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45.ついにアーサーとデートに行きました①
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「ねぇアーサー、何で向かい合って座らないの。こんなに広いのに。」
サリーに見送られて馬車に乗ったんだけど、アーサーが私の隣にくっついて座っていて、とてもじゃないけど落ち着かないのよ。
「今までも僕はいつもこの位置だったじゃない。マリーの目の前はマルクが座っていたでしょ。」
「そうだけど、今はお兄様はいないし、くっつき過ぎで話しづらいのよ。首が痛くなりそうよ。」
「そっか、ごめんね。僕はこの場所が落ち着くんだけど、たしかに話しづらいよね。分かった、向かいに座るよ。今日のデートのことも話したいしね。」
「ええ、そうして。」
最初からこれじゃ、私の心臓がもたないもの。なんだかアーサーからとってもいい匂いがするし、少しだけ触れてる腕が、思っていたより太くて、頼もしくて、どきどきしておかしくなりそうよ。だからあんまり、見ちゃだめなのに、ついつい見ちゃって、アーサーのまつ毛って、長くて、瞳がきらきらしていて、髪の毛も、黒くて硬そうなのにすごく柔らかくて、少しくせ毛で素敵…。だめだめ、意識しすぎよ、マリー。今は話に集中しなきゃ。
アーサーが考えてくれたデートコースの説明は、まずはお兄様と約束したプレゼントを二人で選ぶ。その後、花祭りで流す花をお互いに選んで、笹で作った舟に乗せて川に流す。まだ時間があったら公園に少しだけ屋台があるから食べに行こうということになった。すごく楽しそうだわ。話が終わった頃、馬車はおしゃれな雑貨屋さんの前で止まった。
「マルクは意外と可愛らしいデザインが好きだから、雑貨屋にしてみたんだけど。」
「すごく、いいと思うわ。」
私が馬車を降りようとすると、アーサーが先にすっと降りて、手を出してくれた。デートっぽい…。いつもは、お兄様が手を貸してくれて、アーサーは後ろからついて降りて来てたけど、すべての動きがカッコ良すぎて、もう、やばいかもしれない。
「ありがとう。アーサー。」
私は平静を装って、アーサーの手に私の手をのせた。心の中できゃ~ってめちゃくちゃ悶えてしまったのは恥ずかしいからもちろん内緒。
雑貨屋さんの中は想像通り素敵で、どれを選んでもお兄様は喜んでくれそうだけど。
「お兄様は魔道具のことになると食事の時間も寝る時間も忘れてしまうから、時計なんてどうかしら?」
「そうだね、でも腕時計はたぶん魔道具を作る時は外しちゃうんじゃないかな。僕も外すし…。そうすると、マルクは、なくしちゃいそうだよね。」
「百パーセントなくすわね。そうだ、魔道具の道具鞄をいつも持ってるから、鞄に付けるタイプはどうかしら?」
「なるほど、それじゃあ懐中時計にしようか。」
「ええ、いいわね。あとはデザインだけど、お兄様のイメージだと水色とか青よね。」
「「あっこれ!」」
二人で同時に一つの懐中時計を指さした。それは真っ青な海にスカイブルーの空。そこに三頭のイルカが空に向かって跳ねている。イルカの色は紺色よりも暗く、殆ど黒に近い。空と海はお兄様と私、イルカはアーサーの色。三頭の楽しげなイルカは私たち。このイルカとても可愛いし、絶対にお兄様喜んでくれるわ。
無事にお兄様のプレゼントを買って、今は沢山の花で飾られた道を歩きながら私たちは真剣にお互いの花を選んでいるのだけど。
「沢山ありすぎて悩んじゃうわね。」
「本当だね。青色の花がこんなにあるなんて思わなかったよ。」
「私もよ。黒色の花がこんなにあるなんて、黒ユリに、黒バラに、黒チューリップって、もう何でもありね。」
でも、何となく、アーサーのイメージはこれの気がするわ。
「私は決まったけど、アーサーは決まった?」
「うん、僕もやっと決まったよ。」
「じゃあ同時に見せようね。」
「うん、せーの。」
「「わぁ!」」
「青バラ綺麗。」
「黒バラも綺麗だ。」
二人とも他のバラより一回り大きなサイズの花を選んでいた。私にとってアーサーはとても、とても大切で大きな存在だから。アーサーもそう思ってくれているといいけど。たぶん態度が大きいからとかそちらのイメージよね。無事に花を選べたので、橋の下で笹舟を作ることにした。
「マリー、笹で手を切るといけないから僕が作るよ。マリーは花を持っていてね。」
「そうね、私より、アーサーの方が器用だからお願い、だけどアーサーも気を付けてね。」
「あっ。」
気を付けてって言ったのに、アーサーが小指のところを少し切ってしまった。私は思わずアーサーの小指を両手でそっと握った。
「えっ、こんなに光ってる!」
「マリーありがとう。治ったみたいだ。もう全然痛くないから。」
恐る恐る手を離すと、傷は完全になくなっていた。アーサーには、とても早く光魔法が効くね。不思議…。
それからアーサーの作ってくれた笹舟に二人で黒バラと青バラをのせて二人でずっと一緒に居られますようにってお願いしながら流した。
「マリー、大好きだよ。」
アーサーにぎゅっと抱きしめられて大好きって言われちゃった。大好きって。嬉しくて涙が零れてしまった。
「マリー?」
「心配しないで、幸せ過ぎて涙が出ちゃっただけ。私なんて、泣き虫だろうが、ヘタレだろうが、どんなアーサーでも大好きよ。ずっと私のそばにいてね。」
アーサーの顔が、びっくりした顔から何とも言えない笑顔に変わって、あーあ、やっぱり泣いちゃったわ。やっぱり私のアーサーは泣き虫ね。
サリーに見送られて馬車に乗ったんだけど、アーサーが私の隣にくっついて座っていて、とてもじゃないけど落ち着かないのよ。
「今までも僕はいつもこの位置だったじゃない。マリーの目の前はマルクが座っていたでしょ。」
「そうだけど、今はお兄様はいないし、くっつき過ぎで話しづらいのよ。首が痛くなりそうよ。」
「そっか、ごめんね。僕はこの場所が落ち着くんだけど、たしかに話しづらいよね。分かった、向かいに座るよ。今日のデートのことも話したいしね。」
「ええ、そうして。」
最初からこれじゃ、私の心臓がもたないもの。なんだかアーサーからとってもいい匂いがするし、少しだけ触れてる腕が、思っていたより太くて、頼もしくて、どきどきしておかしくなりそうよ。だからあんまり、見ちゃだめなのに、ついつい見ちゃって、アーサーのまつ毛って、長くて、瞳がきらきらしていて、髪の毛も、黒くて硬そうなのにすごく柔らかくて、少しくせ毛で素敵…。だめだめ、意識しすぎよ、マリー。今は話に集中しなきゃ。
アーサーが考えてくれたデートコースの説明は、まずはお兄様と約束したプレゼントを二人で選ぶ。その後、花祭りで流す花をお互いに選んで、笹で作った舟に乗せて川に流す。まだ時間があったら公園に少しだけ屋台があるから食べに行こうということになった。すごく楽しそうだわ。話が終わった頃、馬車はおしゃれな雑貨屋さんの前で止まった。
「マルクは意外と可愛らしいデザインが好きだから、雑貨屋にしてみたんだけど。」
「すごく、いいと思うわ。」
私が馬車を降りようとすると、アーサーが先にすっと降りて、手を出してくれた。デートっぽい…。いつもは、お兄様が手を貸してくれて、アーサーは後ろからついて降りて来てたけど、すべての動きがカッコ良すぎて、もう、やばいかもしれない。
「ありがとう。アーサー。」
私は平静を装って、アーサーの手に私の手をのせた。心の中できゃ~ってめちゃくちゃ悶えてしまったのは恥ずかしいからもちろん内緒。
雑貨屋さんの中は想像通り素敵で、どれを選んでもお兄様は喜んでくれそうだけど。
「お兄様は魔道具のことになると食事の時間も寝る時間も忘れてしまうから、時計なんてどうかしら?」
「そうだね、でも腕時計はたぶん魔道具を作る時は外しちゃうんじゃないかな。僕も外すし…。そうすると、マルクは、なくしちゃいそうだよね。」
「百パーセントなくすわね。そうだ、魔道具の道具鞄をいつも持ってるから、鞄に付けるタイプはどうかしら?」
「なるほど、それじゃあ懐中時計にしようか。」
「ええ、いいわね。あとはデザインだけど、お兄様のイメージだと水色とか青よね。」
「「あっこれ!」」
二人で同時に一つの懐中時計を指さした。それは真っ青な海にスカイブルーの空。そこに三頭のイルカが空に向かって跳ねている。イルカの色は紺色よりも暗く、殆ど黒に近い。空と海はお兄様と私、イルカはアーサーの色。三頭の楽しげなイルカは私たち。このイルカとても可愛いし、絶対にお兄様喜んでくれるわ。
無事にお兄様のプレゼントを買って、今は沢山の花で飾られた道を歩きながら私たちは真剣にお互いの花を選んでいるのだけど。
「沢山ありすぎて悩んじゃうわね。」
「本当だね。青色の花がこんなにあるなんて思わなかったよ。」
「私もよ。黒色の花がこんなにあるなんて、黒ユリに、黒バラに、黒チューリップって、もう何でもありね。」
でも、何となく、アーサーのイメージはこれの気がするわ。
「私は決まったけど、アーサーは決まった?」
「うん、僕もやっと決まったよ。」
「じゃあ同時に見せようね。」
「うん、せーの。」
「「わぁ!」」
「青バラ綺麗。」
「黒バラも綺麗だ。」
二人とも他のバラより一回り大きなサイズの花を選んでいた。私にとってアーサーはとても、とても大切で大きな存在だから。アーサーもそう思ってくれているといいけど。たぶん態度が大きいからとかそちらのイメージよね。無事に花を選べたので、橋の下で笹舟を作ることにした。
「マリー、笹で手を切るといけないから僕が作るよ。マリーは花を持っていてね。」
「そうね、私より、アーサーの方が器用だからお願い、だけどアーサーも気を付けてね。」
「あっ。」
気を付けてって言ったのに、アーサーが小指のところを少し切ってしまった。私は思わずアーサーの小指を両手でそっと握った。
「えっ、こんなに光ってる!」
「マリーありがとう。治ったみたいだ。もう全然痛くないから。」
恐る恐る手を離すと、傷は完全になくなっていた。アーサーには、とても早く光魔法が効くね。不思議…。
それからアーサーの作ってくれた笹舟に二人で黒バラと青バラをのせて二人でずっと一緒に居られますようにってお願いしながら流した。
「マリー、大好きだよ。」
アーサーにぎゅっと抱きしめられて大好きって言われちゃった。大好きって。嬉しくて涙が零れてしまった。
「マリー?」
「心配しないで、幸せ過ぎて涙が出ちゃっただけ。私なんて、泣き虫だろうが、ヘタレだろうが、どんなアーサーでも大好きよ。ずっと私のそばにいてね。」
アーサーの顔が、びっくりした顔から何とも言えない笑顔に変わって、あーあ、やっぱり泣いちゃったわ。やっぱり私のアーサーは泣き虫ね。
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