【完結】欠陥品と呼ばれていた伯爵令息だけど、なぜか年下の公爵様に溺愛される

ゆう

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本編

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俺は部屋に戻って侯爵から届いたという服を確認した。

白地に銀の羽の刺繍があるその服はまるで天使を連想させるとても美しいものだった。もちろん通常の型の服なので右腕は寂しくぶらついているが・・・ザックのような気遣いを期待する方が無茶だろう。

きっとカインなら着こなすのだろうが俺には似合わなかった。というかカインがよく着ている服に似ている気がする。

「まあ、服を贈ってくれるだけありがたいか。」

なぜ侯爵が俺と婚約したいのかは謎だが、少なくともそれ相応のことをやろうとはしてくれてるらしい。俺は服を仕舞ってベッドに寝転がった。

今頃ザックはどうしているだろうか。少しでも寂しいと思ってくれていたら・・・自分から出て行ったくせに勝手だとは分かっているが、そう思わずにはいられない。

「俺は本当に嫌なやつだな・・・」

ザックのことが大好きなのに、せめて今だけは傷ついていてくれたら嬉しいだなんて。

俺はそんな醜い考えを振り払うように布団を被った。今は侯爵との夜会のことを考えよう。もう一度礼儀作法を確認した方がいいかもしれない。

侯爵と話してみて、やっていけると思ったら婚約の話を受けよう。そしてザックには心移りしたとでも言うのだ。

・・・本当のことを言ったらザックは諦めずに俺を助けてくれようとするかもしれないから。

そう考えたところで胸がズキンと痛んだ。

いつの間にかこんなにもザックのことが好きになっていたらしい。最初は弟のような存在だったのに、再会してからはあまりの溺愛ぶりにすっかり絆されてしまった。

いっそ再会などしなければ今頃平民としてルイスたちとそれなりに楽しくやっていたのではないかと思わなくもないが、ザックとの楽しかった日々を思い出すと、全てを無かったことにしたいとは思えなかった。

(半年の期間を設けて本当に良かった・・・)

それがなければさっさと結婚して今より事態が大きくなっていたかもしれない。

「これで良いんだ・・・」

俺は自分を納得させるようにそう呟く。そしてザックを諦めようと決意してそっと目を閉じた。

その後、俺はまるで心の整理をつけるように翌日までぐっすりと眠り続けた。




「本当に大丈夫?」

カインが夜会へ参加する準備を進める俺の顔を覗き込む。

「大丈夫だ。一緒に夜会に参加するだけだし。ザックと行ってた時と変わらない。」
「でも、今日は公爵は隣にいないんだよ?」

そう、今日は初めてザックなしで社交の場へ参加する。その事に不安がないわけではないが・・・

「そうだけど・・・今までだってつきっきりだったわけじゃないし、そう変わらないさ。」
「だと良いんだけど・・・」

俺は、カインに、というより自分を安心させるようにそう返した。そういえば、あれからザックから連絡がないがどうしているのだろう。もしかして、勝手に家へ帰った俺のことを怒っているのだろうか。

それならそれで都合が良い・・・そうして、俺は不安そうなカインに見送られながらやってきた侯爵の馬車に乗り込んだ。


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