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「さ、入って」
連れてこられた先は、学園に王族関係者が在席している時に使われる部屋だ。説明会で言ってた。
まぁ公爵令息も関係者か。現国王陛下はキラキラさんから見れば叔父さんになるのだろうし。
「で、何の用ですか?」
部屋に入ると同時に我に返った僕は、キラキラさんから瞬時に距離を取り、睨みつけた。
格上の公爵令息に対しての態度とか、そんなのもうどうでもいい。
部屋には他に誰も居ないし、問題ないだろう。
「入学式前の話の続きだ。サラは俺のこと、本当に忘れたのか?」
「あの時にも言いましたが、誰かとお間違いでは?確かに僕はサラセニア・オブシディアンですが、貴方のように目立つ人と出会った記憶がありません」
「そんなことはない。俺たちは確実に5年前のお茶会で出会っている。俺がレティだよ。当時より結構大きくなってしまったけどね」
信じられない。結構どころではなく、かなりだろ。いや、まだ信じたくない。あの可憐でウブなレティがこんなキラキラした大男になるとは思えない。
確かに髪の色や雰囲気に面影…ないない。
まだ兄ですと言われた方がすんなり受け入れられたのに。
「信じられません。確かに僕は5年前に一度だけお茶会に参加しましたし、その場には公爵家の方々もいらっしゃいました。だけど仲良くなったレティと、目の前の貴方が全く合致しません。何か証拠でもありますか?」
「証拠……」
無いだろ?無いと言え。僕とレティの美しい思い出を壊さないでくれ。
「証拠ではないが…俺はサラの秘密を知っている」
えっ、秘密?僕の?5年前にレティに教えるような秘密なんてあったかな?
「それはどういった種類の秘密ですか?」
前世の記憶持ちだとか?いやいや、そんなもん秘密にならないよな。誰にも言ってないし、活用出来てないし。何だろう…
「服を脱いでくれ」
「えっ!?」
何急に?ちょっと、足を進めないで、止まって冷静に、今言った発言の真意を教えて下さい!
「あの日、サラの秘密は俺を一瞬で狂わせたんだ。上だけで良い。服を脱いでくれたらすぐに分かるよ」
「意味が分かりません」
服を脱ぐ意味もキラキラさんを狂わせた意味もわかりませんが、僕は気付いてしまった。
僕の秘密……いや、秘密というより、ちょっと恥ずかしいなって思うくらいで…でも身内以外に見せたことはないし、身内しか知らない秘密。
それくらいしか思い浮かばないんだけど、キラキラさんが狂う要因になるとは思えない。
「服は脱ぎません。証拠が示せないのなら、この話は終わりにしましょう」
「嫌だ!俺は5年も耐えたんだ!」
「大きな声を出さないでください。耐えるって何にですか?」
「サラの…サラの秘密に触れることだよ…この5年、ずっと、ずっとずっと、俺の頭の中はサラで一杯だった。今日この日の為に、父上から出された鬼のような条件全てをクリアしたんだ」
この人は何を言ってるんだ?
公爵閣下からの条件とは?
それが僕の秘密に何の関わりがあると?
「いま僕の秘密に触れたいのですか?」
僕の思う秘密と彼が思う秘密は違うのだろうか?
そうじゃなきゃ触りたいと思うものでもないしなぁ?
「!!良いのか?!」
距離をジリジリと詰めてきているキラキラさんの目が見開く。
目がヤバい!一瞬でギラついたんだけど!こっわ!
「いや、ちょっと待ってください!落ち着きましょう!」
「落ち着いてなどいられるか!」
だから大声出さないでよ。
「僕の思っている自分の秘密と、貴方が知っているであろう僕の秘密は同じものですか?」
「多分同じだ。5年前、絶対に他言しないようにと俺に言っただろ?秘密を知った時、俺がどれ程悶え苦しんだと思ってるんだ」
「聞けば聞くほど、やっぱり、別物な気がするんですけど?」
確かにあの事があった後段々口数が減ってるなぁと思ってたけど、恥ずかしがってただけでしょ?レティは控え目な子だったし。まぁ本物の、であればだけど。
ますます意味がわからない。
「貴方が知ってる僕の秘密を言ってもらっていいですか?聞いて判断します。違ってたらすぐ帰りますよ」
絶対に違ってるはず。
秘密を確認するとかどんな苦行かと思うが、どこか違うところを示さないと、この部屋から出してもらえそうにない。
この際目の前のキラキラさんがレティでも諦める。
これ以上この人と関わっていたらモブらしい学園生活が脅かされるかもしれないし。
レティでもレティじゃなくても、今日限りで縁を断ち切ってみせる。
「言っても良いのか?」
「どうせ部屋には僕と貴方しかいません。仕方ありません」
「じゃあ…」
キラキラさんがまた一歩近づいて、頬を染める。
近付かなくていいし、頬も染めないでよ。
一気に詰められた距離に焦っていると、キラキラさんの大きな右手が僕のジャケットの中に突っ込まれて脇を掴んだ。
えっ…
連れてこられた先は、学園に王族関係者が在席している時に使われる部屋だ。説明会で言ってた。
まぁ公爵令息も関係者か。現国王陛下はキラキラさんから見れば叔父さんになるのだろうし。
「で、何の用ですか?」
部屋に入ると同時に我に返った僕は、キラキラさんから瞬時に距離を取り、睨みつけた。
格上の公爵令息に対しての態度とか、そんなのもうどうでもいい。
部屋には他に誰も居ないし、問題ないだろう。
「入学式前の話の続きだ。サラは俺のこと、本当に忘れたのか?」
「あの時にも言いましたが、誰かとお間違いでは?確かに僕はサラセニア・オブシディアンですが、貴方のように目立つ人と出会った記憶がありません」
「そんなことはない。俺たちは確実に5年前のお茶会で出会っている。俺がレティだよ。当時より結構大きくなってしまったけどね」
信じられない。結構どころではなく、かなりだろ。いや、まだ信じたくない。あの可憐でウブなレティがこんなキラキラした大男になるとは思えない。
確かに髪の色や雰囲気に面影…ないない。
まだ兄ですと言われた方がすんなり受け入れられたのに。
「信じられません。確かに僕は5年前に一度だけお茶会に参加しましたし、その場には公爵家の方々もいらっしゃいました。だけど仲良くなったレティと、目の前の貴方が全く合致しません。何か証拠でもありますか?」
「証拠……」
無いだろ?無いと言え。僕とレティの美しい思い出を壊さないでくれ。
「証拠ではないが…俺はサラの秘密を知っている」
えっ、秘密?僕の?5年前にレティに教えるような秘密なんてあったかな?
「それはどういった種類の秘密ですか?」
前世の記憶持ちだとか?いやいや、そんなもん秘密にならないよな。誰にも言ってないし、活用出来てないし。何だろう…
「服を脱いでくれ」
「えっ!?」
何急に?ちょっと、足を進めないで、止まって冷静に、今言った発言の真意を教えて下さい!
「あの日、サラの秘密は俺を一瞬で狂わせたんだ。上だけで良い。服を脱いでくれたらすぐに分かるよ」
「意味が分かりません」
服を脱ぐ意味もキラキラさんを狂わせた意味もわかりませんが、僕は気付いてしまった。
僕の秘密……いや、秘密というより、ちょっと恥ずかしいなって思うくらいで…でも身内以外に見せたことはないし、身内しか知らない秘密。
それくらいしか思い浮かばないんだけど、キラキラさんが狂う要因になるとは思えない。
「服は脱ぎません。証拠が示せないのなら、この話は終わりにしましょう」
「嫌だ!俺は5年も耐えたんだ!」
「大きな声を出さないでください。耐えるって何にですか?」
「サラの…サラの秘密に触れることだよ…この5年、ずっと、ずっとずっと、俺の頭の中はサラで一杯だった。今日この日の為に、父上から出された鬼のような条件全てをクリアしたんだ」
この人は何を言ってるんだ?
公爵閣下からの条件とは?
それが僕の秘密に何の関わりがあると?
「いま僕の秘密に触れたいのですか?」
僕の思う秘密と彼が思う秘密は違うのだろうか?
そうじゃなきゃ触りたいと思うものでもないしなぁ?
「!!良いのか?!」
距離をジリジリと詰めてきているキラキラさんの目が見開く。
目がヤバい!一瞬でギラついたんだけど!こっわ!
「いや、ちょっと待ってください!落ち着きましょう!」
「落ち着いてなどいられるか!」
だから大声出さないでよ。
「僕の思っている自分の秘密と、貴方が知っているであろう僕の秘密は同じものですか?」
「多分同じだ。5年前、絶対に他言しないようにと俺に言っただろ?秘密を知った時、俺がどれ程悶え苦しんだと思ってるんだ」
「聞けば聞くほど、やっぱり、別物な気がするんですけど?」
確かにあの事があった後段々口数が減ってるなぁと思ってたけど、恥ずかしがってただけでしょ?レティは控え目な子だったし。まぁ本物の、であればだけど。
ますます意味がわからない。
「貴方が知ってる僕の秘密を言ってもらっていいですか?聞いて判断します。違ってたらすぐ帰りますよ」
絶対に違ってるはず。
秘密を確認するとかどんな苦行かと思うが、どこか違うところを示さないと、この部屋から出してもらえそうにない。
この際目の前のキラキラさんがレティでも諦める。
これ以上この人と関わっていたらモブらしい学園生活が脅かされるかもしれないし。
レティでもレティじゃなくても、今日限りで縁を断ち切ってみせる。
「言っても良いのか?」
「どうせ部屋には僕と貴方しかいません。仕方ありません」
「じゃあ…」
キラキラさんがまた一歩近づいて、頬を染める。
近付かなくていいし、頬も染めないでよ。
一気に詰められた距離に焦っていると、キラキラさんの大きな右手が僕のジャケットの中に突っ込まれて脇を掴んだ。
えっ…
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