婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ

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第二十話

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 顔に大きなあざのある娘を醜いと思わないのか。

 その問いの答えは、あっさりと返されました。

「醜いとは思わない。確かに驚いたが、別にそれだけで……お前はとても整った顔立ちをしているし、すぐに気にならなくなった。俺は……今までの人生で、女を比べて品定めするようなことをしてこなかったからよく分からないが、お前はお前で可愛らしい、と思う」

 何とも不器用な、率直な意見です。気難しい性分の彼にしては頑張った、そう思います。

 一方の私は、初めて投げかけられた言葉に動揺していました。

「と、整った顔、なんて初めて言われました。嘘を言わないでください、私の顔のどこがそう見えるのですか」
「いや、もう一度言うが、あざは初めこそ驚くがそれだけだし、じっとお前の顔を見ていたらそう思ったんだ。今まで誰も気付かなかったんだな」

 私はしどろもどろで、もはやアレクの顔を見ていられません。たとえそれがお世辞だったとしても、そんなことを——顔を褒められるなんて、あの事故以来一度もなかった。妹をかばって顔に傷を負って、大きなあざを残してから、誰も私の顔について触れなくなったのです。

 自分でさえも、まじまじと鏡で顔を眺めることなんてありませんでした。年々育つにつれあざは少しずつ大きくなっていって、それが嫌で直視しないように癖づいていたのです。見てくれもそうですが、周囲の反応から、私のあざのある顔はあまりにも醜いのだとずっと思っていました。

 その私の顔を、アレクはじっと見て、それどころかあざを無視して私の顔のつくりを見抜きました。本当にあざのことは気にしていないのか、ヒューバートだって最初はそう言っていた、と疑いましたが、この方の性格だと無駄な嘘は吐きそうにありません。あざのことを気にしていたら、たとえ私が傷ついてもちゃんとそう言いそうです。

 アレクは慣れてきたのか、ちょっと気の大きなことを口にします。

「こう言っては何だが、それでよかった。お前のよさに気付かれていれば、お前は他の男に取られてここにいなかったかもしれない」

 頬を赤く染めて、ちょっと俯きながら、アレクはそう言いました。

 私だってそうです。そんなことを生まれて初めて言われて、照れないわけがありません。二人揃って、目を合わせられないくらい恥ずかしくなって、少しの間沈黙します。

 椅子に座った私たちは、お互い何となく気まずい雰囲気をどうにかしようとして、アレクのほうが先に動きました。

「エミー、もっと話してくれ。俺はお前のことが知りたいんだ、何でもいいから聞きたい。大丈夫、ここで話したことは秘密にするから」

 私はその言葉を信じたわけではありません。
 ですが、結婚を考えるなら話しておかなければフェアではない、そう思って話しはじめました。
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