7 / 22
第1章
第5話~高揚と絶望~
しおりを挟む
ードクン、ドクンー
龍仁朗の心臓は爆発して飛び散ってしまうほどに鼓動が早くなっていた。
(な、何故あのような事を....。分からない。)
龍仁朗はいつもより早く歩きながら、今にも溢れそうなモヤモヤした感情を抑えようとしていた。
今宮には誠と言い合いをしていたことは言わずに、トイレに行っていたと嘘をつき、ほんのりと赤く染まった顔を伏せながら早々と帰った。
(なんだ、この感情は...。調子が狂う....。)
季節は夏を過ぎて秋を感じる季節となり、やんわりと冷えたそよ風が龍仁朗の白い肌をかすめていく。
歩いていたら、ふとほんのりと甘い匂いがする方へ龍仁朗は思わず向くと、あたかも女性向けのケーキ店が佇んでいた。
お洒落な外装で、店内にはカップルや女性が顔を綻ばせていた。
(お嬢様に伝えておいた時間を遥かに超えてしまったな。
お詫びの印にお嬢様の好きなモンブランを買っていこうかな....。)
龍仁朗はお財布の中身を確認し、優しい甘い匂いの店内に入っていった。
「お、遅い...。やっぱり私探してくる!!」
「お嬢様、どうか冷静になって下さい。今、寺崎財閥へ連絡をしているところですので...。」
「龍仁朗はそんな勝手に寺崎財閥の所へなんか行かないわ!」
歌羽は力強く係員に反発をしたら、勢いよく部屋を出てしまった。
「お嬢様!いけません!もう夜の8時でございます!!」
歌羽はビルを出て、光り輝く銀座の街を駆けていた。
銀座を歩く人々は歌羽に気づいていないように早々と歩いている。
「龍仁朗!龍仁朗!!」
歌羽は通行人とぶつかりながら辺りを見渡すが、龍仁朗の姿はどこにもない。
ブティックやレストランを覗くが、ただ客から怪しむような目つきで見られるだけだった。
(どこにもいない...。龍仁朗...どこにいるの?)
「龍仁朗...。」
歌羽はそう小さく呟いた瞬間、最悪な予想が頭に浮かんできた。
(もしかすると、龍仁朗は....誰かに拉致、された?)
頭が真っ白になる。
「イヤ....そんなワケ...。」
歌羽の脳内に、拉致をされた挙句、暴力を振るわれて瀕死状態になっている龍仁朗がハッキリと現れた。
歌羽はヨロヨロとその場に跪き、震える肩を抑えた。
異変に気付いた通行人達が歌羽を目を丸くして見つめ始めた。
(嫌だ....そんな、龍仁朗は亜麻音グループの関係者だからって、拉致されたかもしれない...。)
『あの、どうかしましたか?』
『顔が真っ青じゃないか。具合が悪いのですか?』
『では、救急車を呼んだ方が...。』
いつの間にか大勢の人達が歌羽を囲んで心配そうに見つめていた。
何人かが歌羽に話しかけているが、歌羽は龍仁朗の事しか考えていなかったので声が聞こえていなかった。
あたりが段々と騒がしくなる。
歌羽はひっそりと涙を流していた。
「龍仁朗...どこにいるの...?」
「....亜麻音、歌羽?」
歌羽の名前を呼ぶ声の方へ歌羽は顔を上げた。
そこには静かに歌羽を見下ろす誠が立っていた。
「誠、様?」
龍仁朗の心臓は爆発して飛び散ってしまうほどに鼓動が早くなっていた。
(な、何故あのような事を....。分からない。)
龍仁朗はいつもより早く歩きながら、今にも溢れそうなモヤモヤした感情を抑えようとしていた。
今宮には誠と言い合いをしていたことは言わずに、トイレに行っていたと嘘をつき、ほんのりと赤く染まった顔を伏せながら早々と帰った。
(なんだ、この感情は...。調子が狂う....。)
季節は夏を過ぎて秋を感じる季節となり、やんわりと冷えたそよ風が龍仁朗の白い肌をかすめていく。
歩いていたら、ふとほんのりと甘い匂いがする方へ龍仁朗は思わず向くと、あたかも女性向けのケーキ店が佇んでいた。
お洒落な外装で、店内にはカップルや女性が顔を綻ばせていた。
(お嬢様に伝えておいた時間を遥かに超えてしまったな。
お詫びの印にお嬢様の好きなモンブランを買っていこうかな....。)
龍仁朗はお財布の中身を確認し、優しい甘い匂いの店内に入っていった。
「お、遅い...。やっぱり私探してくる!!」
「お嬢様、どうか冷静になって下さい。今、寺崎財閥へ連絡をしているところですので...。」
「龍仁朗はそんな勝手に寺崎財閥の所へなんか行かないわ!」
歌羽は力強く係員に反発をしたら、勢いよく部屋を出てしまった。
「お嬢様!いけません!もう夜の8時でございます!!」
歌羽はビルを出て、光り輝く銀座の街を駆けていた。
銀座を歩く人々は歌羽に気づいていないように早々と歩いている。
「龍仁朗!龍仁朗!!」
歌羽は通行人とぶつかりながら辺りを見渡すが、龍仁朗の姿はどこにもない。
ブティックやレストランを覗くが、ただ客から怪しむような目つきで見られるだけだった。
(どこにもいない...。龍仁朗...どこにいるの?)
「龍仁朗...。」
歌羽はそう小さく呟いた瞬間、最悪な予想が頭に浮かんできた。
(もしかすると、龍仁朗は....誰かに拉致、された?)
頭が真っ白になる。
「イヤ....そんなワケ...。」
歌羽の脳内に、拉致をされた挙句、暴力を振るわれて瀕死状態になっている龍仁朗がハッキリと現れた。
歌羽はヨロヨロとその場に跪き、震える肩を抑えた。
異変に気付いた通行人達が歌羽を目を丸くして見つめ始めた。
(嫌だ....そんな、龍仁朗は亜麻音グループの関係者だからって、拉致されたかもしれない...。)
『あの、どうかしましたか?』
『顔が真っ青じゃないか。具合が悪いのですか?』
『では、救急車を呼んだ方が...。』
いつの間にか大勢の人達が歌羽を囲んで心配そうに見つめていた。
何人かが歌羽に話しかけているが、歌羽は龍仁朗の事しか考えていなかったので声が聞こえていなかった。
あたりが段々と騒がしくなる。
歌羽はひっそりと涙を流していた。
「龍仁朗...どこにいるの...?」
「....亜麻音、歌羽?」
歌羽の名前を呼ぶ声の方へ歌羽は顔を上げた。
そこには静かに歌羽を見下ろす誠が立っていた。
「誠、様?」
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる