君がずっと好きでした。〜君が届かなくなる前に。〜

谷山佳与

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プロローグ

一通の招待状。

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小国オステン王国。
王都にある王城には、現在国王、第1王妃、第2王妃と、王太子夫婦、王太子と同腹の末姫が住んでいる。
他の王子や王女は婚姻を機に王城を出て、それぞれ与えられた領地に家族と共に暮らしている。
兄弟は多いが、王妃同士の仲が良好なため、無駄な争いは無く王子王女達の仲も良好な関係を気づいている。
末姫のメリッサ・ジョセフィーヌ・オステンはラベンダー色の髪に、スカイブルーの色彩を持つ、兄弟の中でもおっとりとした性格のお姫様である。
メリッサはオステン王国内では珍しく、魔力量が多く17歳から隣国のフレイアス王国内にあるヴァーニル学院へ留学経験を持っていた。
創立記念パーティ後、帰国した彼女はフレイアス王国内の情報は積極的に知ろうとはしなかった。
それよりも、帰国後から急に増えた縁談をどう言い訳をして断るかということに疲弊をしていた。
正宮に行けば、登場している貴族の令息たちに声をかけられるので、よほどの事がない限り自室で本を読んだり、刺繍をしたり、国内の令嬢たちとお茶会をしたりとしながら自身の立ち位置を確認しながら自室のある王女宮で過ごしていたある日、急に父である国王陛下より呼び出しがあった。

「メリッサ様、国王陛下が至急来るようにとご連絡がございました。」

メリッサの私室に入室後、そう伝えてきたのは紺色のワンピースに、白いフリルのついたエプロンを付けている、メリッサ付きの侍女であるアルマだった。

「お父様が?・・・また縁談を断ったからかしら?」

読んでいた本を閉じ、ため息まじりに立ち上がるとアルマに身なりを整えてもらう。
そのまま、アルマを連れて国王の執務室のある正宮へと向かうことにした。



正宮へ向かう長い廊下を歩いている途中で、兄である王太子と出会った。

「メリー、君も父上に呼ばれたの?」
「ノアお兄様。はい。至急来て欲しいとお達しでしたので。」
「じゃあ一緒に行こうか。」

手を差し出され、そのままエスコートをしてもらいながら執務室の前まで来ると、入口にいた騎士がドアを開けてくれた。
アルマは私たちが入室をするのを確認すると、入口横にある控え室に入っていくのを締まる扉ごしに確認した。
失礼いたします。と室内へ入ると、国王が応接台のあるソファに座り、紅茶を飲んでいた。

「二人とも来たか。座りなさい。」

気配に気づき、国王が振り向きざまに二人をソファに座るように促した。
執務室付きの侍従がすぐさま二人に紅茶の用意をした。
用意された紅茶を一口口に含みつつ、父からの言葉を待った。

「王太子に一ヶ月後に行われる、婚姻式に私の名代として出席をして欲しいと、頼んでいたことは覚えているか?」
「はい。フレイアス王家の婚姻式でしたよね?妃は出産間近なので、私のみの出席予定ですが。」
「実はな、エレノアール候爵家の令嬢より、メリーを指名で兄君と一緒に参加して欲しいと個人的に招待状が今日届いた。メリーはエレノアール侯爵令嬢と仲がよかったのかい?」

久しぶりに聞いた、級友の名前に多少驚きつつも差し出された手紙を受け取る。

「レティーシア様は、学生会の副会長で在られましたし、クラスもご一緒でした。何かと気にかけては頂いておりましたわ。」
「では、今回の件は旧友に会いたいからということであろう。王太子殿下と第二王子殿下からも無理でなければ、ご参加くださいと別に手紙を貰っておる。」

差し出された手紙をノア兄様と一緒に読むとそこには確かに”結婚式参加への招待状”と、時間的に急で申し訳ない。と謝罪が書き込まれていた。

「分かりました。レティーシア様のお願いですしお父様がよろしければ、ノアお兄様とご一緒に参加させていただきたいと思います。」
「必要なものは急いで準備しなさい。ノアもそのつもりで準備をするように。出発は婚姻式の二週間前だったか。」
「有難うございます。」
「はい。その予定です。」
「それと、メリー。あまり焦らせたくは無いが、特定の意中の相手が居ないのであれば、そろそろ婚約者を決めるように。期限は、婚姻式から帰国するまでとする。もし、居なければ、私が進める相手と婚約するように。」

結婚相手に、とうとう期間まで設けられてしまっては、次に持ってくる縁談を断ることはできないだろう。
お父様のおっしゃられる通り、意中の相手を告げなければ。
震えそうになる声をなんとか、押さえ込み小さく返事をするとノア兄様と一緒に執務室を後にした。
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