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魔王殲滅の章

50話戦闘乱舞

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 一人の勇者、彼の名前をリュードと呼び、飢えをしのぐために妹を食らったことからベジタリアンになる。だがベジタリアンでも植物という生命をくらっていることに変わらないと気づき、自分自身が命をいただいていることを感じる。


 そして妹が死んでから、生き物を殺さないと誓った無殺法は今や捨てる必要があった。
 無殺法から脱したリュードは自らの甘い思考のせいでいままで救ってきた50の世界の魔王がリュードに反旗を翻した。


 そのせいでたくさんの命は消えた。
 無殺法を目指し、無殺法から生じる命の消滅。
 それを知った時リュードは鬼となる。


 一方で幼馴染であり魔王のアンリは魔帝となった。
 魔帝アンリはセカンドシーズンとなった。


 2人は上空をゆったりと飛翔しながら火山の国の入り口に到達した。
 2人は目の前を見据える。
 そこには10人の魔王が横一列になってこっちを見ていた。


 彼らは一つの世界にいる一つの魔王だ。
 まれに一つの世界に数人いる魔王もいる。
 それがこの世界だろう。


 今まで彼らがいた場所は魔法をかけられた無人島だ。
 リュードが飛ばした魔王や生き物たちはそこに到達するのだ。
 なんらかの方法でそこから脱した彼らは野菜勇者であるリュードに報復を誓ったんだ。


「みんななつかしいな」


 リュードはにへらっとしながら指をさす。


「鬼【王】魚人【王】増殖【王】心【王】目【王】死【王】絶【王】学【王】努【王】魂【王】みんな元気だった?」


「うるせい、お前のせいで、おまえのせいで」

 
 鬼【王】がどなるとくぎの刺さったこん棒を引き抜く、ぶんぶんと振り回し、やつは跳躍した。その飛翔力は称賛に値する。リュードは右手だけでそれを防いでしまった。アイテムボックスからデヴィルソードを引き抜くリュードはぶんとふった。


「今回はお前らを召喚しないがすまないな」


 2体の邪神を召喚しない、それはリュードと魔王アンリだけで目の前の十体をぶち倒すことを意味していた。


 デヴィルソードでうちはらった鬼【王】は着地すると、次は魚人【王】が地面から手を出した。魚人【王】のちからはどんな場所でも泳ぐことができる。海だったらなおさらいいのだが、やつは土竜【王】とにている。


 
 ずるずると引きずり込まれそうになりながら。リュードは地面に向かって黒黒しいデヴィルソードをたたきつけた。土煙があがった中、魚人【王】は吹き飛ばされえる。


「プロテクトシールド」


 魔帝アンリがささやくと、そこらアンリの周辺にプロテクトシールドが出現した。


「くはははっはははは」


 笑っているのは増殖【王】だった。


 やつは一本の剣を握りしめる。するとそこから無数に増殖させていく、剣から剣が出現して、長大な武器となる。やつは触れたものならなんでも増殖させられる。
 それは人間に皮膚にふれたら人間が増殖して死に至る。


 アンリはそれを危惧したもようだ。

 増殖した剣をプロテクトしている。


「よそ見すんじゃねー」


 アンリの方ばかりを見ていたが、こちらに走ってくる奴もいた。心【王】だったその後ろには鬼【王】もいた。二人はうまい具合にコンビネーションをしてくる。

 
 リュードとて剣術に力がないわけでもない、剣術の才能は最初の世界で剣術師範代におそわった。


 今リュードが敵にしているのはその剣術師範代よりも上の自分自身との勝負だった。


 心【王】とは相手の心を模倣する。つまりコピーするのだ。心を覗き見て癖や弱点、強味、すべてを心としてコピーする。


 だからこいつと戦った時は仲間が必要だった。
 ここにはいない別の世界の仲間たち。
 やつらがいたおかげで倒せた。
 でもここには魔王アンリとリュードしかいなかった。
 空は曇り、雨がふりそうだった。

 
 いたるところで殺し合いがあり、人々と魔人たちは和平を結ぶこともできない。
 1人だけで世界を滅ぼす力をもった魔王が五十体もいるのだから考えられない。

 
 リュードはにやりとほくそえむ。

 
【自動戦闘】スキル発動します。


 ここから心は使わない肉体だ。


「なんぃいい」


 心【王】の右腕を両断した。


 ころころと転がり名が魔王は苦痛で顔をゆがめる。


「うおおおおおお」


 鬼【王】がくぎ付きのこん棒をふりまわしてリュードの頭を勝ち割ろうとする。
 だが自動戦闘化によりガードして鬼【王】の頭を刃のついていないほうでぶんなぐる。
 本当は両断したかったが、場所の悪さからだった。


 背中に殺気を覚えると、はるか前方に跳躍する。そこには鬼【王】がいてそいつにナイフがつきたった。そいつはリュードの後ろに現れた魚人【王】でナイフはふかぶかと鬼【王】にあたっていた。


「お、おまえ」


 鬼【王】は怒りの形相をあげながら、こちらを見て魚人をみた。
 ナイフを引き抜くと、なんとか急所の場所ではなかったのかにやりと笑った。


「魚人、次はないぞ」
「すまない」


 リュードが深呼吸しながら剣の向きを鬼【王】に向ける。背後に魚人【王】がいるのがわかるし、心【王】は切断された腕を結合していた。

 
 リュードはスキルを発動する。


【観察眼】スキル発動。


 これはいたるところに視線をくばることができる。
 よって魔王アンリがピンチになったらいつでも助けに行けるようにする。
 それと不意打ちをよけるために。


【狂剣士】スキル発動

 
 これは武器が剣術限定のときに発動可能で、攻撃力、素早さをアップさせるが防御力と賢さが減る。


 リュードは鋭い目で鬼【王】魚人【王】心【王】を見つめていた。
 そのときに魔帝アンリの周囲を見ていた。



 魔帝アンリは増殖【王】と向かい合っていた。

 目【王】と死【王】がじいっと魔帝に距離をつめている。
 魔帝アンリはただにこりとつぶやく。


【無限地獄】魔帝スキルが発動しました


 これはあたり一面を地獄とかす、しかし仲間たちからみたら普通に変化はない。使用者が敵と認識した相手にのみその無限地獄は適用される。


 リュードはそのスキルの恐ろしさに身震いした。


 まず異変が生じる。増殖【王】が全身をかき回す。目【王】と死【王】たち距離がはなれているものたちは無事なようで。
 彼らは何が起きたのか理解できずにアンリを見つめていた。


「ぎゃああああああああ、虫が永遠に増殖して、たすけて、たすけてくれええええええ」


 増殖【王】は悶絶しながら転びながらもがいている。そこへ魔帝アンリが長大な刀を引き抜いた。


【見えざる刀】スキルを発動しました。


 これは刀の柄しかないといわれるアイテムであり、魔帝がもつことにより透明なエネルギーが見えないように出現します。この見えないエネルギーにふれたものは切断されます。


 リュードは見ぶるいしながらそれを見つめた。


 まるで死刑執行人のようにアンリは平気で増殖【王】の首を両断した。

 ころころと頭がころがりながら、それは頭というものを増殖させて爆発した。
 

 リュードは心が痛かった。
 あれだけ優しくで慈愛にみちていたアンリちゃん。
 彼女は現実世界にいたころの唯一の知り合い。
 彼女は現実世界で何かがあってこの世界にやってきた。
 なのに彼女は魔王になってしまった。


 たくさんのものを守るために敵となったのはリュードだ。
 それでも和平を結んだ。
 アンリちゃんはこの世界でも優しかった。
 

 それでも今のアンリは氷そのもの。平気ではないのだろうけど、顔ににやりという不気味な笑みを浮かべて、増殖【王】を殺した。


 仲間が死んだことにより、鬼【王】と心【王】がこっちに走ってくる。
 やはり魚人【王】はいなくなっている。



 デヴィルソードを構える。
 前方にこん棒というよりはようくみたら鬼の金棒のようなものに武器を変えていたのは鬼【王】だった。


「いつまでも手加減されてるなんておもわんことだ」


 鬼【王】はそう叫ぶと、金棒を振り落とした。

 リュードはそれをよけると、一瞬で鬼【王】の懐に入る。だがそこへ心【王】が同じ動きをして、近距離で剣を振りぬいた。

 リュードは首一枚でよけると、首から赤い液体が流れる。
 次の瞬間、地面から槍がでてきた。
 とっさによけるも右太ももにかする。ころがりながら着地する。


【ヒール】スキルを発動しました。

 これは傷などを治すために使われる回復魔法。



 全身の傷は癒えてもスタミナやMPは癒えない。


「結構なぎりぎりな戦いだ」


 
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