美月 ~芸能界の物語~

鎌倉結希

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【芸能界 デビュタント編】 第五章 ツバサプリンセス

35 東京で彰は従姉とデート……?

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次回のステージ、私は美月を応援しに行かなかったが、クリスマスのステージに私はまた上京した。ツバサタウンで演技するときに美月のマネージャーの工藤楽之やすゆきさんにも初めて会って、前回彼も見に来たと浅井さんから聞いた。私は工藤さんをチラッと見て聞いた「マネージャーって、もっと偉い芸能人に付いてるんじゃないですか」
  浅井さんは少し考えると言った。「前に話したんだけど、彼はほかの子も担当しているの。でも休日なのに来てくれて、すごいね」
  演技が終わって、四時くらい美月は私服に着替えて私たちと集合すると、相変わらず一緒にあそびに行くと浅井さんに言ったが、イルミネーションで美しく飾られたお店をまわるより、浅井さんが見ないうちに私と美月は目白のホテルの部屋に帰った。私の部屋に入って、ドアを閉めてしばらくキスすると、美月は今日はちょっと無理とまた言った。「ごめんね。一緒にいるのに」
  「わかった。美月といたら私はもう嬉しいよ」
  好きなのは君の身体じゃない、と格好いい台詞を言うと、紳士的に彼女の腰に手を軽くまわして一緒に寝るつもりだったが、本当にベッドに横にすると、習慣か腰より私は手を低くして、彼女のそこを触った。
  確かに普通の布以外硬いパッドが強化された。なにも感じないかと私は二、三度聞いた。「……全然?」
  美月が頭を振った。「今日はちょっとできないね……でも女性はそれぞれ違うかな」
  「それぞれ?」
  「こんなとき、できる女性がいるそうね」
  自分の手から、彼女の方に向くと私は聞いた。「……なんでわかるの?」
  「ネットで読んだから」
  「え?」
  私たちは見合うと、美月は答えた。
  「……か、勘違いしないで!こんなとき心配するからちょっと検索したの。でも彰くんはさ、男の子っていつもそんなことを……思うの?」
  「えー、そこまでじゃないけど、女子みたいに生理もないし、あとその気分ってさ、簡単に高ぶるからかな」
  「でも学校に健全な男の子がいて、みんなに笑顔でしゃべってさ。彼は野球部ね。本当にそういうことをするのか想像できないけど」
  「するよ」
  「そう?」
  私はうなずいた。「美月の同級生の彼なら、そうしながら美月のことも想像するかも」
  「……そう!?」
  美月は本当にびっくりしたようだった。私は聞いた。「変?」
  「変でしょ!」
  「なんというか……ポルノを見るときはさ、女優の代わりに美月の君の顔を想像して、君の声で彼の名前を呼ぶのも想像するかもね。男は結構こんな感じだ」
  「それは彰くんだけ。彼は私に普通にしゃべったよ」
  「彼はイケメン?」
  「そこまでじゃないけど。でも……本当?……みんな?」
  「うん」
  少し考えると私は続けた。
  「美月知らないの、男子たちは一緒にいると汚い話が多いし、ポルノを借りたり、リンクを送ったりして、あとはだれかとやりたいとか、だれかのパンツを見たとかばかりって。女の子も男の話をするのを聞いたけど、それほどじゃないかもね」
  「だから、彰くんは私が男の子だと見てるの」
  「……どういう?」
  そばで、美月がもじもじしながら言った。「この前彰くんは私にポルノの写真を送ってさ。台所のシーンの、私は男友だちじゃないよ」
  それ、あのポルノか。「いえいえ、言ったでしょ。ただドアの隙間から奥さんの不倫を覗いた旦那の顔が面白いと思ったの……あ、彼はそんなに平気そうって、役でしょ」
  「……でもその女優さんはきれいね、おっぱいも大きいし……あー、そう言えばさ、あのPARCOの受付嬢も、彰くんはかわいいと言ったでしょ。多分お姉さんのタイプが好きなんじゃないの」
  うん?「そ、そんなことないよ!」
  「本当?」
  最近会ったのは大人ばかりでしょ。代わりに私は高校生にかわいい、かわいいと言ってもいいの」
  「……よくない」
  あれっ。「じゃあ、だれにも言っちゃだめじゃない」
  「だめじゃないよ。私にかわいいって言って」
  「え?」
  彼女は私を見ていた。上目遣いで、やばい。「言えないの?」
  「もう何度も言ったけど」
  「また聞きたいの、彰くんは私がかわいいと思ってるって」
  「君はかわいいよ」
  「本当?」
  「うん」

  美月の頭を撫でてまたそう言うと、私は彼女とキスをした。

  またツバサプリンセスの話をしながら私は美月のセミロングの髪の毛を少しずつ彼女の細い首から肩の後ろに整えてあげた。そして彼女は言った。「ね、ちょっと寝てもいい?」
  「いいよ、まだ五時だから」
  彼女はうなずいた。「なぜか、彰くんの顔を見ると私は安心するね」
  「なんで?」
  「わからない。いろんなことがまだあると思うけど、絶対大丈夫と感じるね……ハグしてもいい?」
  「うん」
  私が抱き締めるとしばらく美月はなにもしゃべらなくて、見ると彼女は目を閉じていた。その顔を見ながら東京で買い忘れた物があるかと考えると、ベッドの心地がよかったからか、気づいたら私も寝ちゃった。

  
  美月のことをだれにも明かしたくないので、東京に住んでいる祖父母を訪れる際、私はただ友だちの家族についてきた旅行だと説明した。杉並にある祖父母の家は、都心からちょっと離れていて広い庭と、古い時代の洋風の館で、初めて来たときにこれを豪邸と言っても間違ってないと思った。
  十二月上旬、前に美月の初ステージがあった日に私は一人で祖父母の家に行った。その朝は偶然におばさんの家族と会ったから一緒に昼食を食べるのを祖父に誘われて、私は聞いた。「いいですか」
  そして祖父は微笑んだ。「いいだろう。会いに来てくれておじいちゃんはとても嬉しいよ。今度上京したらここに泊まれば?」
  「はい、考えます」
  その昼、お手伝いさんはおいしそうなビーフシチューを作ってくれた。この家のお洒落なダイニングルームでは、テーブルに椅子は六つあって、上座なども入れたら十席になるほど余裕があった。この部屋の大きな窓からそとの庭が見えて、石ランタンや土に砂利もあるし、実はこの家には畳の部屋もあって洋風とまで言うのは躊躇した。
  おばさんは私と祖父母の反対側にすわった。彼女は中三の息子と高二の娘がいると覚えたが、息子は塾に通っているそうで来たのは娘だけだった。
  その娘、私の従妹はどの高校かわからないが、髪の毛は明るく茶髪に染めて、アクリルネイルにキラキラな飾りもあった。食事中たまに携帯をいじってあまり私たちと会話しなくて、一時においしいミルフィーユを食べたあと、別れる前に玄関で急に彼女は言った。「ね、また東京に来る?」
  私?「うん。でも来月かもね」
  「そっか。これ、スキャンしてくれる?」
  それはチャットアプリのことだった。彼女を友だちに追加すると、舞って彼女の名前だけど、ローマ字で書いてあった。「できた」
  「ありがとう。じゃあね」
  彼女は手を振ると、おばさんについていった。
  私はたまに舞とやり取りしていた。ツバサプリンセスのクリスマスステージで上京しても美月と予定があったので親戚に伝えなかったが、また来た一月に祖父母の家に訪れると、私の従妹の舞と六本木で待ち合わせてあそびに行った。夜に美月と合流すると、その日彼女は同じ事務所の女優の米沢宏子に付き合ったそうだ。カフェでのツーショットも見せると優しい先輩だと美月は言った。「ラグーン事務所に行ったとき偶然に会って紹介されたの。私は無名なのに、気づいたらいっぱい話していたんだ」
  「いいじゃない、先輩と仲良くするって」
  「うん!彼女は仙台出身で、今一人暮らししてるね。いろんなことを教えてくれたよ」
  私は舞とのツーショットもあって、やっと見せると美月は微笑んだ。「ずっと彼女と会わなかったのに、こんなに仲良くなっていいね」
  「うん、ね」
  島根にも女の子の親戚はいるけど、こんなに長くあそんでいたのは従姉の舞が初めてだった。ちょっと驚いたのは次回会ったとき、買い物している間に暇があったら私に学校へ来れるか舞は聞いた。「え、でも平日彰はいないよね」
  「なにするの」私は聞いた。
  「ただ一緒に歩くだけ」
  「え?」
  「ちょっと彼氏ごっこするの、だめなの。従弟はこんなに格好いいし、使わないともったいないから」
  彼女と見合わせると私は言った。「……いいですか」
  「困ってたらいいよ、聞いただけ。また東京に来たら連絡してね」
  彼女は彼氏がいるらしいが、夜遅くまで楽しくメッセージをやり取りした日もあったので大丈夫かと思った。そして二月に東京に行くと伝えると、忙しくて会えない彼女は、私に代わりにバイオリンの教師に会わないかと聞いた。『だれ?』
  『瑛斗、おじさんの息子、覚えてる?バイオリンのレッスンを受けているって。祖父母の家は大きくてうるさくないからそこを使うんだ』
  『それで?』
  『あのお姉さんの教師はめっちゃ美人だよ、やってみない?』
  『え?』
  『えーじゃないよ。君はイケメンだから。この前東京ミッドタウンであの先生の彼氏を見かけたけどそんなに格好よくないし、お姉さんはちょっと不満なんだ』
  『そこまで知ってるの?』
  『いいよ、早く行って。従姉の心からのおすすめだよ!』
  
  なぜか私はそれに従った。


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