君が届かなくなる前に。

谷山佳与

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第1章 王太子殿下の婚約者候補

王太子殿下とお兄様2。

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王太子宮のラズ様の執務室前で、リリー姉様と別れた後私はヴィー姉様と扉をノックした。
中から扉を開き出迎えてくれたのは、次兄のアルベルト・フォン・エレノアール。
私と同じオレンジ色の髪と薄い黄色の瞳を持っていて、短い髪は無造作にセットしていて、鍛え上げられた体躯は紺色の軍服に身を包んでいた。

「レティ!」

器用にヴィー姉様を後ろにいたレオ兄様に渡し、思いっきりハグをされたかと思えば片腕に抱き上げられた。
バランスを崩さぬ様肩に手をつき体を支える。

「器用な事なさいますわね、アル兄様。」

そうか?と首を傾げた兄様を見た後、レオ兄様とヴィー姉様を見れば何事もなかったかのように、二人で立っていた。

「お久しぶりですアル兄様。」

キュッと頭に抱きつけば、そのまま頬にキスをされ、床に降ろされた。
そのままレオ兄様の所へ行けばヴィー姉様が少しレオ兄様から離れたので、そのままぎゅうとハグをし、少し背伸びをして頬にキスをした。

「レオ兄様もお元気そうで。」
「レティも相変わらず可愛いですね。」
「ふふ、ありがとうございます。」

そして、入口から更に扉を開けば、ラズ様の執務室だ。

「私もラズも今日の仕事は終わりましたので、ゆっくりしていってくださいね。あとレティには申し訳ないけれどヴィーには、頼みたい事があるのでお借りしても?」
「え?」

途端に眉尻を下げ困った表情を見せた私に、レオ兄様も困った表情をする。

「レティ、私も一緒にご挨拶は致しますわ。そして、ラズの機嫌が悪ければおじ様の所へ行きましょ?レオもそれくらい待てますわよね?」
「もちろん。」
「兄さん、ヴィー姉上俺はまだ、仕事あるから騎士団に戻るから、レティまたな。」
「お仕事頑張ってくださいね?」

クシャりと頭を撫でたあとアル兄様は部屋を出ていき、私とヴィー姉様は奥の部屋へと入っていた。
部屋に入ると、仕事は終わったと言っていたレオ兄様の言葉とは違い書類に目を通しているラズ様がいた。

「あら?終わられたのではないの?」

ヴィー姉様の声に、書類を片付け立ち上がったラズ様は困った表情を見せた。

「少しでも進めたかっただけだよ。それより、ヴィーもレティもいらっしゃい。準備は順調?」
「もちろんです。終わっているのでしたら、レティは置いていきますが、私はレオに頼見たいことがある言われましたので失礼してもいいかしら?顔を見に来ただけですし。」
「レオに、頼まれたのなら構わないよ。また、来週もくるのだろう?」
「えぇ。リリーと来ますわ」
「ならば話しがるのであればその時に。」

ひらひらと手をふり、ヴィー姉様は退出していった。
残されたのは、私とラズ様の二人。
今日はそこまで機嫌は悪そうではない。のだけれど、逆に緊張してしまう。
何を話せばいいのかが分からない。

「さて、レティは私に付き合ってくれるのかな?」
「え、えぇ。そのつもりですわ。」
「ならば少し、外に出ようか。」

にっこりと差し出された手を握りながら、そのまま私たちも外へ出ることにした。
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