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第8話 カーゼル村
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カーゼル村。
周りは終わりの地と呼ばれる危険なモンスターがはびこる大地にそれはある。
そこには七代将軍が1人トメイロ・トメロとその3人娘であるカゲノ、ライカ、ヒョウカが作った最高のトマトが実っている。
家は無数にあるが、住民がほぼいない。
武器と防具を担当するのは七代将軍が1人ラガディ・ヘルマ。彼が作り出す武器と防具と農具は最高傑作の代物。
薬を配合し、村の住民たちの疲れをいやすのはメレル・ダザックという光の道化師を両親に持つ娘であった。
大きな建物にはグレイスフリアと呼ばれるドラゴンの成れの果ての生き物がおり、そこにはトメイロが育てたトマトとラガディが製作した武具と農具とメレルが配合した薬などなどが積み重なっている。
それを交易するのが七代将軍が1人ウィーバー・パリ―という青い髪のおっさんであった。
そして、訓練場では、いつもの如く、ドリームが浮遊する剣を扱い、ドーマスがおもちゃの分身を巨大化させたりしてバトルを繰り広げている。
大きな家、それはもう大きな家だ。
そこには我らが村長ロウがいた。
村長と言えどまだ若くてまだ少年と言って良いほどの年齢だ。
という事で、住民は七代将軍が3名、女性が4名、少年が3名という、とてつもなく村として機能しない状態であった。
「って、無理だろおおおおおお」
ロウが思わず突っ込んでいた。
「とはいえ、しょうがないじゃない、人は少ないんだから」
メレルがたしなめるも。
「うらああああ、くらえええ、ドリーム」
「あ、あぶないじゃないですかあああ」
近くの訓練場では2人が激しいバトルを繰り広げている。
「あいつら気楽でいいな」
「あんたもほぼ気楽じゃない」
「はいはい、じゃあ、俺は俺のチートを使うぜ、ロイフルさんからチートの意味教えてもらったんだ。なぁ、メレル、チートってどういう意味だ?」
「それは凄い力ってところでしょ」
「なんで知ってんだ、これは地球って呼ばれる世界の言葉だぞ」
「本に書いてあったわ、ロイフル殿下の」
「あーそういうせこいの使いますかー」
「うるさいわね、早く相談しなさいよ」
「はいはい」
【まったく、まずは交易だが、近くに街があるな、エンバラード街と呼ばれる街でな、遥か昔からある。呼吸や鼓動からまだ滅びてはいないようだし、元々八角国と三角国の中立を示してる所だから滅ぼされなかったのだろう、ただし、そこでは奴隷市場とか当たり前にあるから、覚悟しろ】
「ああ、了解だぜ」
【基本は品を商人に見せて、売るだが、足元を見られるな、商売の達人がいればいいんだがな】
「なぁ、メレル。商売の達人に知り合いは?」
「いる訳ないじゃないの、そんな都合のいい話はありませんからね」
「おめーは俺のかーちゃんか」
「いつからかーちゃんになったのよ」
【いちゃついている場合ではないぞ、ロウ、交易が国を作る基盤だ。それが出来ずして何が王か、てかお前は俺なんだよな、とほほ】
「いちゃついてねーよ、てか勝手に悲しむなよ」
そんな感じで、ロイフルさんとメレルの会議は終了した。
次にウィーバーに事の事情を説明して、エンバラード街に旅立つ事になった。
もちろんトメイロさんのトマトを食べたら感動して動けなくなりました。
「ご、ごめん、ロウ、やりすぎた」
「か、体が動きません」
ドーマスとドリームは激しいバトルの為、全身が筋肉痛になり動けなくなったので置き去りにする事に。
「はぁ」
「何がはぁよ、私と行く事を光栄に思いなさい」
「はいはい、光栄に思いますよ、メレル様」
「あまりふざけてる場合ではない、フレイクは荷運びをしているから空を飛翔できない。2人は山賊などに警戒を怠るな」
ウィーバーが冷静沈着に助言をくれる。
一応フレイクはドラゴンの成れの果ての為、終わりの地のモンスター達は一目置いているので、襲い掛かってはこない。
フレイクは馬車の馬の役割を担って、トマトと武具農具と薬を運ぶ事になった。
ロウとメレルは談笑しながら歩いていたが、山賊も盗賊も襲ってこず、エンバラード街という大きな街が見えてきた。
現在空を支配しているのは暗い闇だった。
ウィーバーが灯す青い光で視野を確保している。
「その炎はどうやったら出せるんだ」
「これはな、生命のエネルギーみたいなものだ。グレイスフリア乗りが決まって習得するもので、神速のルーム・クラフって禿げに教わった」
「そ、そうか、やばそうだな」
【やばいというレベルではない、彼は俺にも色々と教えてくれた。あいつはまだ生きてるのか】
「ルームは数千年も生きている。最強の老人を3老人と呼ぶんだぜ」
【神速のルーム・クラフ、魔法使いキリエ、樽棒のシャッフルズ、覚えておけ】
「あんたさーいつも意味不明な名前を教えてくれるけど覚えられる訳ねーだろ」
【ロイフルさんだ】
「はいはい、ロイフルさんよー」
「あまりロイフル殿下にため口を聞くな、いつか痛い目見るぞ」
ウィーバーがしれっと忠告してくる。
「なんか、分かりました、とほほ」
ロウが頭を下げつつも。
エンバラード街の門が見えてきた。
「ロウ、油断しちゃダメよ、ここは悪党が無数にいるから、私も一度は来た事がある、身ぐるみ剥がれて奴隷にされる人は大勢いるよ」
「そうか、メレルも気を付けろよというかメレルが気を付けろよ」
「何をーそんなにむかつく事を言わなくったってねー」
「いいから入るぞ」
門が開かれ、2人の男性が出てくる。
彼等はこちらをぎょろりと見て、頭を下げてくる。
「今回は何用で?」
「交易の品々を持ってきた。エンバラード街の領主様にお会いした。トメイロのトマトとラガディの武具農具、光の道化師の薬を持ってきたとな」
「そ、それは、真か!」
1人の門番が後ろに向かって走り出した。
次にもう1人の門番が通さないように立っている。
しばらくしたら先程の門番が戻ってきた。
「通れ、領主様は今お休みだ。明日領主の館に品をもってこられよ」
「おう、分かったぜ」
ロウがそう呟く。
フレイクの馬車が動き出す。
「宿屋で止まるべきではないな」
「なぜなんだ。ウィーバー」
「あいつら、狙ってるぞこの品々を」
先程の門番達だろう。
領主には伝えるには伝えたが、後は奪う気だ。
「つまり領主は関係ないと?」
「そうだ。領主だったら継続的に欲しい品だ。あいつらは一時的に奪いたいんだよ」
ウィーバーが冷静に呟き。
「俺はフレイクを守るのに忙しい、ロウとメレルで相手してやれ」
「おう、任せろ」
「とりあえず、片隅にフレイクを停車しておく」
「おう」
フレイクが暗闇の中、エンバラード街の壁の近くで停車すると。それを待ってましたとばかりに、闇の中から1人また2人と現れてくる。
彼等は剣を握りしめており。
合計で10名いるだろう。
ロウはあらかじめ持っていた鉱物の剣を1本掴み。
相手を見据える。
メレルは2本のナイフを両足の鞘から引き抜いた。
男達は無言で襲ってきた。
1人1人の動きはもはや達人級。
どこかの素人の動きではなかった。
ロウの剣は弾かれてしまい、距離をとっても追撃される。
「やば、おめーらつえーな」
肉薄され、体を弾かれて後ろに転がる。
メレルも苦戦しているが、ウィーバーは圧倒的な強さで3名も斬り伏せていた。
「はぁはぁ、ウィーバー強すぎ」
「この程度の敵を倒せないで何が王になるか」
ウィーバーが叫ぶ。
「王?」
1人また1人と闇の中に隠れていた敵が増幅する。
その数30名。
そいつらが全員ロウを狙っていた。
「お前も王なのか? 奴隷にしたら面白そうだな」
30名が同時に斬り伏せてくる。
「ったく、聞いてねーぜ」
ロウは30人のコンビネーション斬撃をひたすら避ける。
体のあちこちを斬り刻まれ、何度も何度も血が流れる。
それでもロウは地面を踏ん張って立っていたが。
1人がタックルしてきた。
腹にナイフが軽く刺さっており。
吐血しながら、後ろに吹き飛ばされて、小さな川の流れに巻き込まれていった。
ロウは意識がなくなりそうになりながらもやはり闇に包まれた。
周りは終わりの地と呼ばれる危険なモンスターがはびこる大地にそれはある。
そこには七代将軍が1人トメイロ・トメロとその3人娘であるカゲノ、ライカ、ヒョウカが作った最高のトマトが実っている。
家は無数にあるが、住民がほぼいない。
武器と防具を担当するのは七代将軍が1人ラガディ・ヘルマ。彼が作り出す武器と防具と農具は最高傑作の代物。
薬を配合し、村の住民たちの疲れをいやすのはメレル・ダザックという光の道化師を両親に持つ娘であった。
大きな建物にはグレイスフリアと呼ばれるドラゴンの成れの果ての生き物がおり、そこにはトメイロが育てたトマトとラガディが製作した武具と農具とメレルが配合した薬などなどが積み重なっている。
それを交易するのが七代将軍が1人ウィーバー・パリ―という青い髪のおっさんであった。
そして、訓練場では、いつもの如く、ドリームが浮遊する剣を扱い、ドーマスがおもちゃの分身を巨大化させたりしてバトルを繰り広げている。
大きな家、それはもう大きな家だ。
そこには我らが村長ロウがいた。
村長と言えどまだ若くてまだ少年と言って良いほどの年齢だ。
という事で、住民は七代将軍が3名、女性が4名、少年が3名という、とてつもなく村として機能しない状態であった。
「って、無理だろおおおおおお」
ロウが思わず突っ込んでいた。
「とはいえ、しょうがないじゃない、人は少ないんだから」
メレルがたしなめるも。
「うらああああ、くらえええ、ドリーム」
「あ、あぶないじゃないですかあああ」
近くの訓練場では2人が激しいバトルを繰り広げている。
「あいつら気楽でいいな」
「あんたもほぼ気楽じゃない」
「はいはい、じゃあ、俺は俺のチートを使うぜ、ロイフルさんからチートの意味教えてもらったんだ。なぁ、メレル、チートってどういう意味だ?」
「それは凄い力ってところでしょ」
「なんで知ってんだ、これは地球って呼ばれる世界の言葉だぞ」
「本に書いてあったわ、ロイフル殿下の」
「あーそういうせこいの使いますかー」
「うるさいわね、早く相談しなさいよ」
「はいはい」
【まったく、まずは交易だが、近くに街があるな、エンバラード街と呼ばれる街でな、遥か昔からある。呼吸や鼓動からまだ滅びてはいないようだし、元々八角国と三角国の中立を示してる所だから滅ぼされなかったのだろう、ただし、そこでは奴隷市場とか当たり前にあるから、覚悟しろ】
「ああ、了解だぜ」
【基本は品を商人に見せて、売るだが、足元を見られるな、商売の達人がいればいいんだがな】
「なぁ、メレル。商売の達人に知り合いは?」
「いる訳ないじゃないの、そんな都合のいい話はありませんからね」
「おめーは俺のかーちゃんか」
「いつからかーちゃんになったのよ」
【いちゃついている場合ではないぞ、ロウ、交易が国を作る基盤だ。それが出来ずして何が王か、てかお前は俺なんだよな、とほほ】
「いちゃついてねーよ、てか勝手に悲しむなよ」
そんな感じで、ロイフルさんとメレルの会議は終了した。
次にウィーバーに事の事情を説明して、エンバラード街に旅立つ事になった。
もちろんトメイロさんのトマトを食べたら感動して動けなくなりました。
「ご、ごめん、ロウ、やりすぎた」
「か、体が動きません」
ドーマスとドリームは激しいバトルの為、全身が筋肉痛になり動けなくなったので置き去りにする事に。
「はぁ」
「何がはぁよ、私と行く事を光栄に思いなさい」
「はいはい、光栄に思いますよ、メレル様」
「あまりふざけてる場合ではない、フレイクは荷運びをしているから空を飛翔できない。2人は山賊などに警戒を怠るな」
ウィーバーが冷静沈着に助言をくれる。
一応フレイクはドラゴンの成れの果ての為、終わりの地のモンスター達は一目置いているので、襲い掛かってはこない。
フレイクは馬車の馬の役割を担って、トマトと武具農具と薬を運ぶ事になった。
ロウとメレルは談笑しながら歩いていたが、山賊も盗賊も襲ってこず、エンバラード街という大きな街が見えてきた。
現在空を支配しているのは暗い闇だった。
ウィーバーが灯す青い光で視野を確保している。
「その炎はどうやったら出せるんだ」
「これはな、生命のエネルギーみたいなものだ。グレイスフリア乗りが決まって習得するもので、神速のルーム・クラフって禿げに教わった」
「そ、そうか、やばそうだな」
【やばいというレベルではない、彼は俺にも色々と教えてくれた。あいつはまだ生きてるのか】
「ルームは数千年も生きている。最強の老人を3老人と呼ぶんだぜ」
【神速のルーム・クラフ、魔法使いキリエ、樽棒のシャッフルズ、覚えておけ】
「あんたさーいつも意味不明な名前を教えてくれるけど覚えられる訳ねーだろ」
【ロイフルさんだ】
「はいはい、ロイフルさんよー」
「あまりロイフル殿下にため口を聞くな、いつか痛い目見るぞ」
ウィーバーがしれっと忠告してくる。
「なんか、分かりました、とほほ」
ロウが頭を下げつつも。
エンバラード街の門が見えてきた。
「ロウ、油断しちゃダメよ、ここは悪党が無数にいるから、私も一度は来た事がある、身ぐるみ剥がれて奴隷にされる人は大勢いるよ」
「そうか、メレルも気を付けろよというかメレルが気を付けろよ」
「何をーそんなにむかつく事を言わなくったってねー」
「いいから入るぞ」
門が開かれ、2人の男性が出てくる。
彼等はこちらをぎょろりと見て、頭を下げてくる。
「今回は何用で?」
「交易の品々を持ってきた。エンバラード街の領主様にお会いした。トメイロのトマトとラガディの武具農具、光の道化師の薬を持ってきたとな」
「そ、それは、真か!」
1人の門番が後ろに向かって走り出した。
次にもう1人の門番が通さないように立っている。
しばらくしたら先程の門番が戻ってきた。
「通れ、領主様は今お休みだ。明日領主の館に品をもってこられよ」
「おう、分かったぜ」
ロウがそう呟く。
フレイクの馬車が動き出す。
「宿屋で止まるべきではないな」
「なぜなんだ。ウィーバー」
「あいつら、狙ってるぞこの品々を」
先程の門番達だろう。
領主には伝えるには伝えたが、後は奪う気だ。
「つまり領主は関係ないと?」
「そうだ。領主だったら継続的に欲しい品だ。あいつらは一時的に奪いたいんだよ」
ウィーバーが冷静に呟き。
「俺はフレイクを守るのに忙しい、ロウとメレルで相手してやれ」
「おう、任せろ」
「とりあえず、片隅にフレイクを停車しておく」
「おう」
フレイクが暗闇の中、エンバラード街の壁の近くで停車すると。それを待ってましたとばかりに、闇の中から1人また2人と現れてくる。
彼等は剣を握りしめており。
合計で10名いるだろう。
ロウはあらかじめ持っていた鉱物の剣を1本掴み。
相手を見据える。
メレルは2本のナイフを両足の鞘から引き抜いた。
男達は無言で襲ってきた。
1人1人の動きはもはや達人級。
どこかの素人の動きではなかった。
ロウの剣は弾かれてしまい、距離をとっても追撃される。
「やば、おめーらつえーな」
肉薄され、体を弾かれて後ろに転がる。
メレルも苦戦しているが、ウィーバーは圧倒的な強さで3名も斬り伏せていた。
「はぁはぁ、ウィーバー強すぎ」
「この程度の敵を倒せないで何が王になるか」
ウィーバーが叫ぶ。
「王?」
1人また1人と闇の中に隠れていた敵が増幅する。
その数30名。
そいつらが全員ロウを狙っていた。
「お前も王なのか? 奴隷にしたら面白そうだな」
30名が同時に斬り伏せてくる。
「ったく、聞いてねーぜ」
ロウは30人のコンビネーション斬撃をひたすら避ける。
体のあちこちを斬り刻まれ、何度も何度も血が流れる。
それでもロウは地面を踏ん張って立っていたが。
1人がタックルしてきた。
腹にナイフが軽く刺さっており。
吐血しながら、後ろに吹き飛ばされて、小さな川の流れに巻き込まれていった。
ロウは意識がなくなりそうになりながらもやはり闇に包まれた。
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