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第2章エルフとオーガ

52話敵の領地に侵入

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 巨大な宮殿のような代物。
 それはオーガたちの兵器として利用されている。
 それこそがダンジョンと呼ばれる兵器だった。

 ダンジョンと呼ばれるその兵器は無限大にボスモンスターや特殊なオーガを生み出し続けている。

 天童たちはそこを破壊すべく動き出す。
 作戦が開始され、
 天童の後ろにはネシネイがいる。
 彼女は何も感じていないという表情をしているが、きっと心の中では不安がいっぱいなのだろう、

【鬼達の楽園】までに到達するまでがとても遠かった。
 なにせ宮殿のような巨大なダンジョンは、大きく見えることにより、近くだと錯覚していたのだから。


 現に近づけば近づくほど、それは遠くに行ってしまっているような雰囲気なのだから。

 現在オーガたちの居住区に到達しようとしている。
 たくさんのオーガたちが談笑しながら、
 朝ご飯の支度にとりかかっていた。

 巨大な鳥、まるでコカトリスみたいな鳥をさばいている。

 コカトリスとはゲームでよく出てきており、
 石化などの魔法を使ってくるという情報はあるし、
 鑑定しても知らない名前しかでてこないし、
 やはりスキルの中には石化魔法があるが、

 オーガたちはそのような魔法は食らわないとばかりに、
 コカトリスをさばいている。

「う」

 ネシネイはそのグロすぎる光景に
 吐き気を催した。
 天童はネシネイの背中を軽くなでてあげると、彼女は持ち直すことに成功した。

 ひたすら歩く、衛兵は10名たらず、
 そこに到達したとき勝負だ。

 と思って到達したら、衛兵そのものがいなくなっており、

 堂々とダンジョンから歩いてくる人影がある。
 それは紛れもなくメイリンガルだった。

「おっそいぞー」

 天童はこの時、女性の恐ろしさというものを感じてしまっていた。

「こいつら雑魚だから、殺さないようにするのが大変だったぜえええ」
「は、はは」

 天童は恐ろしさのあまり黙っているだけだった。

 かくして衛兵をなくして無防備なダンジョンに到達することに成功した。
 ここにいる普通のボスを全部? それとも1体を? 倒せば、しばらくはオーガのボスモンスター生産が止まるはずであると、天童が勝手に推測していた。

 ごくりと生唾を飲み込むと、
 ネシネイとメイリンガルを両手に花のような感じで、握りしめて、

 扉を開いた。

 一つの部屋に入った時、 
 その部屋の大きさに圧倒された。
 転移前札幌ドームに行ったことがあるのだが、あれと同じくらいの大きさであった。

 そこに3体のオーガがいる。神の鑑定結果だと、レベルは30の【ギガントオーガ】という雑魚モンスターで、スキルも攻撃系しかなかった。
 ステータスもほぼ雑魚。

 ここはネシネイの戦いぶりを見たかったので、
 
「あれならネシネイでも倒せるのでは?」
「ん、あたしに戦えって?」
「は、はい」

 びくびくしながらも、彼女は天使のような笑顔を浮かべて。

「ん、いいよ」

 天童とメイリンガルは息をのむ、
 ネシネイの笑顔、それはもはや殺意の塊となっている。
 しかも向けらえているのはあの3体のギガントオーガなのだから。

 ネシネイは作業バッグのようなものから、巨大なハルバードを引き抜いた。

「なぁ、あれ、大きさとバッグというか本なのか? わからないけど、大きさあってないぞ」

 メイリンガルの素朴な疑問に、僕はにかりと答えてみせる。

「あのバッグみたいな本のようなものは、魔法のもので、大きさは関係ないんだ」
「ほーなるほどな」

 メイリンガルはハルバードを構えて、ゆっくりと走り出した。
 ドワーフ娘の彼女は足がとても短く、とことこと歩く感じで、それは走っているとは言えないようなスピードでもあった。


 ギガントオーガたちが3人同士で、ぎゃはははと笑っている。
 そしてここは俺様に任せろ見たいな雰囲気になり、
 1体のオーガが巨大な槍を構える。
 
 ネシネイより7倍はあるであろう大きさのギガントオーガは槍をくしざすように構え、突き放つ。
 それは一瞬、突き放たれた槍の上をネシネイは走っている。

 面くらったギガントオーガはあせって、槍をふりまわす。

 時すでに遅く、
 ギガントオーガの首をハルバードで両断していた。

 ぽとりとギガントオーガが地面にぶっ倒れる。
 ころころとオーガの首が転がり

 他の2体も仲間が殺されたことに憤りを覚えたらしく、
 こちらに攻撃を開始、
 ネシネイの攻防が始まった。

 ネシネイは呼吸を整える。ハルバードとは巨大な槍と巨大な斧を合体させたようなものだ。普通の人間が持つにはとても重たいものでもある。
 おそらくレベルが100以上いっていないとあんな重そうなハルバードは持つことすらできないだろう、

 そう天童は認識している。
 ネシネイが回転すると、
 まるで千切りのようにギガントオーガたちはミンチになり、
 この部屋はクリアしたのであった。

 それから3人で通路を走り続ける。

「やっぱりネシネイって強いよな」
「そうかな、ただ敵が雑魚だったから、バトルスキルは天童とメイリンガルのほうがあるよ」
「だけど作戦の立案とかはネシネイが詳しそう」
「メイリンガルだって、作戦は下手だけど、戦うガッツはすごい」

「「そうかな」」

 と2人で褒めあって元気をつなげたところで、
 次の部屋に到達した。
 そこでは100体のオーガの軍勢がおり、
 すべて雑魚だったため、3人で殺害しまくり、
 すぐに次の部屋へと続き、

 いつしか地下深くにまで到達している気がしていた。
 階段を下っているとき、
 ついに20階層に到達していた。

 このダンジョンは上に上がるタイプではなく、
 下に下がっていくタイプのようだ。
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