君が届かなくなる前に。

谷山佳与

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第1章 王太子殿下の婚約者候補

歪みが始まる3。✩

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王城へ馬で掛けてきた私とライは、一直線にルイ兄様の執務室を目指す。
途中レオ兄様にお会いしたので、ルイ兄様の居場所を聞けば、”先ほど図書館でお会いしました。”と情報を貰えた。
図書館は一般棟と王族居住区の丁度境にある。
大きな図書館の扉を開けば、窓辺に目的の人物を見つけた。

「叔父上!」
「ルイ兄様!」
「おや、レティーシア。それにライラックも。二人揃ってどうしたんだい?」
「あの、ですね、精霊や妖精は特定の人物に嫌がらせをしたりするものですか?」
「それは、その者達によるだろうけれど、一先ず図書館ではもう少し声を落とそうね。」
「っ、申し訳ございません。」

いくつか本を手にしていたルイ兄様に、人差し指を口元に近づけ静かにね。と言われた。
急いでいたという理由もあるが、他に利用者が居なくてよかったと安堵する。
迷惑をかけてはダメだもの。

「叔父上、実はこんな石を今朝拾いまして。」

保管をしていた瓶をライが取り出しルイ兄様に見せる。
じっと瓶の中の石を見つめたルイ兄様は、珍しいというような表情をした。

「それは、精霊石の欠片だね。」
「何の精霊か判りますか?」
「それはもちろん判るけれど、どうしてライラックとレティーシアがそれを持っているの?」

やっぱり事情を説明しないといけないかと、内心呟く。
ルイ兄様なら特に理由を聞かずに教えてくれるかと思ったのだけれど、今朝拾った石が精霊石だと
分かれば、事情は聞かれるだろうな。と思っていた。
すぐにラズ様に報告されそうな感じだけれど・・・。

「今朝、教室でレティが拾いました。」
「拾った?精霊石それを?なぜ教室にそんなものが落ちていたんだい?」
「分かりません。」

きっぱりと言い切るライを見上げる。
確かに嘘は言っていない。
今朝、教室で私が拾った。落ちていた理由は分からない。
間違いない。

「精霊石って精霊の属性によって基本的に色が変わるんだよ。ライラックが持っているのは、闇属性の精霊石だ。だから、学院でしかもレティーシア絡みで何かあったのでしょう・・・・・・・・・・?」

さすがルイ兄様。ライが話さなかった経緯を聞いてきた。
闇属性の精霊石ってちょっと危険なイメージがある。

「ルイ兄様、実はですねここ数日物理的に幼稚な嫌がらせを受けてまして、その、ゴミが積み上げてあったり、落書きされてたり、机自体が別校舎に隠されていたり、今日は机が木の蔦のようなものでからまって、その根元にその石が落ちてました。」
「確実に精霊の仕業ですね。でも、闇属性の精霊は今王が眠っているから、一緒に眠っていると伺ってたのですが。一部起きちゃったのでしょうか?」
「建国祭前の忙しい時期に、正直ストレスは軽減したいなと思いまして。」
「ストレスですか?」

凄く意外そうな表情をされて苦笑をする。
嫌がらせによるストレスというより、周りのイライラがピークに達しそうなので困っているのだ。

「毎回ライを宥めるのは大変なんです。」
「俺は毎回怒ってない!」
「似たようなものです。」

この一言で察したルイ兄様はなるほどと、納得されてしまった。

「では、可愛いレティーシアの為に、私が精霊・妖精が学院内に入れないように結界を張りましょうね。精霊と契約をしている生徒も居るでしょうから、もし契約をしている精霊の悪戯であれば、契約をしている生徒が分かるようにしておきますから。」
「ルイ兄様有難うございます!」

お礼を言えば頭をポンポンと撫でられた。

「いえいえ。じゃあ、早速やりましょうか。」

奥の方から学院の地図を持ってきたルイ兄様は、全体の見取り図のページを開くと四方に小さな液体の入った小瓶を置いていく。

パチン

と指を鳴らすと小瓶が光学院を四角で囲う。
その光を一つにまとめ、ラズ様に貰ったピンキーリングの花の一つに入れ込んだ。

「その指輪に、結界が崩れないように入れこみましたから、指輪が壊れない限り、精霊よけの結界は効果ありますよ?ライラックも綻びが無いか学院内で一応確認しておいてくださいね。結界は私の魔力で組上げてますからちゃんと分かりますよ。」
「叔父上、有難うございます。」
「どういたしまして。」
「ルイ兄様、私達は学院へ戻りますわ。建国祭でお会いできるの楽しみにしております。」
「気を付けてお帰り。二人とも当日会えるのを楽しみにしているよ。」
「「はい。」」

笑顔で返事をして、図書館を後にした。
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