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10話ランクアップⅡ
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ミルシャから出されたランクアップとお願い、
それはメイドを五人増やしてもらいたいということであった。
しかもミルシャは鬼族であり、メイド長だが、
そのほかの五人もなにかしらの種族にしてほしいとのことで、
ミルシャから出された種族とは。
【ラビット族、リス族、キャット族、バード族、スネーク族】
「この五種族から選ぶが、問題ないな?」
「はいですわ、魔王さま」
彼女はわしに選択権を与えてはくれたが、
マジックブックに描かれているのは、ほぼ五種族からのランダムによる召還となっており、
どの種族もメイドを呼ぶだけで200ポイントもかかるというとんでもないポイント数。なのだが、現在5498800ポイントあるわしにとっては全然痛手ではないのである。
まずはラビット族から召還する。
名前は【ウサリン】という名前にして、
「魔王さま名前のセンスもよいです」
というミルシャの褒めこばを受けつつも、
目の前にウサリンが召還される。
彼女はあたりを見つめていて、ミルシャに説明をうけている。
一人ずつやると時間がもったいないので、
連打で召還。
リス族【リスリン】キャット族【ネコリン】バード族【バーデリン】スネーク族【ヘビリン】
全員にリンをつけたのは、覚えやすくするためということもある。
それに今後魔王としてお世話をうけていくメイドたちの名前は覚えておきたい、
「「「「「魔王さま、召還していただきありがとうございます」」」」」
という五人同時の声に、わしはびっくりしつつも、
「今後はそこのミルシャの指示で動くように」
「「「「「了解いたしました」」」」」
「ではみなさんは王の間の手前の部屋で待機を、そこをメイド室とよばれております。私は魔王さまからランクアップをおうけしますので」
「「「「「了解したであります」」」」」
5人のメイドたちはどれもがぼろぼろの衣服をつけていたし、
おそらくあとでメイド服を渡されるのだろう。
「おそらくあの子たちは奴隷としてつかまり、体をもてあそばれて殺されてしまった人たちですわ」
「なぜそこまでわかるんだ?」
「なんとなく匂いでわかるのです。そのマジックブックはもしかしたら死後の世界ともつながっているのかもしれませんわね」
「そうかもしれないな」
そのときわしはこのマジックブック、通称たんなる魔法の書とおもっていた本の恐ろしい力に身震いしていた。
たしかこの本はこの部屋から出すことはできず。
いろいろと制限がうるさいマジックブックだったはずだ。
「では本題に入ろう、ミルシャよ、おぬしにはふたつのランクアップ先があるが、どちらを選ぶかはお前が決めろ、いま教える」
「はいですわ」
「一つは死霊冥土長これは死霊を使い、メイドから冥土という意味らしい、死体がいなくてもあの世から死体を召還することができる。儀式などによっては最強の化物を生み出すこともできる」
「一つは復活天使長これは、いままでどおり死体をゾンビにできるが、いっぽうで光の使者として、アンデットを滅ぼすことがでできる。あとすべての魔力を消費して一体の生物を生き返らせることができる。これをしようするとゾンビたちはすべて焦土とかす」
ミルシャは腕を組んで考えている。
「魔王さまはどちらになってほしいのですか?」
「うむ、わしはどちらでもよい、ミルシャが選ぶものであれば」
彼女はうんうんと頷き、
「私は復活天使長になります」
「よかろう」
ミルシャの体がまばゆい光に包まれていく、
次から次から生じる天使の羽がさなぎのようになっていき、
突如さなぎが爆発するようになくなると、
そこには全身が真っ白いまるで天使のような女性がたっていた。
胸はでかすぎたのだが、
さらりとスマートになり、
背中からは数枚の羽が突き出ている。
それは鳥のようではなくて、
正確にいうと、
突如現れた羽が背中を突き破っているということで、
衣服もうまい具合にランクアップしたようで、
その羽を包み込む衣服だったり、
背中には分厚い高級そうな白い布がマントのようにたなびいている。
「うむ、ミルシャよとても美人になったぞ」
「そ、そんな」
ミルシャは顔を真っ赤にして、
どうやらあの勢いにのってせまってくるミルシャではなく、
奥手で、せまれないミルシャになってしまったようだ。
そのほうがわしとしては助かる。
「ミルシャよ、これからもよろしく頼む」
「はいです」
ミルシャはあわてて、
その場からいなくなったのであった。
――――――――――――――――――
名前:ミルシャ
種族名【復活天使長】S×10級
配下【ウサギ族:ウサリン、リス族:リスリン、キャット族:ネコリン、バード族:バーデリン、スネーク族:ヘビリン】
スキル
料理、洗濯、戦闘、魔法全般、瞬身
リーダーシップ、死霊関連、愛
――――――――――――――――――
鑑定してみたら、なぜかミルシャには愛という鑑定結果が出たわけで、
これはどんなスキルだ?
とわしは考えさせられたのであった。
次に玉座の間にあらわれたのは、
オーガ族最強の男ダダスコと
ケンタウロス族で一番賢いとされているバソクだった。
二人は旧友同士かのように談笑をしながらやってくる。
わしはその二人をみていて、
なんだか心の中がほんわかしてきた。
「参上しました魔王さま」
「またしてしまい申し訳ございませぬ」
「ダダスコもバソクもよくきてくれた、二人に新しい職、つまり新しい種族にランクアップしてもらうとおもっている。今二人の経験地を鑑定でみたら、とんでもないことになっていた。まずはダダスコ」
「御意」
オーガはひざをまげて忠誠の誓いのしるしをみせるかのようにする。
「いえ、楽にして」
「御意」
オーガはストレッチ体操から解き放たれた老人のように立ち上がる。
「魔王さまぶしつけですが、今回の戦争でオーガ族100人は全員が無事とはいえませぬ、中には右腕をうしなったり、再起不能者がいまして、彼らはざっと30名にのぼります。彼らに戦場以外と職場を与えていただきたく存じます」
「なるほど、そういうことなら、いま申し上げよう、今回魔王城では家畜の世話をしようとおもっている。オーガの力持ちならさぞかし力になるだろう、オーガは腕一本だけでも牛などには勝てるかな?」
「それはもちろんでございます。とてもありがたくぞんじます」
「それにしてもダダスコ、お前は勝ってにしゃべり方が上達した、うれしいぞ」
するとダダスコはうむと頷き、
「不思議なのです。仲間に指示を与えよう、こういう指示をあたえようとなんども願うと、オーガたちに伝わりやすく、そしてうまく意識を伝えようとすると、いつの間にか話すことができるようになったのです」
「わしの世界では吃音といってな、はっきりしゃべれない人がまれにいる。それがダダスコだったというわけで、不思議とおぬしは吃音から回復したのだろう、あとわしは吃音についてはまったくの素人のドラマをみて知った程度じゃが」
「いえ、うれしく存じます」
わしは顎にてをあててマジックブックを手で握り締めている。
現在オーガは三種類のランクアップが望める。
1ビクトリーオーガ〈パワーだけを最大限にマスターした異常モンスター、基本的に家を一軒持ち上げることができる〉
2ガーディアンオーガ〈鉄壁といっていいほどの防御力をもち、このオーガを倒すには人間の兵士が100万は必要とされる〉
3エンペラーオーガ〈英雄のなかの英雄、攻撃力防御力はビクトリーオーガ、ガーディアンオーガよりは劣る、しかし成長するたびにどんどんと強くなっていっく後半で成長していく〉
わしはその情報、マジックブックに描かれている絵図も含めてダダスコに見せた。
わしが狙っている種族とダダスコがなりたいとおもっている種族が同じだとは限らない、
だけどなんとなく少年の気持ちが彼にもあるなら、
きっとこれを選ぶはず。
「エンペラーオーガでお願いします」
「奇遇だな、わしもそうおもっておった」
かくして即座にランクアップの儀式が執り行われる。
まずオーガの体周辺には銀色の鎧につつまれていく、
どうやら鎧も体の一部とされているようだ。
顔以外の体の部分を覆いこむ、
トイレにいくときに困るのではないかとおもったが、意外と簡単にぬぐことがでるとされている。
体の大きさは代わらない、どちらかというと細マッチョになったような感じだ。
「チカラがみなぎるようだ」
とダダスコが呟き。
「次は配下だが、200人の部隊を成長させる気概はあるかね?」
わしの問いかけに、ダダスコはにやりと呟く。
「もちろんです」
「では、200人のオーガ族を配属させる。彼らをどのように進化させるかはお前しだいじゃ、あとは70名の生き残りのオーガのランクアップと、30名の再起不能のランクアップをしたいとおもう、70人はお前の部下として最強になってもらいたい、30名は酪農関連の職業についてもらいたい、わしの考えはこれでいいな?」
「御意に」
ダダスコが頷く、隣では馬の体を支えながらこちらをじっとみているバソク老人がいる。
「ではマジックブックを見た結果、35名のウォーリアーオーガと35名のシールドオーガ、お前の式次第でこの2種類の部下は化ける。覚悟はできてるな?」
「御衣に」
「いま、オーガを200体召還する。さすがにこの玉座の間では手狭となる。外に出よう、そろそろみんなの仕事が休憩になるころじゃて」
「ありがとうございます。魔王さま、このご恩は」
「もう返してもらっている、わしとお前の仲じゃ」
「ありが、とうございます」
ダダスコは顔ににあわず涙を流していた。
そんなにわしは優しいことをしているのだろうかと、常日頃からおもってしまう。
そのあとわしたちは庭にでると、たくさんの種族が団欒としてみんなで爆笑したり、みんながチカラをあわせて施設をよくしようと修理をしていた。
あとで酪農小屋を作らねばならず、この魔王城の庭は莫大にでかく、とても感動だ。
あとちなみにわしは魔王城から出られないので、窓をあけて、外を眺めながら、
仲間たちがそろできゃっきゃしているのを、うらやましそうに見ているしかない、
200体のオーガを召還する。
ポイントは2000ポイントの消費となった。
現在の残りのポイントは、5496800ポイントとなったわけである。
エンペラーオーガとなったダダスコはさっそく調練とばかりにオーガたちを魔王城の外にくりだし、片っ端からの修行がはじまる。
それを悔しそうに眺めるオーガ30体の再起不能者たち、
わしは声を張り上げると、彼らはこちらにゆっくりとやってくる。
「おぬしたちにはしばらく家畜のお世話をしてもらいたい、そのうち家畜のプロを探すかして、呼ぶ、それまでは土を耕してほしい、この一体じゃ、そこに牧草を植えようとおもうのじゃ、いまそこは雑草と石ころでぼうぼうでな」
「ですが、魔王さまわしたちはもう右腕もないのですが」
「そうだな、それで発明家の出番というわけじゃ、こっちにきてくれぬか」
さきほど呼びつけておいた、発明家の達人、ベブンと呼ばれるドワーフだった。
彼は頷くと、
「そうですね、右腕がないかたには義手とよばれるものを装着してもらいます。この義手は木造と魔法でつくられております。なのですこしは動かすことができるし、単純な力仕事にはむいているのです。義手なので疲労はたまらず。もちろん最初は動かすのになれないので、疲労はたまらいますが、まずはあなたたちは右足がないものは右足を、腕ないものは腕を、などといった感じで訓練してもらいます。しばらくのコーチをするベブンです。ベブンのとっつぁんと呼んでください」
「これは、本当に魔王さまはわしらを見捨てないのか、戦えないやつなど畑の肥料にしてくれるわといわれるとおもっていました」
「はっはは、わしはそんなにずるくてせこいやつじゃないよ、どうだ。できるか?」
「もちろんでございます」
一人の老齢のオーガが頷くと、
ベブンと一緒に義手の型を決めるのに発明家の部屋と向かおうとして、
っとその前に、
「みんなは酪農チームとして動いてもらう、酪農のリーダーはまだ決めていないが、お前たちの職業は勝ってにきめた。【アニマルオーガ】それがお前たちの新しい種族の名前だ」
「おおおおお、ありがとうございます」
アニマルオーガ〈基本的に動物たちと仲良くできる。オーガの巨躯のため、動物たちは安心して彼らに身をまかせることができるし、動物の言葉を半分は理解できるとされている〉
【アニマルオーガ30名】それが新しい仕事の分布となる。
わしは玉座に戻ると、
そこでは馬の足をおって休憩しているバソクがいた。
彼には悪いことをしたのだとおもいつつも、
わしはにかりと微笑む。
バソクは目をぱちくりとさせてこちらをじっと見ていた。
「魔王さま、おまちもうしておりました」
「一つ聞きたい、お前の部下は無事か?」
「それは、20人全員が無事であります、矢の攻撃がかすったものもいますが、軽度ですねで、お酒での消毒でなんとかなりました」
「それはよかった。君には一つしか進化はなかった。配下たちも一つだ。その一つになったとき、君たちには戦争から手を引いてもらいたい」
「それは用済みということですかな?」
「違う、戦争の舞台がかわるだけだ。バソクたちには本当に大事な仕事を任せたいとおもっている」
「それは」
「交易だよ」
「なるほど」
とバソクがこくりと頷き。
「バソクにはツバメケンタウロスになってもらいたい」
ツバメケンタウロス〈とんでもないスピードで地上を空のように滑空する。空を飛んでいるようにみえるが、地面をものすごいスピードで蹴っていることで生じる錯覚症状とされている〉
「いいでしょう」
「部下はラットケンタウロスだ」
ラットケンタウロス〈ラットのごとく移動スピードがはやく、ツバメケンタウロスには負ける〉
「20人のケンタウロスも呼んでおいた」
するうとケンタウロスたちがぞろぞろと玉座の間に入ってくる。
わしは彼らを見据えて、同じ問いかけを彼らにした。
すると彼らは嬉しそうに頷くと、
ただこくりとただこくりと、
何度もわしの話を聞いていた。
「御意にとバソクが呟く」
「まだ日程は決まっていない、これから来るアーサーたるものがどのような人物にかかているのじゃ」
「すこしいいでしょうか」
そこに現れたのは、ミルシャだった。彼女は天使のような衣服を着用して、
着こなしている。前のように着崩れて胸がまるだしということはないようだ。
「魔王さまお客様が」
「とおせ」
その入れ違いにケンタウロスたちはいなくなる。
一応バソクだけはとどまらせておいた。
そこに人間の集団が10名前後現れる。
新王が一人アーサーと、軍務セルドン、政務ピカード、楽務デルフがやってきて、あとの6名は兵士かとおもったらたんなる貴族兵士ばかりとなり、
ここに人間と魔王の和平交渉が始まろうとしていた。
―――――――――――――――――――
名前:ダダスコ
種族名【エンペラーオーガ】S×5級
部隊名【黒沼の部隊】
配下ウォーリアーオーガ【35体】
シールドオーガ【35体】
オーガ【200体】
転属先酪農
アニマルオーガー【30体】
スキル
部隊掌握、沼移動、運搬、長剣:斧SSS級
英雄の称号、雄たけび、戦闘凶、自己再生【ランクB】
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
名前:バソク
種族名【ツバメケンタウロス】S×4級
部隊名【人馬の遊撃隊】
配下ラットケンタウロス【20体】
スキル
治療魔法S級、高速移動、馬戦法、
運搬作業、槍【SS級】
――――――――――――――――――
俺は頭の中で二人のステータス表を確認したのであった。
それはメイドを五人増やしてもらいたいということであった。
しかもミルシャは鬼族であり、メイド長だが、
そのほかの五人もなにかしらの種族にしてほしいとのことで、
ミルシャから出された種族とは。
【ラビット族、リス族、キャット族、バード族、スネーク族】
「この五種族から選ぶが、問題ないな?」
「はいですわ、魔王さま」
彼女はわしに選択権を与えてはくれたが、
マジックブックに描かれているのは、ほぼ五種族からのランダムによる召還となっており、
どの種族もメイドを呼ぶだけで200ポイントもかかるというとんでもないポイント数。なのだが、現在5498800ポイントあるわしにとっては全然痛手ではないのである。
まずはラビット族から召還する。
名前は【ウサリン】という名前にして、
「魔王さま名前のセンスもよいです」
というミルシャの褒めこばを受けつつも、
目の前にウサリンが召還される。
彼女はあたりを見つめていて、ミルシャに説明をうけている。
一人ずつやると時間がもったいないので、
連打で召還。
リス族【リスリン】キャット族【ネコリン】バード族【バーデリン】スネーク族【ヘビリン】
全員にリンをつけたのは、覚えやすくするためということもある。
それに今後魔王としてお世話をうけていくメイドたちの名前は覚えておきたい、
「「「「「魔王さま、召還していただきありがとうございます」」」」」
という五人同時の声に、わしはびっくりしつつも、
「今後はそこのミルシャの指示で動くように」
「「「「「了解いたしました」」」」」
「ではみなさんは王の間の手前の部屋で待機を、そこをメイド室とよばれております。私は魔王さまからランクアップをおうけしますので」
「「「「「了解したであります」」」」」
5人のメイドたちはどれもがぼろぼろの衣服をつけていたし、
おそらくあとでメイド服を渡されるのだろう。
「おそらくあの子たちは奴隷としてつかまり、体をもてあそばれて殺されてしまった人たちですわ」
「なぜそこまでわかるんだ?」
「なんとなく匂いでわかるのです。そのマジックブックはもしかしたら死後の世界ともつながっているのかもしれませんわね」
「そうかもしれないな」
そのときわしはこのマジックブック、通称たんなる魔法の書とおもっていた本の恐ろしい力に身震いしていた。
たしかこの本はこの部屋から出すことはできず。
いろいろと制限がうるさいマジックブックだったはずだ。
「では本題に入ろう、ミルシャよ、おぬしにはふたつのランクアップ先があるが、どちらを選ぶかはお前が決めろ、いま教える」
「はいですわ」
「一つは死霊冥土長これは死霊を使い、メイドから冥土という意味らしい、死体がいなくてもあの世から死体を召還することができる。儀式などによっては最強の化物を生み出すこともできる」
「一つは復活天使長これは、いままでどおり死体をゾンビにできるが、いっぽうで光の使者として、アンデットを滅ぼすことがでできる。あとすべての魔力を消費して一体の生物を生き返らせることができる。これをしようするとゾンビたちはすべて焦土とかす」
ミルシャは腕を組んで考えている。
「魔王さまはどちらになってほしいのですか?」
「うむ、わしはどちらでもよい、ミルシャが選ぶものであれば」
彼女はうんうんと頷き、
「私は復活天使長になります」
「よかろう」
ミルシャの体がまばゆい光に包まれていく、
次から次から生じる天使の羽がさなぎのようになっていき、
突如さなぎが爆発するようになくなると、
そこには全身が真っ白いまるで天使のような女性がたっていた。
胸はでかすぎたのだが、
さらりとスマートになり、
背中からは数枚の羽が突き出ている。
それは鳥のようではなくて、
正確にいうと、
突如現れた羽が背中を突き破っているということで、
衣服もうまい具合にランクアップしたようで、
その羽を包み込む衣服だったり、
背中には分厚い高級そうな白い布がマントのようにたなびいている。
「うむ、ミルシャよとても美人になったぞ」
「そ、そんな」
ミルシャは顔を真っ赤にして、
どうやらあの勢いにのってせまってくるミルシャではなく、
奥手で、せまれないミルシャになってしまったようだ。
そのほうがわしとしては助かる。
「ミルシャよ、これからもよろしく頼む」
「はいです」
ミルシャはあわてて、
その場からいなくなったのであった。
――――――――――――――――――
名前:ミルシャ
種族名【復活天使長】S×10級
配下【ウサギ族:ウサリン、リス族:リスリン、キャット族:ネコリン、バード族:バーデリン、スネーク族:ヘビリン】
スキル
料理、洗濯、戦闘、魔法全般、瞬身
リーダーシップ、死霊関連、愛
――――――――――――――――――
鑑定してみたら、なぜかミルシャには愛という鑑定結果が出たわけで、
これはどんなスキルだ?
とわしは考えさせられたのであった。
次に玉座の間にあらわれたのは、
オーガ族最強の男ダダスコと
ケンタウロス族で一番賢いとされているバソクだった。
二人は旧友同士かのように談笑をしながらやってくる。
わしはその二人をみていて、
なんだか心の中がほんわかしてきた。
「参上しました魔王さま」
「またしてしまい申し訳ございませぬ」
「ダダスコもバソクもよくきてくれた、二人に新しい職、つまり新しい種族にランクアップしてもらうとおもっている。今二人の経験地を鑑定でみたら、とんでもないことになっていた。まずはダダスコ」
「御意」
オーガはひざをまげて忠誠の誓いのしるしをみせるかのようにする。
「いえ、楽にして」
「御意」
オーガはストレッチ体操から解き放たれた老人のように立ち上がる。
「魔王さまぶしつけですが、今回の戦争でオーガ族100人は全員が無事とはいえませぬ、中には右腕をうしなったり、再起不能者がいまして、彼らはざっと30名にのぼります。彼らに戦場以外と職場を与えていただきたく存じます」
「なるほど、そういうことなら、いま申し上げよう、今回魔王城では家畜の世話をしようとおもっている。オーガの力持ちならさぞかし力になるだろう、オーガは腕一本だけでも牛などには勝てるかな?」
「それはもちろんでございます。とてもありがたくぞんじます」
「それにしてもダダスコ、お前は勝ってにしゃべり方が上達した、うれしいぞ」
するとダダスコはうむと頷き、
「不思議なのです。仲間に指示を与えよう、こういう指示をあたえようとなんども願うと、オーガたちに伝わりやすく、そしてうまく意識を伝えようとすると、いつの間にか話すことができるようになったのです」
「わしの世界では吃音といってな、はっきりしゃべれない人がまれにいる。それがダダスコだったというわけで、不思議とおぬしは吃音から回復したのだろう、あとわしは吃音についてはまったくの素人のドラマをみて知った程度じゃが」
「いえ、うれしく存じます」
わしは顎にてをあててマジックブックを手で握り締めている。
現在オーガは三種類のランクアップが望める。
1ビクトリーオーガ〈パワーだけを最大限にマスターした異常モンスター、基本的に家を一軒持ち上げることができる〉
2ガーディアンオーガ〈鉄壁といっていいほどの防御力をもち、このオーガを倒すには人間の兵士が100万は必要とされる〉
3エンペラーオーガ〈英雄のなかの英雄、攻撃力防御力はビクトリーオーガ、ガーディアンオーガよりは劣る、しかし成長するたびにどんどんと強くなっていっく後半で成長していく〉
わしはその情報、マジックブックに描かれている絵図も含めてダダスコに見せた。
わしが狙っている種族とダダスコがなりたいとおもっている種族が同じだとは限らない、
だけどなんとなく少年の気持ちが彼にもあるなら、
きっとこれを選ぶはず。
「エンペラーオーガでお願いします」
「奇遇だな、わしもそうおもっておった」
かくして即座にランクアップの儀式が執り行われる。
まずオーガの体周辺には銀色の鎧につつまれていく、
どうやら鎧も体の一部とされているようだ。
顔以外の体の部分を覆いこむ、
トイレにいくときに困るのではないかとおもったが、意外と簡単にぬぐことがでるとされている。
体の大きさは代わらない、どちらかというと細マッチョになったような感じだ。
「チカラがみなぎるようだ」
とダダスコが呟き。
「次は配下だが、200人の部隊を成長させる気概はあるかね?」
わしの問いかけに、ダダスコはにやりと呟く。
「もちろんです」
「では、200人のオーガ族を配属させる。彼らをどのように進化させるかはお前しだいじゃ、あとは70名の生き残りのオーガのランクアップと、30名の再起不能のランクアップをしたいとおもう、70人はお前の部下として最強になってもらいたい、30名は酪農関連の職業についてもらいたい、わしの考えはこれでいいな?」
「御意に」
ダダスコが頷く、隣では馬の体を支えながらこちらをじっとみているバソク老人がいる。
「ではマジックブックを見た結果、35名のウォーリアーオーガと35名のシールドオーガ、お前の式次第でこの2種類の部下は化ける。覚悟はできてるな?」
「御衣に」
「いま、オーガを200体召還する。さすがにこの玉座の間では手狭となる。外に出よう、そろそろみんなの仕事が休憩になるころじゃて」
「ありがとうございます。魔王さま、このご恩は」
「もう返してもらっている、わしとお前の仲じゃ」
「ありが、とうございます」
ダダスコは顔ににあわず涙を流していた。
そんなにわしは優しいことをしているのだろうかと、常日頃からおもってしまう。
そのあとわしたちは庭にでると、たくさんの種族が団欒としてみんなで爆笑したり、みんながチカラをあわせて施設をよくしようと修理をしていた。
あとで酪農小屋を作らねばならず、この魔王城の庭は莫大にでかく、とても感動だ。
あとちなみにわしは魔王城から出られないので、窓をあけて、外を眺めながら、
仲間たちがそろできゃっきゃしているのを、うらやましそうに見ているしかない、
200体のオーガを召還する。
ポイントは2000ポイントの消費となった。
現在の残りのポイントは、5496800ポイントとなったわけである。
エンペラーオーガとなったダダスコはさっそく調練とばかりにオーガたちを魔王城の外にくりだし、片っ端からの修行がはじまる。
それを悔しそうに眺めるオーガ30体の再起不能者たち、
わしは声を張り上げると、彼らはこちらにゆっくりとやってくる。
「おぬしたちにはしばらく家畜のお世話をしてもらいたい、そのうち家畜のプロを探すかして、呼ぶ、それまでは土を耕してほしい、この一体じゃ、そこに牧草を植えようとおもうのじゃ、いまそこは雑草と石ころでぼうぼうでな」
「ですが、魔王さまわしたちはもう右腕もないのですが」
「そうだな、それで発明家の出番というわけじゃ、こっちにきてくれぬか」
さきほど呼びつけておいた、発明家の達人、ベブンと呼ばれるドワーフだった。
彼は頷くと、
「そうですね、右腕がないかたには義手とよばれるものを装着してもらいます。この義手は木造と魔法でつくられております。なのですこしは動かすことができるし、単純な力仕事にはむいているのです。義手なので疲労はたまらず。もちろん最初は動かすのになれないので、疲労はたまらいますが、まずはあなたたちは右足がないものは右足を、腕ないものは腕を、などといった感じで訓練してもらいます。しばらくのコーチをするベブンです。ベブンのとっつぁんと呼んでください」
「これは、本当に魔王さまはわしらを見捨てないのか、戦えないやつなど畑の肥料にしてくれるわといわれるとおもっていました」
「はっはは、わしはそんなにずるくてせこいやつじゃないよ、どうだ。できるか?」
「もちろんでございます」
一人の老齢のオーガが頷くと、
ベブンと一緒に義手の型を決めるのに発明家の部屋と向かおうとして、
っとその前に、
「みんなは酪農チームとして動いてもらう、酪農のリーダーはまだ決めていないが、お前たちの職業は勝ってにきめた。【アニマルオーガ】それがお前たちの新しい種族の名前だ」
「おおおおお、ありがとうございます」
アニマルオーガ〈基本的に動物たちと仲良くできる。オーガの巨躯のため、動物たちは安心して彼らに身をまかせることができるし、動物の言葉を半分は理解できるとされている〉
【アニマルオーガ30名】それが新しい仕事の分布となる。
わしは玉座に戻ると、
そこでは馬の足をおって休憩しているバソクがいた。
彼には悪いことをしたのだとおもいつつも、
わしはにかりと微笑む。
バソクは目をぱちくりとさせてこちらをじっと見ていた。
「魔王さま、おまちもうしておりました」
「一つ聞きたい、お前の部下は無事か?」
「それは、20人全員が無事であります、矢の攻撃がかすったものもいますが、軽度ですねで、お酒での消毒でなんとかなりました」
「それはよかった。君には一つしか進化はなかった。配下たちも一つだ。その一つになったとき、君たちには戦争から手を引いてもらいたい」
「それは用済みということですかな?」
「違う、戦争の舞台がかわるだけだ。バソクたちには本当に大事な仕事を任せたいとおもっている」
「それは」
「交易だよ」
「なるほど」
とバソクがこくりと頷き。
「バソクにはツバメケンタウロスになってもらいたい」
ツバメケンタウロス〈とんでもないスピードで地上を空のように滑空する。空を飛んでいるようにみえるが、地面をものすごいスピードで蹴っていることで生じる錯覚症状とされている〉
「いいでしょう」
「部下はラットケンタウロスだ」
ラットケンタウロス〈ラットのごとく移動スピードがはやく、ツバメケンタウロスには負ける〉
「20人のケンタウロスも呼んでおいた」
するうとケンタウロスたちがぞろぞろと玉座の間に入ってくる。
わしは彼らを見据えて、同じ問いかけを彼らにした。
すると彼らは嬉しそうに頷くと、
ただこくりとただこくりと、
何度もわしの話を聞いていた。
「御意にとバソクが呟く」
「まだ日程は決まっていない、これから来るアーサーたるものがどのような人物にかかているのじゃ」
「すこしいいでしょうか」
そこに現れたのは、ミルシャだった。彼女は天使のような衣服を着用して、
着こなしている。前のように着崩れて胸がまるだしということはないようだ。
「魔王さまお客様が」
「とおせ」
その入れ違いにケンタウロスたちはいなくなる。
一応バソクだけはとどまらせておいた。
そこに人間の集団が10名前後現れる。
新王が一人アーサーと、軍務セルドン、政務ピカード、楽務デルフがやってきて、あとの6名は兵士かとおもったらたんなる貴族兵士ばかりとなり、
ここに人間と魔王の和平交渉が始まろうとしていた。
―――――――――――――――――――
名前:ダダスコ
種族名【エンペラーオーガ】S×5級
部隊名【黒沼の部隊】
配下ウォーリアーオーガ【35体】
シールドオーガ【35体】
オーガ【200体】
転属先酪農
アニマルオーガー【30体】
スキル
部隊掌握、沼移動、運搬、長剣:斧SSS級
英雄の称号、雄たけび、戦闘凶、自己再生【ランクB】
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名前:バソク
種族名【ツバメケンタウロス】S×4級
部隊名【人馬の遊撃隊】
配下ラットケンタウロス【20体】
スキル
治療魔法S級、高速移動、馬戦法、
運搬作業、槍【SS級】
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俺は頭の中で二人のステータス表を確認したのであった。
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