悪役令嬢の兄のやり直し〜侯爵家のゴーストと呼ばれた兄ですが、せめて妹だけは幸せにしたいと思います〜

ゆう

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やり直し

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お茶会が始まると、エドワード王子とティアは向かい合う席に案内され話を始めた。

「アリスティア嬢の瞳はとても綺麗だな!」
「まあ、そう言っていただけるととても嬉しいですわ。でも私は殿下の瞳の方が、宝石のようで好きです。」

殿下はティアと同じ年齢のはずだが、彼女と比べるとやや態度が子供っぽく見える。だが、婚約者を気遣う様子が見てとれるので、ティアのことを嫌っているということはなさそうだ。

ティアの感情は掴めないが、雰囲気も良く、特に問題は起きそうもない。僕は身構えていたものの、今のところ王子との関係はティアが断罪される大きな原因にはならなそうだと胸を撫で下ろした。

だが、だとすると聖女の存在が大きいのだろうか。
確か彼女が現れるのはティアが学院に入学してからなので、ティアたちが14歳で、僕が16歳になる頃か…

聖女が原因だとすると、彼女が現れて一年足らずであのような断罪劇にまで発展してしまったことになる。これは聖女の動向を早めに探っておいた方がよさそうだ。

そう思って再び彼らに意識を戻すと、再び王子と目があった。

僕は流石に何度も顔を逸らすわけにもいかず軽く会釈をする。すると、彼が好奇心を滲ませた声で話しかけてきた。

「そなたがジョシュア殿か。実は今日会えることを楽しみにしていたのだ。噂通り本当に真っ白なのだな。」

その言葉に侯爵家側の人たちが固まる。

「…はい、改めましてジョシュアと申します。楽しみにしていただいていたなど恐縮です。」

一瞬固まってしまったが、なんとか礼を返して彼の出方を伺う。

「そうかしこまらないでくれ。ウッドセン家のゴーストなどと呼ばれるくらいだからどんな恐ろしい姿をしているのかと思えば、なんだ、美しいではないか。」
「それは…ありがとう、ございます?」

褒められているのか貶されているのかよくわからない彼の言葉に、僕は疑問符を浮かべて答える。

「なるほど。真っ白で滅多に姿を見ることがないからそのように呼ばれていたのか。」
「ええ、まあ…」

彼の言葉に真意を探ろうとすが、表情を見ても好奇心以外の何かは感じられない。

どうやら何か含みがあるわけではなく、純粋に噂のに会うのを楽しみにしていたようだ。

なんだか毒気を抜かれつつ、王子がこのような愚直な態度で大丈夫なのだろうかと不安になった。

王と王妃も気まずげな視線を交わしたが、特に王子を窘めることはしなかった。

「確かに瞳もグレーとは珍しい。魔力が使えないのは残念だが、持って生まれたものは変えようがないからな。外に出ることを恐れずとも私やアリスティア嬢がそなたのことも守り支えるさ。」

一見優しさを感じるセリフなのだが、胸に引っかかるものを覚える。

魔法至上主義のこの国で差別せず受け入れてくれるだけでもこの王子は殊勝なのだろう。だが、僕のことを守られるべき弱い存在だと言われたようで胸にムカムカしたものが込み上げた。

しかも、妹であるティアに守ってもらえ、とは…

「もったいないお言葉をありがとうございます。」

だがせっかく彼とティアはうまくいっているのだ。それを僕がぶち壊すわけにはいかない。

そう思って慇懃にお礼を言えば、「なに、王子として力の無いものを守るのは当然のことだからな!」と胸を張られてしまった。

どうやら悪い人間では無さそうなのだが…

あまり国王には向かなそうな彼の性格に、婚約者となるティアが苦労するのではと別の心配が生まれた。



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