悪役令嬢の兄のやり直し〜侯爵家のゴーストと呼ばれた兄ですが、せめて妹だけは幸せにしたいと思います〜

ゆう

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やり直し

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そうして家に戻った翌日、僕はティアとお土産にもらったお菓子を食べている。

「ティアはこのお菓子知ってた?」
「はい、以前トレイシー伯のお茶会で食べたことがあります!」

お菓子を頬張りながらそう答えた彼女に、やっぱり知らなかったのは僕だけだったと密かにため息をこぼす。

ティアでさえ知ってるようなお菓子の名も知らないなんて、さぞ世間知らずに映っただろう。

今になってゾーイが驚いていた理由を知り、我ながら自分の無知さに呆れてしまう。これからは本の知識だけではなく、一般常識も身につけていかなくては。

そんなことを考えつつお菓子を口に放り込む。とても甘くて美味しいそれは、昨日の出会ったばかりの素敵な家族を思い出させた。

(僕もあんな家に生まれていれば…)

アダムス伯爵家なら、息子が魔力属性なしの出来損ないでも溺愛しそうだ。家族に愛されるとは、一体どんな感じなのだろう。

もし僕がゾーイと婚約したら…彼らは僕のことを息子のように可愛がってくれるのだろうか。そんなありもしないことを想像して空を眺める。

「お兄様?上の空でどうされたんですか?」

すると、ティアがつまらなそうに声をかけてきた。

「ああ、ごめん。昨日のことを思い出してたんだ。」
「…素敵な令嬢のお家のこと?」
「ああ。彼女の家族はとても温かくてね。皆仲良しなんだ。ああいうのをきっと理想の家族って言うんだろうな。」
「ふーん…ティアは別に羨ましくありませんけど。」

まるでふてくされたようなティアの言葉に驚いて目を見開く。

「え、そう?お父様もお母様も兄弟とも仲が良いんだよ。全然羨ましいと思わない?」

するとティアは少し躊躇いがちに口を開いた。

「…ティアにはジョシュお兄様がいるからそれで良いの。」
「ティア…。」

彼女がこんなにも僕を拠り所としてくれていたなんて。思わず嬉しさが込み上げる。

それと同時に、無いものばかり追い求めてゾーイを羨ましがっていた過去の自分が恥ずかしい。

「そうだね。僕もティアがいるからこの家で頑張って行こうと思えるよ。」
「えへへ、お兄様もティアがいれば大丈夫?」
「ああ、ティアがいてくれたらそれだけで幸せだ。」

僕は恥ずかしそうに顔を抑えているティアの頭を撫でる。両親に愛されないことがなんだ。こんな可愛い妹に慕われているのだから、僕は十分幸せだ。

心の底からそう思って、やはりティアの幸せをなんとしても守らなければと改めて決意をした。
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