幼なじみ

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約束

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「春ちゃん!!」
天気がいいので買い物に出かけようと家を出た瞬間
声をかけられた。
「秋くん」
「春ちゃんちょうどいいところにいてくれたよー」
「ん??」
「この映画興味無い?」
「あ!!この映画あの俳優さん出るやつだ!すごい見に行きたかったんだ~」
「そうなの?ちょうど良かった!明日一緒に見に行こうよ!」
「いくいく!!」
…ってちょっとまって!!!!!
秋くんと映画?!?!?!
これって…デートですよね…!!
「どうしたの春ちゃん?」
「あ、あ、秋くんと私でい、行くんだよね??」
「??それ以外誰といくの春ちゃん」
「んーーー!すっごいたのしみ!」
「はは、大袈裟だなぁでも確かに春ちゃんと二人でどこか行くってはじめてかな?こんなに長い付き合いなのにね」
「なんでいきなり映画?」
「友達が彼女と別れて、使うことがなくなったからって僕にくれたんだよ」
「秋くんと映画行くのは楽しみだけど、なんか申し訳ない気分…」
「あはは、気にしなくて大丈夫だよ
じゃあ明日のあさ10時にここに待ち合わせでいいかな?」
「うん!!」
うわうわうわ!!!
秋くんとデートだよ…
考えただけで顔が熱くなってくる。
とにかく買い物に行こうと私は赤くなった顔を隠しながら歩き出した。

「ん~…」
「急に呼び出したくせに人のことほっておいて何よあんた」
「あ!ごめんりっちゃん!」
「あって完全に忘れてたでしょ」
「だってぇ…」
「まぁしょうがないわよねあの憧れの幼なじみくんと初デートだもんね」
「り、り、り、りっちゃん!」
「それにしても、ほんと春一途よね」
「う、うるさい!!」
りっちゃんこと寺本 律音は中学校からずっと一緒で私の恋愛事情を一番わかってくれている人。りっちゃんは私と違って恋愛経験が豊富。別にたらしってわけじゃないけど、りっちゃんもてもてだからなぁ。
「で?どの服にすんの?」
「それが決まらないからこまってるんだよ…」
「これとこれどっちかって?」
「うん…」
「春は小柄だけど脚細いし、スラってしてるからこっちのスカートがいいと思うよ」
「じゃあ、こっちとこっちどっちのスカートがいいと思う?」
「それくらい自分で決めなさいよね…」
という感じでだいたいいつも私が着てる服はりっちゃんが選んでくれている。

「りっちゃんありがと!!」
「あんた私がいなかったら服買えないんじゃない?」
「えへへ~りっちゃんが男の子だったら絶対付き合ってるよ」
「私は絶対嫌だけどね」
「なんで?!」
「あ、あれ海崎じゃない?」
「ほんとだ」
「なんか選んでるのかな」
「なんだろね?」
「春、海崎と仲いいよね」
「仲いいっていうか、面倒見てもらってるというか」
「海崎も大変だ」
「凌くーん!!!」
凌くんに向かって手を振る
凌くんも気づいて手を振り返してくれる
「結城、こんな所でそんなでかい声出すな呼ばれてるこっちがはずかしいだろ」
「ごめんなさい」
ショボンと飼い主に怒られた犬のように
なる
「海崎クラスでもこの子のことよろしくね」
「私そんなに手掛からないし!」
「「自覚ないのか」」
「ハモンないで!」
「春明日デートだから舞い上がってんの」
「りっちゃん余計な事言わなくていいよ…」
「あれ?結城彼氏いたんだ」
「違う違う!!ただの片思いだよ」
「へぇ、結城が人に恋愛感情を持つとか意外だな」
「そ、そりゃ私だって好きな人くらいいるよ…」
秋くんのことを考えただけで顔が赤くなる。
「はいはーい、惚気はそこまで明日に備えて帰るよ」
「うん!凌くんばいばい!」
「ばいばい」
小春の後ろ姿が消えるまでずっと小春の背中を見ていた。

「まさか、好きなやつがいるとは…」
小春に聞こえないように凌は呟いた。
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