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96.サーシャを捕まえるための作戦を考えます

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「呪いよ。私が約束を破ったらこの呪いの蛇が私の心臓を締め付けて私は死ぬわ。あと三日でサーシャが魔道具を取りに来るの。その時に私が魔道具を渡さなければ呪いが発動するわ。」
「なんて恐ろしい、ブロッサ呪いを解いてあげて。」

「それはだめです。」
「リック様、どうしてですか?」
「呪いは解いたらすぐに術者にばれてしまいます。裏切ったとみなされれば、男爵家の者が殺される可能性があります。解くにしても、サーシャを捕まえてからにしないと…。ですがこの色の呪いの蛇ならそれほど強くはないので、魔道具を渡しさえすれば呪いは自然に解けますけどね。」
流石、魔法学の先生だわ。でも魔道具は渡せないし…。

「そうなんですね。では、どうすれば。」
「そんなの簡単よ。魔道具を作って渡しちゃいなさい。私は大丈夫だから。ついでに居場所が分かる発信機でもつけておいてくれると助かるけど、ルナできる?」
「作れるとは思うけど、三日で作り上げるのは自信がないわ。」
「僕が手伝おうか?」

「マルク様がですか?」
「うん、マリーが学園ではお世話になっていたみたいだね。ありがとう。」
「ありがとうございます。マルク様のお知恵をいただけるなら、大丈夫だと思います。」
「ルナがうらやましいわ。私も一緒にやりたい…。」
「ブロッサは魔道具に詳しくないだろう。時間が無いんだ、邪魔はするなよ。」
「たしかにルドが言う通りね。ルナ、ごめんなさい。頑張って完成させてね。」

「やっぱり、ブロッサは優しいのね。」
「そうよ、ブロッサは、本当に素敵なんだから。」
「だからどうして、マリーが自分のことでもないのに自慢しているのよ。」
「あら、ごめんなさい。嫌だった?」
「別に本当のことだからいいけど、病み上がりのマリーは今回は休んでいなさいよ。」

「ありがとう、ブロッサ。でも手伝いたくても何も出来そうにないわ。」
「そうね。今度は私とルドで十分だからそれでいいのよ。そうでしょルド?」
「ああ、ブロッサのいう通りだ。先程も言ったが、卒業パーティーまでまだ一年以上ある。その間に学生たちを人質にする計画を逆手にとって、結界で囲んで捕まえればいいだろう。なんなら、ルーサ殿に助言をいただくこともできる。発信機があれば、それまでの行動も分かるからどうやって魔力を貯めていたかも分かるだろう。」
わぁ、ルドが以前より、しっかりして見えるわ。

「学園でのことになるので、リック殿にもお手伝いいただくことになります。結界の方はまたマルク殿やアーサー殿に頼むことになると思いますが、皆さんよろしくお願いします。」
「私にも手伝わせてください。」
「もちろんだ、ルナ、よろしく頼むよ。」
「ありがとうございます。」

「あの、国王陛下、一つ質問をしてもいいですか?」
「もちろんだ、マリー嬢。なんでも聞いておくれ。」
「ありがとうございます。ブローサ様もどうやってこんなに早く魔力を貯めているのかが本当に不思議だと言っていたのです。千年でも今回のサーシャの貯め方は早すぎるようなのです。千年前にブローサ様はサーシャの殆どの魔力を吸い取ったそうなのです。魔の森の瘴気を使っても早すぎると言っていました。何かご存じありませんか?」

「これが関係あるのかは分からないが、チェリー男爵家の地下室に瘴気を貯める魔道具を作らせる部屋とは別にもう一つ異様な部屋があったのだ。こちらは宰相の方が詳しいな。ジルド話してやってくれ。」

「かしこまりました。その部屋は異様な魔力と瘴気の塊のような部屋でした。チェリー男爵はその部屋には神しか入ってはいけないと心底恐れており、その部屋に入ったことはないと言っておりました。その部屋には四人の人間が神の水に体をつけられた状態で横たわっており、魔道具のようなものを胸の所に付けられていたそうです。全く食事を与えないのに死なないのだと…。チェリー男爵の仕事は小窓から一日一回瘴気の魔道具を投げ込むことだったそうです。この仕事は神に頼まれ、代々チェリー男爵がやってきたのだと言っております。昼夜問わずその部屋からはうめき声が聞こえたそうです。」

「いまはその四人の方はどうされているのですか?」
「チェリー男爵を捕らえた時はすでに誰もいなかったのです。ですがこの話が真実だとすると、四人の方は、人間ではなく魔族だと思われます。」
「魔族…。」
「そして、神の水と言っていたのはたぶん瘴気の泉でしょう。マリー嬢が眠っていたように、大量の瘴気で深い眠りにつかせながら、もしかすると、サーシャは魔力を吸収しているのかもしれません。」
「なんて恐ろしい…。」

「国王陛下、サーシャに私が頼まれている魔力を貯める魔道具は強力で、無理やり吸収するタイプのものです。それも四つです。その時にサーシャが魔道具が古くて吸収が悪いと言っていたのを聞きました。」
「どうやら当たりのようだな。でもどうして、ルーサ殿でもその場所を感知できなかったのか?」
「これは私の推測ですが、瘴気が強すぎて感知できなくしているか、直接魔力の核から吸収することで、外に魔力が漏れ出ないようにしているのかもしれません。直接魔力の核から魔力を抜かれるのは拷問だと聞きます。相当その方々は苦しんでいるはずです。ですが、サーシャなら平気でやるでしょう。」

私たちは全員何も言えなくなってしまった。しばらくして話し出したのは意外にもレッドだった。
「俺、その場所分かるかも知れません。」
「「「はぁ?」」」レッドって本当に時々びっくりすること言い出すのよね。ある意味天才だわ。

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