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はじめての夜・1
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夕食を終え、夜着に着替えた。ドレスは侍女に着付けてもらったが、夜着くらいであれば自分でも着ることができそうだと思ったのだ。
ルーナは人魚の国の王女ではあるが、身の回りのことは自分でするのを好む。けれども。
「裸足で歩いてたら、靴をもう一度履けなくなったんだね」
「そうなの」
ルーナに与えられた羊皮の靴は、リボンで編み上げるタイプのものだった。リボンは人魚族の女性も身に着けるが、人間の衣装のように編み上げたり複雑に結んだりはしない。
「それで、もう一回履かせてもらったの?」
「いいえ。教えてもらいながら自分で履いたわ」
ソファの隣に座るレナートが、ルーナの肩に手をかけそっと抱き寄せる。ルーナは緊張に身を硬くしたが、抱き寄せられるままに身を任せた。
ゆっくりと背中を撫でられると、緊張が解けてゆく。
「せっかく頑張って履いてくれたところに悪いけど、もう一度脱いで貰うよ」
レナートはそう言うと、ルーナをそっとソファに預け自らはその足元に跪いた。
「レナート?」
「まずはきみの真新しい足から、脱がさせてもらうからね」
そう言うとルーナが必死に編み上げたリボンをそっと解いてゆく。生まれたばかりの体の部位に、レナートが繊細な手つきで触れる。
「……っ」
「さあ、次はこちらの足だよ」
ただ靴を脱がされているだけなのに、まるで心を丸裸にさせられているような、そんな気分になってしまう。
レナートの長い指で触れられた箇所から、甘い痺れが走った。
「足裏も、赤ん坊みたいに柔らかいね。……もしかして」
ルーナの足を軽く持ち上げながら、レナートは上目づかいで彼女を見上げた。
そして、足の指先にそっと息を吹きかけたのだ。
「ふぁ……っ」
「やっぱりだ。きみの足は性感帯なんだね」
思わず声を漏らしたルーナを満足そうに見つめて、レナートは言う。
「きみの真っさらなところを全部、僕に頂戴。すべて、愛してあげるから」
そう言って、ルーナの足先に口をつけた。そのまま小指をぺろりと舐め上げられ、ルーナは体をびくりと震わせた。
「は……っ、ふぁ、あん……っ」
レナートに足指を舐めしゃぶられると、未知の感覚が足先から駆け抜ける。
(なに、これ……、こんなの……っ)
「感じるのは、はじめて?」
「……感じる?」
ルーナは頬を上気させ、鸚鵡返しに訊ねた。
「そうか。人魚は卵生だから、性交しないんだね」
「……性交……のことは、知ってるわ。人が愛し合う行為でしょう?」
それこそがルーナの目的だった。レナートと――人間と愛し合うことは、ルーナが完全に人間になるために必要不可欠な行為なのだ。
「そうだよ。そして、それはとても気持ちがいいんだよ。今きみが感じたようにね」
(気持ちがいい……この感覚が?)
「足で感じてくれるなんて、嬉しいな」
にっこり笑ってレナートは、さらに足先を舐め始めた。時おり足首や足裏をさわさわと撫で上げるのも忘れない。
「はぁ……っ、あ、あ……っ」
瞳が潤む。それとは別に、体の奥処から何かがじゅんと溢れ出るような感覚があった。
「……そろそろベッドへ行こうか」
レナートがそっと立ち上がり、ルーナを抱え上げた。
「性交を……するの?」
直截な問いにもレナートは怯むことなく答える。
「そうだよ。きみのすべてが欲しいから。きみはどうかな。僕と……したい?」
ルーナは困惑した。彼と性交をするのはルーナの目的であり、したいかどうかを考えたことがなかったのだ。
「わからないわ……」
「あんなに、気持ちよさそうだったのに?」
脚をそっと撫でて、レナートが問う。
「性交も、さっきみたいに気持ちがよいの?」
「そうだよ。ううん、さっきよりももっと、気持ちよくしてあげる。きっと、きみは気に入る筈だよ」
「あなたも気持ちよくなれるの?」
「もちろん」
ルーナはほっとした。性交しなければならないと言われていたが、それがどのようなものかまでは聞いていない。お互いに気持ちが良いのなら、何も恐れることはない。
「したいわ、あなたとしたい」
そう答えると、レナートは頬にキスをしてくれた。
「ありがとう、クレア」
彼は目を細めて微笑んだのだった。
ルーナは人魚の国の王女ではあるが、身の回りのことは自分でするのを好む。けれども。
「裸足で歩いてたら、靴をもう一度履けなくなったんだね」
「そうなの」
ルーナに与えられた羊皮の靴は、リボンで編み上げるタイプのものだった。リボンは人魚族の女性も身に着けるが、人間の衣装のように編み上げたり複雑に結んだりはしない。
「それで、もう一回履かせてもらったの?」
「いいえ。教えてもらいながら自分で履いたわ」
ソファの隣に座るレナートが、ルーナの肩に手をかけそっと抱き寄せる。ルーナは緊張に身を硬くしたが、抱き寄せられるままに身を任せた。
ゆっくりと背中を撫でられると、緊張が解けてゆく。
「せっかく頑張って履いてくれたところに悪いけど、もう一度脱いで貰うよ」
レナートはそう言うと、ルーナをそっとソファに預け自らはその足元に跪いた。
「レナート?」
「まずはきみの真新しい足から、脱がさせてもらうからね」
そう言うとルーナが必死に編み上げたリボンをそっと解いてゆく。生まれたばかりの体の部位に、レナートが繊細な手つきで触れる。
「……っ」
「さあ、次はこちらの足だよ」
ただ靴を脱がされているだけなのに、まるで心を丸裸にさせられているような、そんな気分になってしまう。
レナートの長い指で触れられた箇所から、甘い痺れが走った。
「足裏も、赤ん坊みたいに柔らかいね。……もしかして」
ルーナの足を軽く持ち上げながら、レナートは上目づかいで彼女を見上げた。
そして、足の指先にそっと息を吹きかけたのだ。
「ふぁ……っ」
「やっぱりだ。きみの足は性感帯なんだね」
思わず声を漏らしたルーナを満足そうに見つめて、レナートは言う。
「きみの真っさらなところを全部、僕に頂戴。すべて、愛してあげるから」
そう言って、ルーナの足先に口をつけた。そのまま小指をぺろりと舐め上げられ、ルーナは体をびくりと震わせた。
「は……っ、ふぁ、あん……っ」
レナートに足指を舐めしゃぶられると、未知の感覚が足先から駆け抜ける。
(なに、これ……、こんなの……っ)
「感じるのは、はじめて?」
「……感じる?」
ルーナは頬を上気させ、鸚鵡返しに訊ねた。
「そうか。人魚は卵生だから、性交しないんだね」
「……性交……のことは、知ってるわ。人が愛し合う行為でしょう?」
それこそがルーナの目的だった。レナートと――人間と愛し合うことは、ルーナが完全に人間になるために必要不可欠な行為なのだ。
「そうだよ。そして、それはとても気持ちがいいんだよ。今きみが感じたようにね」
(気持ちがいい……この感覚が?)
「足で感じてくれるなんて、嬉しいな」
にっこり笑ってレナートは、さらに足先を舐め始めた。時おり足首や足裏をさわさわと撫で上げるのも忘れない。
「はぁ……っ、あ、あ……っ」
瞳が潤む。それとは別に、体の奥処から何かがじゅんと溢れ出るような感覚があった。
「……そろそろベッドへ行こうか」
レナートがそっと立ち上がり、ルーナを抱え上げた。
「性交を……するの?」
直截な問いにもレナートは怯むことなく答える。
「そうだよ。きみのすべてが欲しいから。きみはどうかな。僕と……したい?」
ルーナは困惑した。彼と性交をするのはルーナの目的であり、したいかどうかを考えたことがなかったのだ。
「わからないわ……」
「あんなに、気持ちよさそうだったのに?」
脚をそっと撫でて、レナートが問う。
「性交も、さっきみたいに気持ちがよいの?」
「そうだよ。ううん、さっきよりももっと、気持ちよくしてあげる。きっと、きみは気に入る筈だよ」
「あなたも気持ちよくなれるの?」
「もちろん」
ルーナはほっとした。性交しなければならないと言われていたが、それがどのようなものかまでは聞いていない。お互いに気持ちが良いのなら、何も恐れることはない。
「したいわ、あなたとしたい」
そう答えると、レナートは頬にキスをしてくれた。
「ありがとう、クレア」
彼は目を細めて微笑んだのだった。
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