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第2章復讐の鬼そして姫のためなら

24話 ドラゴンの巣窟

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「そこを右にいって、巨大な洞穴があるでしょ、その下に蒼龍が眠っているわ」

「承知、ジェイス右からドラゴンが来てるなんとかしてくれ、ナナーナ上だ」

「「了解」」

「アテナは道を照らすのに専念しろ、この巨大な迷宮はどうやら松明とかそういった生易しいものはないらしい、光は自分でつくれよとだ」

「な、なんかテツノブ君が別人みたいだ。いつもなよなよしているのに、それにあの子は姉さんではないですか」

「メルーナ僕はいろいろ考えた。君を守るためなら、引っ込み思案な僕から活動的な僕になったっていい、だから僕は君を襲ってない」
「うん、信じてる。だから、こうやってお姫様抱っこされてるんでしょ?」

 僕とメルーナ姫が顔を真っ赤にさせていると。

「メルーナ、あまり微笑ましいの見せられると姉ちゃんとしてはずかしんだけど」

「ご、ごめんなさい、ってやっぱり姉ちゃんじゃないの」

「わりーかよ、何度も死んでもよみがえるぜい」

「雑談終了、ジェイス左から2頭きた。ナナーナ次は下だ。てかアテナの光魔法だけど、完全に崖下しか目指してねーか、というか階段切れたぞ」

 僕たちの目の前には巨大な絶望がある。

 巨大な階段があり、
 それが途中で途切れているのだから。
 
 後ろからはドラゴンたちが獲物を求めるかのごとく、
 どしんどしんと、地面を優雅にしっぽでもって叩きつけてやってくるわけで。

 その時だ。
 僕たちの立っている階段の崖までもが崩れ始めた。

「さ、さがるのじゃ」

「これは逆に利用するぞ」

「えええ、うそでしょおおおお」

「ナナーナそんなに悲鳴をあげないで」

「姫はことの緊急事態に気づいておられますか」

「うむ、わたしは天井しか見えとらんでな」

「何気に現実逃避ですか」

「仕方ないだろう、テツノブ」

 階段はまるで斜めに傾くように倒れていく。
 僕たちは助走をつけて、落下し続けている階段を思いっきり全員でジャンプすると。

 着地したときは、足がジーンと痛みで響いた。

「や、やったぞ」

 全員が階段をジャンプすることに成功する。

「いくぞおおおお」

 僕たちは走り出す。
 後ろからは相変わらずドラゴンが追いかけてくる。
 そりゃ通路がドラゴンが通れるくらいの巨大な道となっているのだから、
 それはドラゴンたちがはびこっていても可笑しくない。

 十字路にたどり着いた。

「右からきてるぞい」

「左からもよ」

「前からも」

「後ろからも」

「どこに逃げろっていうんだよ、ちくしょおおおお、いやまてよ」

 僕は地面を見る。

「ようは下ってねえええ、ドリル斬りで使わせてもらうぜ、鋼のハルバード【ハルバ―】僕の右手に収まれ」

 突如現れたハルバード、
 それはとてつもなく思い。

「これはこれはハルバ―をおよびですかな?」
「ああ、およびだ。フルに魔力ためとけ」
「了解です。どうやら絶対絶命のようですね」

「たりめーだ」

「みんな覚悟きめとけ」

 僕が連打で叫ぶと。
 そこにいた全員がごくりと生唾を飲み込み。

 僕は鋼のハルバードで地面をたたきつける。
 その重さとドリル斬りが作動して、

 ハルバードが何度も回転する。


「あばばばばあば」

 四方から来るドラゴンのアギトが僕たちをかすめたその瞬間、
 地面に穴があいて、僕たちは闇の中へと墜落していった。

 その墜落ほど希望に満ち溢れているなんて思ってもみなかった。
 だからその先に何が広がろうと覚悟を決めていた。

 地面にたたきつけられた場合、
 僕たちは即死するだろう。

 だけどそんなことにはならないはず、なぜなら、
 僕には重力操作というスキルがあるのだから。

 落下しながら、初めて挑戦するスキル。
 頭を冷静にさせ、集中しながら、
 メルーナ姫はまだ両手に乗っている。
 ジェイス親方とナナーナは悲鳴をあげているし、 
 アテナはもとより浮いている。
 それが魔法のようで、
 しかし彼女の魔法はどうやら自分自身にだけしかかけることができない系統のようだ。

 頭のイメージがジェイスとナナーナを掴み、
 次に自分自身を掴み。

 地面ギリギリにて僕たちは浮遊していたのだ。

「ふう、寿命が縮まったわい」
「もうすでに縮まってるでしょ、うちのほうがお先まっくらよ」

「重力操作か、お主は本当に何者なのだろうか、すごい疑問だらけだ」

「は、はは、僕も疑問だらけですよ」

 そして目の前には普通のドラゴンの5倍はあるであろう大きさの洞穴がると同時に、
 そこには綺麗な蒼いウロコの蒼龍がいた。
 そいつはただひたすら眠り続けていたのだ。

 ドラゴンたちも危険と感じてこれ以上は下りてこない。

 そして眠っているだけならよかった。不意打ちができたかもしれない、

 しかしそいつはゆっくりと目をあけて、
 こちらをじいっと見ているではないか。

 僕たちの肝は縮まり。

 蒼龍はまるで叫び声と悲鳴をあげるように、
 怒声と咆哮をこちらに浴びせたのであった。

「これってさめちゃくちゃやばいよね」
「テツノブ? これはどういうことかしら? なぜに蒼龍を叩き起こすためにここにきたのかしら?」

「実はですねぇ、先程もちらっと言ったかもしれませんが、僕たちはドラゴンキラーを求めておりまして、そのためには蒼龍を負けたと認めさせないといけなくて、蒼龍自身がドラゴンキラーでありまして、ドラゴンキラーを手に入れれば、ドラゴンなんてばっさばっさといいながら国に戻ることも可能でして、姫の考えと一致するのでは?」

「怒りたいけどそれが全うな考えね、蒼龍を殺すこともドラゴンを1体以上殺すことも許しませんけどね」

「了解しました。ドラゴンキラーで牽制して脱出してみます」
「それにしましょう」

 姫をお姫様抱っこから降ろすと、
 彼女は残念そうにしていたが、
 僕とジェイスとナナーナとアテナの敵となっている蒼龍を倒すために、
 僕たちは武器を抜き取るのだ。

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