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第1章裏ダンジョン攻略
6話 裏ダンジョン攻略②
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気づけば5回も殺されてきた。
そのたんびにとんでもない激痛が体を襲う、
分裂するゴブリンのおそろしい強さを感じていた。
現在ネシネイがいるところで休憩をとっている。
ネシネイは寡黙にひたすら道具をつくっている。
できあがったとおもったら、また破壊して、またつくっている。
「あきないんですか?」
と天童がたずねると、
ネシネイはにかりと笑う。
(可愛い顔だってできるのに)
ネシネイというドワーフはとてもかわいらしい、それは断言できる。
だけど彼女からとても暗いオーラを感じる。
まるで自分自身を見ているかのような。
ネシネイはにこりと笑って。
「今日だけで5回も激痛を受けながら、へこたれない人は始めてみました」
「まぁね、日本にいたときはクラス全員からひどい目にあわされていたし、幼馴染だけが味方だと思っていたら、最後の最後で裏切られたしね」
「その報復があなたの夢でしたね」
「まぁね、どんなにひどい奴等でも僕は結構彼らが好きだったし」
「それをお調子者というのです」
「そうかな」
しばらくの沈黙のあと、ネシネイは語る。
「よければあたしの昔話を聞いてほしいのです。こんなに話したのは本当に久しぶりなので」
「いいよ、あらかた僕からは話終えたしね、お互いの話をきくのはコミュニケーションの一貫だって昔親友がいってた」
その親友とは幼稚園のときに分かれた。
彼は東京にいってしまった。
父親の仕事の都合でだったが。
元気にしてるかなーとか思っていると。
「あたしは、1つのことに夢中になると、まわりが見えなくなるのです。そのたびに、友達からは自分のことしか考えない自己中だっていわれて、このように」
といいつつ彼女はつくった指輪のようなものを破壊していた。
「破壊されてきました。それは武器も防具も道具も、鍛冶師としてがんばってきました。父親からは跡継ぎと期待されてきました。そんなときドワーフが数百人単位でこの世界にきたのです。そのあともあたしは武器製造と防具製造と道具製造にはまり続けました。その結果まわりからはうとまれ、このダンジョンにやって来たときに、あなたと同じようにごみ掃除みたいに排除される予定でしたが、あなたと同じようにこのダンジョンにやってきました」
ネシネイの瞳はきらりともひらりともくらりとも光らなかった。
ただとつとつと物語を語っているかのような、
まるで別なネシネイを語り聞かせているようだった。
「あなたは裏技師、裏ダンジョンに来たのもそのスキルのおかげでしょう、ではなぜあたしはこの裏ダンジョンに来たのでしょうか?」
「あれじゃないかな、君の気持ちが裏返しだからだと思うよ」
「裏返し?」
「君はきっと仲間のことを無視する為にいろいろと製造しているわけじゃない、みんなから認められたいと思っているからこそ、作り続ける。それがいつのまにか裏返しになり、好まれたいとおもっていた仲間から嫌われた。それこそ裏返しではないか、君にはここにくる資格があるんだよ、すべてを理解したわけじゃない、すべてに納得したわけじゃない、僕はここから出る。だから全部のボスモンスターを倒したら、僕の仲間になる。それは忘れないように」
「うん」
と静かな声で答えが帰ってくると、
彼女の涙は見ることはない、
それでもネシネイというドワーフ娘は悲しそうな表情をしながら、ひたすら武器と防具と道具を作り続けていた。
「いってくるよ」
「いってらっしゃい」
その奇麗な声、
その声のボリューム。
その元気な声。
天童はにかりと笑って見せると。
「もちろん行ってくるよ」
そうして天童は分裂するゴブリンに再挑戦することとなった。
裏ダンジョンの通路を走り続ける。
ここが下に向かうタイプのダンジョンでないことは助かっている。
上るのが大変だし、いちいち2階層はああだったとか覚える必要もない、
ひたすら数本の道筋を通るだけ、
その部屋に到達すると、
さきほどの分裂するゴブリンは、
にこにことこちらを見ている。
この裏ダンジョンの部屋に入った瞬間から殺し合いが始まる。
何度でも何度でも、
腹を裂かれようとも、内臓をひっぱ出されようとも。
右腕を折られようとも、右足を叩き潰されようとも。
それでもそれでもそれでも、
悲鳴を悲鳴を悲鳴を、
あげ続けていても、
だれも助けてくれない、
ここは一人だ戦わないといけない場所、
そしてここは一人で倒さないといけないのだ。
分裂ゴブリンを。
すーはーすーはーと息を吸って。
その部屋に一歩突き進んだ。
それは突然のことだった。
何度も何度も攻撃をしてきている。同じ攻撃がくるはず。
そのとおりで、分裂するゴブリンはダッシュしてくる。
走れば走るほど分裂していく、
しかもまるで分身のように同じ形をしている。
いつしか100人を超えるゴブリンと追いかけっこをしている。
ひたすら逃げながらやつの弱点をさがす。
一体一体倒していたら、きりがない。
そのときだ。ふと気づく、裏回避なるものならやつらの攻撃を全て避けることが出来るのではないだろうか?
その考えは本当に不透明で、
なぜなら裏回避の能力じたいの説明事態が意味不明なのだから。
頭で【裏回避】とイメージすると、
一体のゴブリンが天童の顔面をとらえる。
斧が頭をかち割るはずだった。
なぜかその斧が裏返しになって、振り落としたゴブリン自体に斧が突き刺さる。
避けていない、だが裏では避けている。
つまり食らうのを拒否して、武器の裏になっているそこは避けているということで、
ゴブリンを1体倒したのは、まぐれ当たりという事だ。
一回使うたびに少し疲れる。
それが裏回避の弱点だと感じて。
分裂ゴブリンたちが、警戒の瞳をこちらにむけつつ、
天童はにかりと笑ってみせる。
「勝機が見えてきたよ」
天童は勝利を掴もうとしていた。
そのたんびにとんでもない激痛が体を襲う、
分裂するゴブリンのおそろしい強さを感じていた。
現在ネシネイがいるところで休憩をとっている。
ネシネイは寡黙にひたすら道具をつくっている。
できあがったとおもったら、また破壊して、またつくっている。
「あきないんですか?」
と天童がたずねると、
ネシネイはにかりと笑う。
(可愛い顔だってできるのに)
ネシネイというドワーフはとてもかわいらしい、それは断言できる。
だけど彼女からとても暗いオーラを感じる。
まるで自分自身を見ているかのような。
ネシネイはにこりと笑って。
「今日だけで5回も激痛を受けながら、へこたれない人は始めてみました」
「まぁね、日本にいたときはクラス全員からひどい目にあわされていたし、幼馴染だけが味方だと思っていたら、最後の最後で裏切られたしね」
「その報復があなたの夢でしたね」
「まぁね、どんなにひどい奴等でも僕は結構彼らが好きだったし」
「それをお調子者というのです」
「そうかな」
しばらくの沈黙のあと、ネシネイは語る。
「よければあたしの昔話を聞いてほしいのです。こんなに話したのは本当に久しぶりなので」
「いいよ、あらかた僕からは話終えたしね、お互いの話をきくのはコミュニケーションの一貫だって昔親友がいってた」
その親友とは幼稚園のときに分かれた。
彼は東京にいってしまった。
父親の仕事の都合でだったが。
元気にしてるかなーとか思っていると。
「あたしは、1つのことに夢中になると、まわりが見えなくなるのです。そのたびに、友達からは自分のことしか考えない自己中だっていわれて、このように」
といいつつ彼女はつくった指輪のようなものを破壊していた。
「破壊されてきました。それは武器も防具も道具も、鍛冶師としてがんばってきました。父親からは跡継ぎと期待されてきました。そんなときドワーフが数百人単位でこの世界にきたのです。そのあともあたしは武器製造と防具製造と道具製造にはまり続けました。その結果まわりからはうとまれ、このダンジョンにやって来たときに、あなたと同じようにごみ掃除みたいに排除される予定でしたが、あなたと同じようにこのダンジョンにやってきました」
ネシネイの瞳はきらりともひらりともくらりとも光らなかった。
ただとつとつと物語を語っているかのような、
まるで別なネシネイを語り聞かせているようだった。
「あなたは裏技師、裏ダンジョンに来たのもそのスキルのおかげでしょう、ではなぜあたしはこの裏ダンジョンに来たのでしょうか?」
「あれじゃないかな、君の気持ちが裏返しだからだと思うよ」
「裏返し?」
「君はきっと仲間のことを無視する為にいろいろと製造しているわけじゃない、みんなから認められたいと思っているからこそ、作り続ける。それがいつのまにか裏返しになり、好まれたいとおもっていた仲間から嫌われた。それこそ裏返しではないか、君にはここにくる資格があるんだよ、すべてを理解したわけじゃない、すべてに納得したわけじゃない、僕はここから出る。だから全部のボスモンスターを倒したら、僕の仲間になる。それは忘れないように」
「うん」
と静かな声で答えが帰ってくると、
彼女の涙は見ることはない、
それでもネシネイというドワーフ娘は悲しそうな表情をしながら、ひたすら武器と防具と道具を作り続けていた。
「いってくるよ」
「いってらっしゃい」
その奇麗な声、
その声のボリューム。
その元気な声。
天童はにかりと笑って見せると。
「もちろん行ってくるよ」
そうして天童は分裂するゴブリンに再挑戦することとなった。
裏ダンジョンの通路を走り続ける。
ここが下に向かうタイプのダンジョンでないことは助かっている。
上るのが大変だし、いちいち2階層はああだったとか覚える必要もない、
ひたすら数本の道筋を通るだけ、
その部屋に到達すると、
さきほどの分裂するゴブリンは、
にこにことこちらを見ている。
この裏ダンジョンの部屋に入った瞬間から殺し合いが始まる。
何度でも何度でも、
腹を裂かれようとも、内臓をひっぱ出されようとも。
右腕を折られようとも、右足を叩き潰されようとも。
それでもそれでもそれでも、
悲鳴を悲鳴を悲鳴を、
あげ続けていても、
だれも助けてくれない、
ここは一人だ戦わないといけない場所、
そしてここは一人で倒さないといけないのだ。
分裂ゴブリンを。
すーはーすーはーと息を吸って。
その部屋に一歩突き進んだ。
それは突然のことだった。
何度も何度も攻撃をしてきている。同じ攻撃がくるはず。
そのとおりで、分裂するゴブリンはダッシュしてくる。
走れば走るほど分裂していく、
しかもまるで分身のように同じ形をしている。
いつしか100人を超えるゴブリンと追いかけっこをしている。
ひたすら逃げながらやつの弱点をさがす。
一体一体倒していたら、きりがない。
そのときだ。ふと気づく、裏回避なるものならやつらの攻撃を全て避けることが出来るのではないだろうか?
その考えは本当に不透明で、
なぜなら裏回避の能力じたいの説明事態が意味不明なのだから。
頭で【裏回避】とイメージすると、
一体のゴブリンが天童の顔面をとらえる。
斧が頭をかち割るはずだった。
なぜかその斧が裏返しになって、振り落としたゴブリン自体に斧が突き刺さる。
避けていない、だが裏では避けている。
つまり食らうのを拒否して、武器の裏になっているそこは避けているということで、
ゴブリンを1体倒したのは、まぐれ当たりという事だ。
一回使うたびに少し疲れる。
それが裏回避の弱点だと感じて。
分裂ゴブリンたちが、警戒の瞳をこちらにむけつつ、
天童はにかりと笑ってみせる。
「勝機が見えてきたよ」
天童は勝利を掴もうとしていた。
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