そこにはまだ幼さを感じさせる8歳のテオドアがいた。
「お前が役に立たないから優秀な養子を迎え入れたのだ。」
お父様が過去と同じ言葉を吐く。
「そうですか。」
僕はその言葉に無感情で返事をした。お父様には苛立ったように睨まれたけれど、他に言うべき言葉が思い浮かばない。
そして目の前に立つテオドアを見る。彼はどこか所在なさげで、不安そうな青い瞳が僕を見つめ返した。
過去では水属性で魔力量も多い優秀な子供、という紹介通りの情報しか知らなかったが、今日からは僕の義弟になるのだ。彼ともティア同様兄弟として仲良くなりたい。
「初めまして、僕はジョシュア。君の義兄になります。よろしくね。」
僕は努めて優しく見えるようテオドアと同じ目線まで屈んで自己紹介をした。すると、彼は怯えつつも「…よろしくお願いします。」と返してくれた。
出だしとしてはこんなものだろうか。
なんでも、彼は遠い親戚から養子にと譲り受けたのだそうで、恐らくはお父様が無理矢理連れてきたのだと思う。前世でのテオドアの両親に対する態度を見ても、良好な関係が築けていたとは思えない。
もしかすると、彼も孤独だったのだろうか。そこまで考えて、何も知ろうとしなかった自分が申し訳なくなる。
「ほら、もうお前はいい。部屋へ戻っていろ。」
すると、お父様が鬱陶しそうに僕を下がらせようとした。
どうやら、テオドアと交流させることが目的なのではなく、自分が後継ではないと言うことを思い知らせるため呼び出されたようだ。
「わかりました。それでは失礼します。」
まあテオドアと関わる機会はこれから山ほどある。そう考えて僕はその場を後にした。
あれからも度々アダムス家には招待してもらい、何度かティアも連れていった。だが、ティアとゾーイは折り合いが悪く、顔を合わせる度に口論になってしまう。
まあ、内容は大したことないので、喧嘩するほど仲が良い、と言える程度ではあるのだが。
ゾーイの家族たちからは微笑ましいものでも見るような目で見られ、夫人には「ジョシュア君の争奪戦ね。」なんて揶揄われた。
そんな前世の過去からは想像もできないくらい和やかな日々を送っていた僕は、また大きな節目を迎えようとしている。
そう、今日は義弟のテオドアが家へやってくる日なのだ。それを知っている僕は、緊張しながらお父様に呼び出されるのを待った。
今世の目標はティアを幸せにすることだが、そのためには将来鍵を握るであろうテオドアとも仲良くしておきたい。
何より、最後の最後に自分を気遣ってくれた義弟だ。彼のこともきちんと知っていきたいと思う。
そしてついにその瞬間がやってきた。
お父様に呼び出され急いで客間に向かうと、そこにはまだ幼さを感じさせる8歳のテオドアがいた。
「お前が役に立たないから優秀な養子を迎え入れたのだ。」
お父様が過去と同じ言葉を吐く。
「そうですか。」
僕はその言葉に無感情で返事をした。お父様には苛立ったように睨まれたけれど、他に言うべき言葉が思い浮かばない。
そして目の前に立つテオドアを見る。彼はどこか所在なさげで、不安そうな青い瞳が僕を見つめ返した。
過去では水属性で魔力量も多い優秀な子供、という紹介通りの情報しか知らなかったが、今日からは僕の義弟になるのだ。彼ともティア同様兄弟として仲良くなりたい。
「初めまして、僕はジョシュア。君の義兄になります。よろしくね。」
僕は努めて優しく見えるようテオドアと同じ目線まで屈んで自己紹介をした。すると、彼は怯えつつも「…よろしくお願いします。」と返してくれた。
出だしとしてはこんなものだろうか。
なんでも、彼は遠い親戚から養子にと譲り受けたのだそうで、恐らくはお父様が無理矢理連れてきたのだと思う。前世でのテオドアの両親に対する態度を見ても、良好な関係が築けていたとは思えない。
もしかすると、彼も孤独だったのだろうか。そこまで考えて、何も知ろうとしなかった自分が申し訳なくなる。
「ほら、もうお前はいい。部屋へ戻っていろ。」
すると、お父様が鬱陶しそうに僕を下がらせようとした。
どうやら、テオドアと交流させることが目的なのではなく、自分が後継ではないと言うことを思い知らせるため呼び出されたようだ。
「わかりました。それでは失礼します。」
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