死神が合理的に魂を狩る物語

最終話

「ｓｅｃｏｎｄ死神、それが君の次の職業だ」

「はぁ？」

「その答えはなんだね」

「だって僕死んだはずですよね」

「あ、そうだ、負債が百くらいなら大抵は見逃される。だがお前んさんは一兆あ。一兆は異常なんだよ、だから、君は簡単に死んで転生させてやれないわけだ」

「ドルートさん、お願いします。このとおり、普通に生き変えさせてくれ」

「ダメだ。お前の負債は一兆だ。地道に働け」

「そんんあぁ」


　あれから一週間、ロフトは首を両断されてはれて死んだ。

　問題は死んだあとだった。

　ロフトの予想では、ところどころ記憶が消えているはずだった。


　だがそれとは逆のことがおきた。聖徳太子の記憶あがるのだ。アキレウスもダーウィンもシグムンドも、この異常事態、しかも体はなぜか七歳くらいの身長しかなかった。


　まわりからはムカつくバカ小僧だと思われているらしい。


　死神界はアダムの一件から日本の北海道に事務所を設立、そこで死神たちが働くというものだった。事務所は各地に分かれた。


　アダムが残した爪痕はひどかった。いたる国で建物が崩壊させられていたり、人が死んだりしていた。

　それでもロフトは生意気なガキとして小さな鎌を背中にしょっているのだった。


　見学にきた女子学生がロフトを見て、もふもふしてくるので逃げたりもした。


「なら、元の体をかえせ」

「それができれば楽なんだが」

「そうですよ、ドルート警部うう、彼は英雄なんですから体が蒸発して残ってるのはそれだけなんて言えないですもんね」


　いや、今聞いたぞ。

　ロフトは顎がはずれるのではないだろうかというくらい口を開けてだらりとしていた。


　ネリルと瑠璃ちゃんに会いたい、けど彼女たちはロフトが死んでいると思っている。


　ロフトは極秘のｓｅｃｏｎｄとしての任務あがり、彼女たちに自分をさらけ出すと、その彼女たちの身柄を確保され、記憶を消されるらしい。


　なのであまりかかわらないように、ロフトという名前は死んだことにした。


「なぁ、新しい名前ねーか？」

「ああ、あるぜ、セカドリーなんかどうだ」

「いいね、ドルート警部、センスがよくてな、ならドルート警部はｏｎｅｏｎｅでいんじゃねーか」

「それ犬だろうが、なめてんのか」

「すんません」


　セカドリーはにこりと頷いた。

　結局、この地球を一度は守れた。それだけでもうれしいことだろう。


　ただスピリットマネーの借金てありかよ、そもそも何をエネルギーとしてマイナスになっていたのだろうかという疑問は残る。


　セカドリーはゆっくりと夕日に向かって、マントをはためかせ、走る。

　そこにネリルがいて、ぶつかった瞬間、人生終わったと思った。

　そうだネリルは死神だった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完