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12話1万の奴隷解放は1万の戦力となる

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 魔王城の魔王インゴと正式にフォード王国の王様となったアーサー、 
 2人のつながりは、一度のチェスだけで心が開けたといっても過言ではなかった。

 わし自信がフォード王国にいって綿密な交易内容を練るわけにもいかず、
 さらにはアーサーが玉座をおりて、この城までこさせるわけにもいかなかった。

 だからといって相手の貴族型のやつらは信用ができない、

 ということで、わしは1人の魔物を召還することにする。

 現在わしは玉座でマジックブックをあさっている。
 会談から数日が経過した今日、
 そろそろ動かさないといけないと、わしは感じつつも、

 早く同胞1万体を救出したいというむね、
 それはアーサー王も快く了解してくれたことだし。

「ミルシャよ、頭がいい魔物ってどういうものがいるんじゃ?」

 わしの問いに、ミルシャはメイド服に近い、露出がすごいものを着ている。
 最近わしを誘っているのか、こういう衣服ばかり、
 部下たち5名にはがっつりの長いスカートのメイド服なのに、
 メイド長であるミルシャはほぼ痴女と間違われても仕方がないのだ。

「そうですわね、頭がいいとしたら、やはり、トレントですかね」
「トレントってあのでっかい木の?」
「そうですわ、トレントは何億年も生きることができるのです、そのぶん知恵は普通の生き物より格段に上なのですよ」
「なるほど、そういうことか」


 マジックブックに検索をかける。
 そこに表示されたのはトレントだった。

 
 ノーマルのトレントで2000ポイントかかるのだが、
 知恵のランクが高いのを探していくと、
 数体見つかることができた。


 ブレイントレントは4000ポイント。

 普通のトレントの2倍はするであろうポイント量に驚きを隠せずとも、
 説明文を読みふけることとする。

 ブレイントレント【トレントの中のトレント、神に恵まれた恩恵を受けている。普通のトレントだと人形になるのに結構な時間と労力が必要であり、6時間に1度、木になって栄養を蓄える必要があるのだが、ブレイントレントはずっと人の形をしており、永遠といっていいほどの人と木の融合体となっており、一般てきには木人と呼ばれることが多い、身長はだいたい4メートルもあり、まわりからは化物だといわれるも、魔物界の知的あふれる勇者とも呼ばれている。戦闘力はぜんぜんなく、魔法の力が頼るところがある】


 わしはその長い長文を見て、なるほどと頷く、
 即座にわしはブレイントレントを呼び寄せることとした。、
 目の前に緑色の葉っぱが舞い散る。
 こんなに演出は凝っていたのだろう?


 そこは疑問だったが、 
 わしとしてはとてもうれしいことであり、


「おそらく、ポイントを使用すればするほど、いろいろと演出が加わっていくようですわ」
「なるほど、そういうことならなるべくポイントを使うか」
「そうですわよ」


 ミルシャはにこり笑ってくれたのであった。

 現在のマジックポイントは5492800ポイントとなっている。


 そこに出現したのは全身が茶色い樹皮の皮膚をした魔物であった。
 モンスターといってもいいかもしれない、

 頭の部分からはたくあんの枝が突き出ており、
 まるで枝の髪の毛となっている。

 枝の先っちょからたくさんの葉っぱがひらりひらりと、
 風に揺られている。


 緑色の髪の毛と想像すれば、あんな感じになるのであろう。

「これはご主人様、僕になにかようかな? 何か面白いことを学ばせてくれるのかな?」

 ブレイントレントはにかりと笑ってみせる。
 その笑顔を見たとき、子供をみているようだった。

 だが背丈は4メートルは越えている化物そのもの、
 その化物そのものが、とてもにこやかに笑っている。
 ギャップがすごすぎて、わしとしては腰を抜かしてしまいたいくらいだった。


「頭が高いわよトレント」
「これはこれは、すみません、僕としたことが」


 といってブレイントレントはそこに胡坐をかいて座りだした。


「そういうこと言ってんじゃないわよ」
「ならどういうことですかな? ああ、なるほど、土下座でもしますか?」
「いや、ブレイントレントよそこまでする必要はない、ミルシャもこれからの仲間にたいしてひどい言い方じゃないか、謝りなさい」

「うう、ごめんなさいブレイントレント」
「いえ、いいんだよでかいおっぱいのお姉ちゃん」
「それは喜んでいいのかしら?」


 とミルシャが1人がうんうんとうなり、

「こんなトレントめええええ」

 と怒ることにしたのだが、
 わしがミルシャを抱きしめて抑える。
 そのときにぐうぜんにもそのでかい胸に手があたり、
 ミルシャは真っ赤になって部屋の隅っこで体育すわりをしていたのであった。


 わしはそのミルシャの奇行に、ほんのりと可愛さがあることに気づいていた。
 そしてわしは、ブレイントレントに名前を与えようとしたのだが。


「実は僕には決められた名前があるんです。その名前はヤシノといいます」
「ではヤシノよよろしく頼む」
「私もよろしくよ」

「これからも魔王さまの知識となりて、がんばる所存であります」

「今回ヤシノに与える任務はといえば、交易の担当になってほしい、これはとても重要なことで頭を使う仕事とされる。やれる自信はあるか?」

 するとヤシノは4メートルの巨躯をおりまげる。
 まるで大木がぐねりとまがってしまったようなお辞儀で、

 おもわずわしとしても驚きを隠せないでいた。

「ところで、魔王さま、交易の基本はわかっておりますが、この城から出せる商品となるもののご紹介をお願いします」
「了解した。いまから城の畑、収穫庫を紹介する。現在牧畜産業については、まだ開拓中です」

「牧畜産業は僕の頭の中にしまっておきましょう、まずは畑と現在ある作物の状況をしりとうございます」

「ではまいろう、ミルシャよお前もついてこい」
「はいであります」


 ミルシャの顔は真っ赤をとおりこしてピンクになっていたが、
 わしとしては、ちょっと可愛いとおもってしまう、

「ではあなたたち玉座の掃除をお願いします」

「「「「「はいであります」」」」」

 5種のメイドたちがそれぞれの得意分野で動き回る。
 それもものすごいスピードでの掃除に、わしとしては、驚きつつもある。

 どのような指導をミルシャはメイドたちにしたのか、
 すこし怖くもあった。

 わしと巨躯のヤシノとミルシャ、3人はゆっくりと歩きながら、
 全員が無言という非常に気まずい状況になっていた。

「かくして、なぜ、城の中に畑があるのですか?」
「無礼者」
「いやいいんだ。ミルシャ」

「はて?」
「わしは城から出ることができきない、しかし他の仲間の魔物の中に憑依することはできるのだよ」
「なるほど、そのような哀しきことがあるとは、たまに僕の体に入ることを許可しましょう」
「許可もなにもあなたには選択権はないことよ」

 ミルシャが冷たくぴしりとののしると、
 わしはヤシノにやさしい微笑みを向けると、

「いやいいんだ。ミルシャ、このヤシノはわしを見ている。つまりわしを試しているのじゃ」

「おや、ばれましたか」


 巨大な木人はにこりと笑った気がしたが、
 目人はこちらをさらにうかがっている。

(伊達に頭がいいというわけではないということか)

 わしは心の声で呟いていると、

「よし、許可をうけよう」
「御意に」


 ヤシノが大きく大げさに木人の頭を振り上げては振り下ろして、 
 彼なりの挨拶の仕方なのだろうとおもった。

 3人がとぼとぼと歩いていると、ようやく畑に到達した。
 やはり畑は城のすみずみまでめぐりめぐって、
 たくさんの収穫物が実っていた。

 
 わしでさえ知らない作物が無限といっていいほど実っている。
 ここを担当しているのは、
 たしかゴブリンロードのダイチであったはず。


 ゴブリンロードといえどわしよりは背丈は小さく、  
 横幅の筋肉はなみなみならぬ強靭さを秘めているような、
 筋肉むき向きマッチョそのものがそこにはいた。

「これはこれは、魔王殿ではありませんか」
「元気かダイチ」
「はい、健在であります。そこのブレイントレントは新入りのようですね?」

「はい、このたびこの魔王城で仕事をすることとなったヤシノといいます。ゴブリンロードのダイチどのよろしくお願い申します」
「いやよい、この畑をみてどうおもう?」

 ヤシノは顎をなでると、
 そこには雑草のような枝が数本髭のように生えているのであった。

「基本的に人間は取れた手新鮮の野菜を好む傾向にあります。なのでいままで貯蔵庫でためてきた野菜は使えないといえば嘘になります。加工品ということを知っていますか?」
「わしは知っている。わしがいた世界ではたくさんの加工品があった」
「なるほど、魔王殿は別の世界から来たようですね、ですが加工品にするにはいろいろな調味料などが必要とされております。その調味料をすっとばして加工品をつくる方法の技術をもっている種族がいるのです」
「それを召還しようか」
「その必要はありません、先ほど、この城で働いている人々のデータが頭に流れてきたました。そこにドワーフがいたのを覚えております。そうドワーフこそが、加工品を加工魔法によりて、砂糖や塩、などといった調味料をぬきにして加工品を作ることが可能なのです。あなたの世界でいうところのチートのようなものですかね」

「ふふ、ヤシノよ、詳しいな」
「それはもう、僕も別な世界にいたようなものですし、別な世界の魔王さまは残虐非道でしたがね、あなたのような善の魔王に仕えるということはとても嬉しいことなのです」

 わしはすこしてれながらも、
 頭もかりかりとかくと。

「それはありがとう」
「魔王さま、これはやつの術中であります」
「それはないよ、魔力をしようしていないから」

 とダイチが告げる。

 ミルシャはまた畑のすみっこで体育すわりを始めたのであった。

「では取れたて新鮮野菜の運ぶほうほうも考えておきましょう、今はドワーフの2名を呼び出し、一緒に貯蔵庫に向かいましょう」

「ミルシャ、いまの時間はドブンとベブンは休憩時間だったな?」
「御意にございます」

 わしたちは巨大な城の迷路を通るように、
 火事場に向かった。 
 そこには無数の鎧と盾が並べられ、この城で財中している魔物たちの装備の点検やら、
 ランクアップしたためさらなる強さをもつ武器や防具の申請をうけた2人のドワーフがさらに製造するという、


 鍛冶師と発明家という二人のコラボレーションは、この城に革命を持たそうとしていたのかもしれない、というかすでに革命をもたらしているのかもしれない。

「よおお」
「これはインゴ様」

「こんにちは、今日は加工魔法について話にきた」
「へぇ、インゴ様が加工魔法に興味を持つとは以外でした」

「そうか? とても重要な魔法らしいではないか」
「そうですよ、ドブン兄さんは加工魔法がとても得意なのです」
「おお、それは」
「実のところ、わのも得意なのです。魔王さまはなぜ加工魔法に?」
「加工品をつくろうとおもってな」
「なるほど、この国ではあまり加工品をつくらないので、わのたちの加工魔法は持ち腐れとされてきました。その趣向はインゴ魔王様も同じだとおもっておりましたが、それは違うようですね」


「ちょっと休みの時間をもうしわけないが、ヤシノと貯蔵庫まで来てほしいのだ」
「それはかまいませんよ、ねぇ、兄さん、いまは休みの時間でしょう?」
「そうじゃ、わさは基本休みじゃ」
「はは、兄さんいきますよ」


 かくしてミルシャ、ヤシノ、ドブン、ベブンという4名に増えたパーティーではないパーティーが魔王城の貯蔵庫に向かっているのであった。


 貯蔵庫に到達したとき、
 わしは貯蔵庫というのは始めてみるのだが、
 こんなにでかくていいものなのだろうか?

 それは圧倒される。
 化物でもすんでいるのではないかというくらいに、わしは驚きを隠せない、

 12メートルくらいの巨大な貯蔵庫、
 扉はバカでかく、テコの原理で開くようだ。

 わしは右手だけで開くと、 
 ドブンとベブンは驚愕の表情でわしを見ていた。

「わさとわのとゴブリン数十体でもいないと開けない扉でございます」
「はは、ごめんね、わしはどうやら怪力のようだ」
「違いますのよ、魔王さまはチカラを秘めているのです」
「それはありがとうミルシャ」
「僕としては、魔王なら当然ですが」
「おだまりヤシノ、松明にしてあげるわよ」
「それはもっとうで」
「静かにしろ」


 わしたちは歩きつつも中はとてつもない寒さが体を覆った。
 この寒さなのに木造の大きな箱のようもおにはぎっしりと野菜やら果物がしまわれており、
 下手したら2年間くらいはこの城の食料はもつのではないかというものだ。


「これは、見事、魔王さま、作物の半分をこの僕に提供してください、交易でたくさんのものをえてきましょう、もしかしたらお金も手に入るかもしれません、というかそれが交易なのですが、わしの交易とはぶつぶつ交換が主流でえすので、お金はあまり期待しないようにお願いします」

「いえ、前半と後半で言っていることしっちゃかめっちゃかだけどね、わしとしては嬉しいことだよ、それで、加工品とはなにを作る予定なのだ?」

「トマトソースとマヨネーズとドレッシングなどです。そこに新鮮な野菜が加わることにより最強な食料となりましょうて、あとは、ピクルスなどのものも必要です。マヨネーズでは卵などが必要ですが、マヨネーズは後回しにする予定です。牧畜産業ができそうになったときに考えておきます。今考えているのはトマトソースとドレッシング、あとはパスタと呼ばれる物体、どういやら小麦はたくさんとれているようなので」

「そうか、それは助かる。

「それにトマトソースとパスタを配合すればトマトソーススパゲティーができます」

 たぶん、わしたちの世界でいうミートソーススパゲティーだとおもわれるが。


「実はこの世界の住民はパンなどくらいしか食べません、パスタ、またはご飯などといったものは、ありえない食べ物なのです」
「へぇ、知らなかった」

「僕のスキルには【自然同化】というものがあります、そのおかげで、ここにいるだけでここの世界のことを知ることができるのです。そしてあなたの世界のことも知ることができるのです」

 わしは驚きを隠せず、目をぱちりぱちりと開けながら。

「では」
「そうです、あなたの世界にはビルなどといった建物、または自動車と呼ばれるありえない物体が見えています。ですがこの僕には再現する技術はありません」
「いや、それは再現しなくていい」
「そうですよね、自然破壊は問題になってますものね」

「はは、恐ろしいなお前は、ということでどんくらいの準備日数かかる?」
「数日です。としかいえません、あと2種類の魔法の派閥が動こうとしています。気をつけてください」
「了解した」


 わしは、頼もしい仲間が増えたのだと考えさせれた。


「ドブンもベブンもつくれるか?」
「「御意に」」


 二人も頷いてくれた。
 わしはこのあと加工品について勉強しようとおもったので、
 のちほどトマトソースとドレッシングのつくり方を覗き見ようと、
 自分なりに決めていた。

 
 わしは念のためヤシノのステータスを鑑定しておいた。

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名前:ヤシノ
種族名【ブレイントレント】S×4級
 
部隊名【交易担当】

スキル
植物移動、長命知識、分析、自然同化
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