愛されたくて悪役令嬢になりました ~前世も今もあなただけです~

miyoko

文字の大きさ
35 / 123

35.素敵な魔道具をもらいました

しおりを挟む
食事に向かっているとお父様に、
「マリーちょっと話があるから一緒に食べないかい。」
と言われたけど、お父様ったらここでは私は薬師様って分かっているのかしら?どうせ結界は張ってあるんでしょうけど、確認は必要よね。
「お父様、もちろん喜んでご一緒しますけど、結界は張ってあるのですか?」
「マリー安心して、さっきちょっと暇だったから3メートル以内にマリーが近づくと自動的に防音の結界が張れる魔道具を作ってみたよ。これくらいのレベルなら私にでも簡単だからね。」
「そ、そうですか。流石ですわ、お父様。」

お父様が見せてくれた魔道具は本物のバラの花かと思うほど美しい深紅のバラ型の魔道具だった。お父様は趣味がいいのね。
「美しいです。魔道具にみえません。」
「マリーの分もあるよ。結界を張ってない時はほら、真っ白だろう。マリーのはスイッチ付きだよ。この花びらがスイッチだよ。スイッチがオンになると、花の色がピンクに変わるよ。押してごらん。」

私は言われた通りバラの花びらのスイッチを押した。
「お父様、可愛らしいです。まるで、咲いたばかりのバラのようですね。」
「これで会話はもちろん分からないし、容姿もぼんやりとしか認識されないから、相手の記憶にも残らないから安心しなさい。」

「お父様、素敵な魔道具をありがとうございます。とても嬉しいです。」
あら、お父様の顔が真っ赤になちゃったわ。何かぶつぶつ言っているけど大丈夫かしら。
「マリーがありがとうって、嬉しいって、笑ってくれた。嬉しい…可愛い…幸せだ。」
そうでした。私最近まで、お父様の気持ちを知らなかったから、必要最低限の会話しかしてこなかったわ。それに、たぶん、思春期真っ只中で、お父様のことちょっとだけ、うざいって思っていたかも。ごめんなさいお父様。

食堂につくと、明らかにいままでと違う空間が出来上がっていた。どういうこと?!これは、王宮レベルじゃないかしら?何がどうなっちゃったの?不思議に思ってお父様の方を見ると、
「シェフを王宮から借りてきたよ?」
って、にっこり微笑まれた。はぁ~。大丈夫なのでしょうか?

「陛下が気が利かないから私も苦労するよ。」
「…………。」
とても不安だったけれど、料理はどんどん運ばれてくるし、心配しても仕方ないわね。とりあえず食べましょう。


「お父様、とても美味しいです。お肉は柔らかいし、このスープのお豆はほくほくしていて美味しいですね。そう言えば、お父様、お話があるとおしゃられていましたけれど、お話は、この美しい魔道具のことでよろしかったんですか?」

「いや違うんだ。マリーは今日、ブロッサという女の子が光魔法を使う所を見ただろう。王太子殿下がね、その子にも一度まぼろしの薬を作ってもらってはどうかって、言われてね。私もそんなに素晴らしい光魔法の使い手なら一度お願いしてみるべきだと思ったんだよ。それでいま、王太子殿下は陛下に説明と許可をもらいに、シルバーは材料の調達に戻っているんだよ。明日の朝には帰ってくると言っていたから安心しなさい。それと、明日は私もマリーと一緒に救護院に行って、手伝うからね。今日は本当に頑張ったね。」

お父様の話を聞いて、ヒロインなら簡単にまぼろしの薬を作ってくれる気がした。
「ところでマリー、その女の子が魔法を使っている時の様子を少し教えてくれないかい?」
「もちろんいいですよ。ものすごく遠くから見ていたんですけど、その女の子のピンクの髪が、光魔法できらきらと輝いているみたいで、とにかく可愛くて綺麗で、興奮してしまったんです。」
「女の子の手の部分や患者の患部ではなくて、その子がきらきらして見えたんだね?」

「そうです。もう全体です。きっと魔力が多いから全部輝いちゃったんですね。」
「ん~、普通はどんなに魔力が多くても、出てくる場所と、魔力が当たっている場所しか、光らないと思うんだが不思議だね。」
「そうなんですね。それででしょうか。私は一人ではしゃいでいたのですが、王太子殿下とシルバーは少し不思議そうな顔をしていました。」

「マリーはそのままでいいんだよ。他に気になることはあったかな。」
「そう言えば、偶然だとは思うんですけど、王太子殿下が結界を張る前に、私がちょっと柱が邪魔で見にくいわねって、言ったんですけど、そうしたら、見やすいところにその女の子がたまたま動いて、きらきらも増して、私ラッキーって思ったんです。それくらいですかね。」
「そうだったんだね。よく分かったよ。マリーありがとう。でもね、マリーより可愛い子なんて絶対にいないからね。」
「……。」

お父様、残念ですが、あなたの娘は悪役令嬢で、あちらはヒロインなんですよ。でも、とても嬉しいです。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない

As-me.com
恋愛
完結しました。 自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。 そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。 ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。 そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。 周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。 ※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。 こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。 ゆっくり亀更新です。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。 王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。 エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。 だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。 そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。 夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。 一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。 知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。 経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

処理中です...