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第二十三話
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呪いが実在するという証明のため、甥を生贄にした……そこまではまだいいのです。よくはありませんが、さておき。
ベレンガリオが知りたいのは、その背景です。
「叔父上、今更嘘を吐かないでください。フランシアから聞きました、今の王都の『魔女集会』の主張があまりにも過激であるものの、証拠もなく取り締まるには大義名分が必要……ダーナテスカを再び悲劇に巻き込まないためにも、ダーナテスカ伯爵家はフランシアを何度も王都へ送り込んで、その魔女たちを無力化しようとしていたそうですが」
ダーナテスカ伯爵邸で、ベレンガリオはダーナテスカ伯爵夫人とフランシアが王都で何をしようとしたか、その概要について説明を受けていました。
フランシアは婚約者を探すため、という偽りの目的を持って王都に何度も滞在し、『魔女集会』という組織を潜入捜査し、ときに行動を妨害していたそうです。彼女自身も魔法が使えることから、身分が怪しまれることはなかったのです。そのフランシアがベレンガリオに渡そうとしていた刺繍入りハンカチは、魔法や呪いを防ぐお守りのようなもので、結局ベレンガリオはジョヴァンナの分までポケットに詰め込まれてしまいました。
そして、機を見て、呪いを知らずに姉を傷つけたベレンガリオへ一部始終を話して恩を着せようとしていたものの、「みっともない」とダーナテスカ伯爵夫人に止められていた……ということでした。
ならば当然、セネラ子爵とフランシアは『魔女集会』捜査で知り合っていたはずです。それについてはフランシアには誤魔化されましたが、セネラ子爵から聞けばいいだけのことです。
「やれやれ、あのお嬢様は名前を出さないでと訴えていたんだが、本人が自白したのならしょうがない。そう、もし呪いがお前を蝕んだとしても、彼女の呪い返しが発動するはずだった。しかし、想定外に……ジョヴァンナの持つ、その金のフクロウのブローチの効果が凄まじくて、意図せず溢れた呪いをすべて自分に向けてしまったんだ。そして肉に転化されて今に至る」
「肉、ですか」
「ああ、肉だ。脂肪ともいう。女性は脂肪を溜めやすいが、案外魔女の呪いの耐性という意味で持ちえた特性なのやもしれない」
「そういうことだったのです! 私が! こんなになってしまったのは! セネラ子爵のせい……! 離婚宣告までされたのですよ!」
「はっはっは!」
「笑って誤魔化さないでください!」
ベレンガリオは、セネラ子爵を叩きに行こうとするジョヴァンナを抱きしめて、止めます。その怒りはもっともですし、ベレンガリオも勝手に呪いの対象にされて腹が立たないわけではないのですが、口も聞けなくなるほど痛めつけてもいけません。まだ話は途中なのです。
「まあ、毒はあくまで保険、そのせいでジョヴァンナは体調を崩した、という風説も流せる。私が実際にやったことなのだから、冤罪ではない。だろう? あとはそうだな、すべて私のせいにして、私ごと『魔女集会』を含む王都の呪い関係者を一掃する段取りはできている。とはいえ私は何食わぬ顔で、別の肩書きで王都に居座る。第一、セネラ子爵も偽装の身分だからな。何とでもなる。そういう筋書きだよ」
つまりは、セネラ子爵は己も身内も利用して、『呪い』を行使できる『魔女集会』という組織を壊滅させようとしていたのです。『呪い』の実在、そして『呪い』の被害はジョヴァンナが証明し、その一連の『呪い』の証拠を消そうと毒を盛った悪いセネラ子爵ごと、です。そうすることで、世間へ向けたお話としては筋が通ります。
ですが、保険があったとはいえ、呪いをかけたことは事実です。どんな理由があれ、そんな行動が許されれば、悪しき前例を作ることになります。
なので、セネラ子爵は自身を悪役に仕立て上げ、きちんと罪を罪として罰を受けるよう手筈を整えていました。そうすることで、世はこともなし、秩序と平和が保たれるのです。
ベレンガリオが知りたいのは、その背景です。
「叔父上、今更嘘を吐かないでください。フランシアから聞きました、今の王都の『魔女集会』の主張があまりにも過激であるものの、証拠もなく取り締まるには大義名分が必要……ダーナテスカを再び悲劇に巻き込まないためにも、ダーナテスカ伯爵家はフランシアを何度も王都へ送り込んで、その魔女たちを無力化しようとしていたそうですが」
ダーナテスカ伯爵邸で、ベレンガリオはダーナテスカ伯爵夫人とフランシアが王都で何をしようとしたか、その概要について説明を受けていました。
フランシアは婚約者を探すため、という偽りの目的を持って王都に何度も滞在し、『魔女集会』という組織を潜入捜査し、ときに行動を妨害していたそうです。彼女自身も魔法が使えることから、身分が怪しまれることはなかったのです。そのフランシアがベレンガリオに渡そうとしていた刺繍入りハンカチは、魔法や呪いを防ぐお守りのようなもので、結局ベレンガリオはジョヴァンナの分までポケットに詰め込まれてしまいました。
そして、機を見て、呪いを知らずに姉を傷つけたベレンガリオへ一部始終を話して恩を着せようとしていたものの、「みっともない」とダーナテスカ伯爵夫人に止められていた……ということでした。
ならば当然、セネラ子爵とフランシアは『魔女集会』捜査で知り合っていたはずです。それについてはフランシアには誤魔化されましたが、セネラ子爵から聞けばいいだけのことです。
「やれやれ、あのお嬢様は名前を出さないでと訴えていたんだが、本人が自白したのならしょうがない。そう、もし呪いがお前を蝕んだとしても、彼女の呪い返しが発動するはずだった。しかし、想定外に……ジョヴァンナの持つ、その金のフクロウのブローチの効果が凄まじくて、意図せず溢れた呪いをすべて自分に向けてしまったんだ。そして肉に転化されて今に至る」
「肉、ですか」
「ああ、肉だ。脂肪ともいう。女性は脂肪を溜めやすいが、案外魔女の呪いの耐性という意味で持ちえた特性なのやもしれない」
「そういうことだったのです! 私が! こんなになってしまったのは! セネラ子爵のせい……! 離婚宣告までされたのですよ!」
「はっはっは!」
「笑って誤魔化さないでください!」
ベレンガリオは、セネラ子爵を叩きに行こうとするジョヴァンナを抱きしめて、止めます。その怒りはもっともですし、ベレンガリオも勝手に呪いの対象にされて腹が立たないわけではないのですが、口も聞けなくなるほど痛めつけてもいけません。まだ話は途中なのです。
「まあ、毒はあくまで保険、そのせいでジョヴァンナは体調を崩した、という風説も流せる。私が実際にやったことなのだから、冤罪ではない。だろう? あとはそうだな、すべて私のせいにして、私ごと『魔女集会』を含む王都の呪い関係者を一掃する段取りはできている。とはいえ私は何食わぬ顔で、別の肩書きで王都に居座る。第一、セネラ子爵も偽装の身分だからな。何とでもなる。そういう筋書きだよ」
つまりは、セネラ子爵は己も身内も利用して、『呪い』を行使できる『魔女集会』という組織を壊滅させようとしていたのです。『呪い』の実在、そして『呪い』の被害はジョヴァンナが証明し、その一連の『呪い』の証拠を消そうと毒を盛った悪いセネラ子爵ごと、です。そうすることで、世間へ向けたお話としては筋が通ります。
ですが、保険があったとはいえ、呪いをかけたことは事実です。どんな理由があれ、そんな行動が許されれば、悪しき前例を作ることになります。
なので、セネラ子爵は自身を悪役に仕立て上げ、きちんと罪を罪として罰を受けるよう手筈を整えていました。そうすることで、世はこともなし、秩序と平和が保たれるのです。
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