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第21話 村の少子高齢化

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 ロンバートとカナエとは一時的なお別れをした。
 デルトと人口AIロボットのバレットが酒場に向かっていた。

 数週間程度か?
 あの盗賊団の被害が起きてから、この村は基本的に少子高齢化が進んでいる。

 そんな時にあの盗賊の攻撃により大勢の子供や、大勢の若者や、大勢の年配者が殺された。それでも生き残った人々は繁盛という未来を夢見て、一生懸命壊れた建物を修理している。

 所々で中途半端に直されて直されていない場所がある。 
 
【おそらく物資が足りないのでしょう、外からの商売人はこういう所に来て値段を吊り上げて売り飛ばしたりしてきます。なので彼等に残されているのは、機械人形を売り払い、多量のお金を得る事です。その後食料と資材を買えばいいのです。もちろん街でですけど】
「そうだな、俺もそう思う、フィーブンハウス街の人々ももう少し被害者の気持ちに立ってもらってほしい、と思うけど、この世の中そうそう旨く成り立っているとは思えないよ」


 デルトとバレットはしんみりとしつつも、歩き続けた。

 その結果酔っ払いの美女が酒場から追い出されていた。

「ひっぐ、いいだろう、付けで払うんだからなんとかしてくれよ」
「イレイカいいかげんに酒をやめろ、お前は盗賊の奇襲の時もずっと酒飲んでただろうが」

 凄い人もいるものだ。
 人々の悲鳴と恐怖の声を聞いていても、平気でいられる人物をデルトは生まれてからこのかた1人しかしらない、その人はロンバートだが。
 
実はこの女性がこの酒場にいりびっている操縦士だと知っていた。
 それはなぜか? 2年前くらいに彼女の事を写真付きで新聞と呼ばれる紙に載っていた記憶があるからだ。そして数日前、酒場に用事があってむかったらこの女性を発見したという事だ。

 結構前の話なのだが、覚えておいてよかった。


「戦争の方がもっと凄い、1日1日が悲鳴だ。大勢の仲間が死んでいく、あたいは戦艦の船長で、仲間たちを大事にしなくてはいけない、だから1人の仲間を助けるために2人の仲間を死なせたりした。もう、やだ。あんな地獄、誰もあたいを守ってくれない」

 背丈だけでも2メートルは越えている。
 しかしスレンダーで胸が大きくておなかが引っ込んでいる、そして尻が凄く大きい。
 凄いと言えどもカナエの尻をすこしだけ拡大したような感じだ。


【いまエロイこと考えてるでしょ、デルト様のフェロモン物資が上りました】
「わかったわかった」

 
 デルトは頭を押さえつつも、

「イレイカよいい加減、新しい仲間をつれて昔みたいに皆でぱーっと酒場を盛り上げてくれよ、お前を変えたのが戦争なら、冒険者になるのもいいじゃないか? お前さんの格闘技は普通の人間じゃ出来ないんだから」
「いや、酒を飲ませて、酒を飲まないと死にたくなる、死にたくないって亡霊たちが」

 僕はじいっと彼女の瞳を見ていた。 
 恐怖状態そのものであり、イレイカは酒場の亭主を見ているようだが、それは違う。 
 彼女の目はさらに向こうを見ている。そこには誰もいなくて、彼女にしか見えない亡霊がそこに立っているのだろう。

「ちょっと失礼、イレイカさん、話があるんです。お酒でも飲みながらどうですか?」
「あ、ああ、あんたはヴェルサスが選んだ奴か、あはは、もう疲れた」
「主人、水の桶をお願いします」
「おう」


 酒場の主人が水を取りに消えると、
 僕はイレイカさんに問いかける。

「あなたは俺達のパーティーメンバーに入りませんか、操縦士を探しているんです」
「は、そんなもんはどこにもいないよ、あたいは操縦士じゃなくて、万能型よ」
「なら、あなたを仲間にしたいです。あなたの心の傷を仲間達で癒してあげたいのです」


 イレイカは無言でこちらを見ていた。

「なら条件があるわ、あたいと一緒に2人で、そこのAIも一緒でいいわ、【深海の炎樹】のダンジョンにいってダンジョンコアを見つけて頂戴、それをあたいに頂戴、そしたらあんたの仲間になってやる」
「承知」
【承知しちゃ駄目でしょ、【深海の炎樹】というダンジョンは馬鹿でかい大樹の中にあるのです。階層はおそらく5階層とされており、毎回ダンジョンコアが復活している所です、問題はそこに到達するまで【巨大の廃墟】と呼ばれる遥か昔の文明が残した廃墟に入らねばならず】
「ああ、分かってるんだよ、分かってて、このイレイカは言っているんだ」
【そうですが、廃墟にいる野生モンスターは機械人形と同じくらいの大きさですよ、あなた1人では】
「あたいがいる。あたいはこう見えても【万能型】でありながら【銃撃士】という職業を持っている。あたいの銃撃は大型モンスターを瞬殺出来るわよ」

 そう言うと彼女の腰にはホルスターと呼ばれるべき物が装着されている。
 右と左の腰に2丁ずつ隠しているようだ。
 そして彼女は至る所に拳銃を隠している事が分かる。

 おそらくロンバートとかカナエとかと合流してから行こうと言っても了承しないだろう。
 おそらく彼女は1人でもコアを取りにいける。だがあえてデルトを試している。

「ああ、行きましょう」
 
「ああ、ちょっとまって」

 酒場の亭主が水桶を持ってきてやってくると、デルトが水をぶっ掛けようと思っていたのだが、彼女は自分に水をぶっかける。

「よし、しきりなおし、あいつらに報いねばね」
 
 イレイカさんの瞳がようやく亡霊を見なくなったそんな気がした。

 その日デルトは操縦でも生身での戦闘でも成長をはたす事となる。

――スキル一覧――
【長剣】★★★★★★★【★★★★】
【長弓】★★★★★★★【★★】
【スタミナ】★×10 ★★★【★★】
【スピード】★×10 ★★★【★★】
【操縦】★★★★【★★★】
――能力スキル――
【天才】
【忍耐】
【剣豪の息子】
【無双】
【ヒット&アウェイ】

――必殺技――――
【重量落とし】〈背中まで武器を背負うようにかまえ、背中から前へと重心を移動させ叩き落す〉
――機械乗り魔法―
【光の矢】〈光魔法で矢を具現化する〉
【ザンダーボルド】〈雷魔法で目の前に雷の弾を当てる〉
――リミッター解除――
【牙開放】〈噛み付くことができる〉
【ミレニアムソード=ソード+シミター】〈ふたつの武器に開放できる〉


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