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第3章蜥蜴と竜
56話演説
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台座に上ったエルフの女王ザルンヴァーは、
周りを睥睨と見つめた。
それはどことなく周り、つまりエルフたち民を憐れむような目線だった。
「いつからだ? いつから我らエルフはこのように心が小さくなってしまったのだ」
民は無言で世界樹の枝枝などにもたれたり、
椅子のような枝に座ったり、
それぞれが自由に女王を見つめていた。
彼らは義勇兵となりてダークエルフとオーガたちの軍勢と戦った。
彼らの背中にはネシネイが作ってあげた魔法の弓矢が存在してある。
彼らはネシネイに感謝しているのか、ネシネイとすれ違ったら深く頭を下げたりしていた。
しかしそんな彼らもダークエルフを見ると、
その差別的な視線はひどいもので、
見ていられるほどのものではなかった。
「なぁエルフたちよもう異世界エルフとか純潔エルフとか関係ないだろう、一人のエルフとして、一人の民として、一人の生き物として、願う、ダークエルフたちはそれ相応の罰をうけてもらう、ただし」
女王はそう言い募って。
告げるのだ。
「それは働かせるとか、拷問するとか、牢獄に閉じ込め続けるとか、もうそういうのはいいんだ。もう平和になろう、いくらダークエルフ族の肌が黒いから? 悪魔のようだから? 魔王の血筋だから? そういうのもうやめよう、ダークエルフだって生きているんだ」
天道はじっとギードを見つめていた。
ギードはキートになりてエルフの不死鳥騎士団団長になっていた。
そんな彼はたくさんのことをエルフを憎んでいた。
それなのに彼はエルフのために働いていたし、
そのチャンスが来たからこそ、ギードは悪魔となったのだ。
正確にはダークエルフとなったのだ。
そんなダークエルフのギードは涙を流していた。
ぽつりぽつりと何かを思い出すように、
ただひたすら泣いており、
周りのダークエルフたちも泣き出した。
嗚咽をあげるものは一人もいない、
それだけ彼らは強き民で、
プライドが高い一族なのだろう。
「余は思う、ダークエルフたちには罰としてエルフの民になってもらうと」
そのダークエルフたちは今では数十人しかいない、
数名が逃げている可能性はあるが、
それでも数十名だ。
そんな彼らに何ができる?
とザルンヴァーは侮っているわけではないのだ。
ザルンヴァー女王は平和とは何か、人種差別とは何かを、
心のハートを強くして語っているのだ。
「昔はエルフの祖先は精霊様とされていた。精霊様は二つに分かれた。それがエルフとダークエルフだ。本当にそうか? と最近余は思うようになってきた」
「沢山の歴史、沢山の戦争、エルフとダークエルフは争い続けていた。まるでどっちが強いかという兄弟のようにな」
「そしてついに兄弟喧嘩はやめよう、このままではダークエルフたちが滅びてしまう、兄弟喧嘩ができなくなるぞ」
「この中にはダークエルフに殺された家族もいるだろう、ダークエルフなど滅びてしまえと思うだろう、だがそのようなことを考えているようでは愚の骨頂、一人のエルフとして恥じれ、おぬしの子供が、最愛の人が、親が、祖父母が、本当に復讐を望むのか? さぁ復讐を望むと思うやつらは前にでてみろ、精霊様の教えを忘れた愚かなエルフは前に出てみよ」
ザルンヴァー女王はいつしか泣いていた。
「この身とて、この余とて祖父母をダークエルフに殺された。今まで国家機密として黙っていた。我らが祖先の王様と王妃はダークエルフに殺されたのだ!」
その新たな新事実に民たちのどよめきはすごかった。
「だがもう余は復讐をしない、もうやめよう、終わりだ。戦争までも続くのではない、終わりがあるから戦争なのだ」
ザルンヴァー女王は王女様のように顔をゆがませて、
沢山の大粒の涙を流していた。
唇は震えているし、
それが本心なのだと、
天道は考えさせられた。
自分が復讐のために生きていること、
それがなんとなくとても恥ずかしいことのように思えてきていた。
「それでも」
歯を食いしばる。クラスメイトと先生に復讐をしないと、
生きている気がしない、
復讐をすることが今の生きている理由だ。
なら復讐が終わったあと天童はどのようにして生きていけばいいのだろうか、
目の端にうつったのは、
新しい仲間であるネシネイとメイリンガルだ。
こんな女性たちに好かれて、
そうか、そうだよな、
天道は決めた。
復讐が終わったら彼女たちのため、
この世界のために尽くそうと。
そして天童は立ち上がった。
心の中で立ち会った天童は、
前に進み、
拍手をした。
その拍手が連鎖のように重なり、
ネシネイが、メイリンガルが、
そしてギードが、ダークエルフたちが拍手した。
次から次へと拍手は電波のように広がり、
世界樹の頂上、
エルフの王国の城がある広場にて、
城下町がある場所にて、
たくさんのエルフたちの幸せそうな笑顔と、
笑い声と、轟音のように暖かい音色を響かせる拍手の音が響いていた。
世界樹の葉っぱがまるで喜んでいるかのように、
沢山の、数えきれない葉っぱを落としていく、
つぼみが生まれ、
エルフたちの願いを聞き遂げるように、
たくさんのエーテルが落下してくる。
世界樹のエーテルと呼ばれる樹液は、
けが人たちをまたたくまに治療していくこととなる。
民は大きな声で泣き叫び、
けが人を外に出す、
重度で助からない人も、
目玉がなかった人も、右足がなかった人も、
体が元から不自由だった人も、障がいをもっているひとも。
みんな世界樹の魔法の樹液エーテルに触れて、
次から次へと回復していく、
目は再生され、
しまいには足がない人も再生される。
たくさんの人々の祝福、
現在広がっていたのだ。
これを【世界樹の平和】
と名付けられた。
周りを睥睨と見つめた。
それはどことなく周り、つまりエルフたち民を憐れむような目線だった。
「いつからだ? いつから我らエルフはこのように心が小さくなってしまったのだ」
民は無言で世界樹の枝枝などにもたれたり、
椅子のような枝に座ったり、
それぞれが自由に女王を見つめていた。
彼らは義勇兵となりてダークエルフとオーガたちの軍勢と戦った。
彼らの背中にはネシネイが作ってあげた魔法の弓矢が存在してある。
彼らはネシネイに感謝しているのか、ネシネイとすれ違ったら深く頭を下げたりしていた。
しかしそんな彼らもダークエルフを見ると、
その差別的な視線はひどいもので、
見ていられるほどのものではなかった。
「なぁエルフたちよもう異世界エルフとか純潔エルフとか関係ないだろう、一人のエルフとして、一人の民として、一人の生き物として、願う、ダークエルフたちはそれ相応の罰をうけてもらう、ただし」
女王はそう言い募って。
告げるのだ。
「それは働かせるとか、拷問するとか、牢獄に閉じ込め続けるとか、もうそういうのはいいんだ。もう平和になろう、いくらダークエルフ族の肌が黒いから? 悪魔のようだから? 魔王の血筋だから? そういうのもうやめよう、ダークエルフだって生きているんだ」
天道はじっとギードを見つめていた。
ギードはキートになりてエルフの不死鳥騎士団団長になっていた。
そんな彼はたくさんのことをエルフを憎んでいた。
それなのに彼はエルフのために働いていたし、
そのチャンスが来たからこそ、ギードは悪魔となったのだ。
正確にはダークエルフとなったのだ。
そんなダークエルフのギードは涙を流していた。
ぽつりぽつりと何かを思い出すように、
ただひたすら泣いており、
周りのダークエルフたちも泣き出した。
嗚咽をあげるものは一人もいない、
それだけ彼らは強き民で、
プライドが高い一族なのだろう。
「余は思う、ダークエルフたちには罰としてエルフの民になってもらうと」
そのダークエルフたちは今では数十人しかいない、
数名が逃げている可能性はあるが、
それでも数十名だ。
そんな彼らに何ができる?
とザルンヴァーは侮っているわけではないのだ。
ザルンヴァー女王は平和とは何か、人種差別とは何かを、
心のハートを強くして語っているのだ。
「昔はエルフの祖先は精霊様とされていた。精霊様は二つに分かれた。それがエルフとダークエルフだ。本当にそうか? と最近余は思うようになってきた」
「沢山の歴史、沢山の戦争、エルフとダークエルフは争い続けていた。まるでどっちが強いかという兄弟のようにな」
「そしてついに兄弟喧嘩はやめよう、このままではダークエルフたちが滅びてしまう、兄弟喧嘩ができなくなるぞ」
「この中にはダークエルフに殺された家族もいるだろう、ダークエルフなど滅びてしまえと思うだろう、だがそのようなことを考えているようでは愚の骨頂、一人のエルフとして恥じれ、おぬしの子供が、最愛の人が、親が、祖父母が、本当に復讐を望むのか? さぁ復讐を望むと思うやつらは前にでてみろ、精霊様の教えを忘れた愚かなエルフは前に出てみよ」
ザルンヴァー女王はいつしか泣いていた。
「この身とて、この余とて祖父母をダークエルフに殺された。今まで国家機密として黙っていた。我らが祖先の王様と王妃はダークエルフに殺されたのだ!」
その新たな新事実に民たちのどよめきはすごかった。
「だがもう余は復讐をしない、もうやめよう、終わりだ。戦争までも続くのではない、終わりがあるから戦争なのだ」
ザルンヴァー女王は王女様のように顔をゆがませて、
沢山の大粒の涙を流していた。
唇は震えているし、
それが本心なのだと、
天道は考えさせられた。
自分が復讐のために生きていること、
それがなんとなくとても恥ずかしいことのように思えてきていた。
「それでも」
歯を食いしばる。クラスメイトと先生に復讐をしないと、
生きている気がしない、
復讐をすることが今の生きている理由だ。
なら復讐が終わったあと天童はどのようにして生きていけばいいのだろうか、
目の端にうつったのは、
新しい仲間であるネシネイとメイリンガルだ。
こんな女性たちに好かれて、
そうか、そうだよな、
天道は決めた。
復讐が終わったら彼女たちのため、
この世界のために尽くそうと。
そして天童は立ち上がった。
心の中で立ち会った天童は、
前に進み、
拍手をした。
その拍手が連鎖のように重なり、
ネシネイが、メイリンガルが、
そしてギードが、ダークエルフたちが拍手した。
次から次へと拍手は電波のように広がり、
世界樹の頂上、
エルフの王国の城がある広場にて、
城下町がある場所にて、
たくさんのエルフたちの幸せそうな笑顔と、
笑い声と、轟音のように暖かい音色を響かせる拍手の音が響いていた。
世界樹の葉っぱがまるで喜んでいるかのように、
沢山の、数えきれない葉っぱを落としていく、
つぼみが生まれ、
エルフたちの願いを聞き遂げるように、
たくさんのエーテルが落下してくる。
世界樹のエーテルと呼ばれる樹液は、
けが人たちをまたたくまに治療していくこととなる。
民は大きな声で泣き叫び、
けが人を外に出す、
重度で助からない人も、
目玉がなかった人も、右足がなかった人も、
体が元から不自由だった人も、障がいをもっているひとも。
みんな世界樹の魔法の樹液エーテルに触れて、
次から次へと回復していく、
目は再生され、
しまいには足がない人も再生される。
たくさんの人々の祝福、
現在広がっていたのだ。
これを【世界樹の平和】
と名付けられた。
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