王子の生涯物語

中臣鎌足の助

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2.お母様の憂鬱

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うちのグスタフははっきり言って可愛い。
そして優しい。
さらにイケメンだ。
しかし、王家の跡継ぎということもあり、友達が少ない。

公爵家の跡取りである、ウィリアムがいつも遊んでくれてはいるが、それ以外の友達は居ない。
それは、別にいいのだ。
無駄に変な女が寄ってきたり、よく分からない平民の子供たちと遊ぶよりかは…。

何よりも憂鬱なのは、最近、可愛い私のグスタフが、部屋にやってこないことだ。
この前、クッキーを焼く約束をしていたのを体調壊して、焼けなかったせいで怒ってるのかな、などと考えて考えて、仕方が無いのだ。
この前までは、「お母様!クワガタをとってきましたよ!見てください!」と言って、自慢げに可愛い笑顔を見せながら部屋に来たりしていましたのに…。(あれは、ゴキブリでしたけども。)

最近は、全く来ないのです。おやすみの挨拶だけきて、私が読み聞かせでもしましょうか?と聞いても、「遠慮しておきますお母様」と、とても冷たい態度…まさか、ほんとに嫌われてしまったのではないか…と。私は、とても憂鬱なのです。

――――――――――――――――――

「グスタフくんー。もう帰ろうよー。もう暗いし。僕が、グスタフ君のお父様に怒られちゃうよ…」

「もうちょっとだけ!お願いウィル!」

「もう少しだけですよ。ほんとに、もう。朝から何を探してるかも教えてくれないし。そろそろ教えてくださいよ!」

「…だって恥ずかしいんだもん!お母さん大好きかよ、とか馬鹿にされそうだし…」

「そんな、馬鹿になんてしませんから!教えてくださいよ!」

「…ほんと?」

「ホントですよ。」

「実はね…、7日後にお母さんの誕生日なんだ…。それで、いつもクッキーとか焼いてもらってて、感謝を伝えたいから、お母さんが昔欲しいって言ってた、真っ赤な薔薇をプレゼントしたくて。」

「グスタフ君…。それを早く言ってくださいよ!僕も手伝いましたのに!でも、今日は撤収です。もう暗いですし。」

「でも…」

「明日!明日、2人で真っ赤な薔薇を探しましょう。その方が見つかりますよ。」

「…そうだね。そうするよ!」

「はい!じゃあ、帰りますか。」

「うん!」


この後、どちらもお父さんからこっぴどく叱られたのは言うまでもない。


――――――――――――――――――

【使用人の休憩室】

「ねぇねぇ!偶然聞いてしまったんだけどね!」

「ん?なになに??」

「王女様がグスタフが構ってくれないー。って泣いてたじゃん?」

「うんうん。」

「グスタフおぼっちゃまね、王女様の誕生日のために、真っ赤な薔薇を探してて、それで王女様のお部屋に行けてないみたいよ。可愛いわねぇ」

「すれ違いがおおい親子ですね。」

「ですわね。」

「「あっはははっは」」


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