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19.ジルド様の思い
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「このようなところで申し訳ありません。」
「いえ、全く構いませんわ。」
「私も構わんよ。」
私たちは王宮の一番小さな食堂で話をすることにしたの。丁度誰もいなかったし、ここは色んな部署から遠いからあまり使われないんですって。
「早速ですが、僕とベラが血の繋がっていないことはご存じですか?」
「はい、最近、カルロス様にお聞きしましたわ。」
「そうですか、そのことをベラはこの間まで知らなかったようなのですが、僕は知っているものと思っていたのです。ベラがお兄様はどのような方と結婚したいかと聞いてくるたびに、僕は可愛くて、優しくて、刺繍が上手なベラのような女性かなって言ってきたんです。だから、僕の気持ちは伝わっていると思って言ったのに、ベラはずっとあなたを思い浮かべて聞いていたようで、勝手に僕の思い人をあなただと思い込み、どうやら僕とあなたをくっつけようと思っていたようなのです。」
「まぁ、そう言うことだったのですか?」
「あなたが、カルロス様が好きだとベラに言った日に、ベラが泣きながら、お兄様がぐずぐずしているからロザリーがカルロス様と結婚しちゃうじゃないと言ってきたのです。私は驚きました。ベラの思い人がカルロス殿だったのかと誤解しまして…。それでも、ロザリー嬢とカルロス殿が結婚するというのも正直寝耳に水で、カルロス殿に失礼を承知で確認したわけです。私はベラのことを妹だと思ったことはありません。ずっと一人の愛おしい女性として見てきましたから。」
「ジルド様、話の途中で申し訳ありませんが、恋愛に疎い私でも分かるのですが、イザベラ様は絶対にジルド様のことが大好きですよ。」
「ありがとうございます。実は僕も図々しい話ですがそう思っていたのでショックだったのです。勝手に両思いだと思っていたのだと思いまして。それで、カルロス様に確認した日に、ベラに僕の気持ちを伝えました。そこで初めて、ベラが僕のことを本当の兄だと思っていたことや、演劇のせいで余計に僕がロザリー嬢のことが好きだと思い込んでいたことを知りました。それから、可愛いって言ったらロザリー嬢でしょうが…紛らわしい…と言っていました。ベラも可愛いと思うのですが…。」
「それはなんといっていいのか、でも、イザベラの刺繍の腕前はすごいではないですか?」
「そうなんですよ。でもどうやら、ロザリー嬢も得意だったのですね。私はそのことを知りませんでしたので、余計に紛らわしいとベラに怒られました。でも今は無事に誤解も解けまして、ロザリー嬢に謝りたいと言っておりました。」
「では、お気持ちは通じたのですか?」
「はい、手芸屋さんの前で会いませんでしたか?」
「ああ、会いました。でもいつもより元気がない感じがしたんですけど、いつものように絡まれなくて安心してしまって、申し訳ありませんでしたわ。」
「実はあの時ベラは、あなたと仲直りするために刺繍の入ったハンカチを贈ろうとして手芸屋さんに行ったのです。そこであなたに会ってしまったものですから、動揺し過ぎてあのような態度になってしまったのです。実は私も馬車の中で見ていたのですが、見ていて少しベラのことが気の毒になりました。次の日カフェで会った時は私たちにとっても初デートの日でした。ロザリー嬢が入ってこられてベラは喜んでおりましたが、私たちを見てロザリー嬢が帰ろうとされたのでつい、いつもの調子で意地悪を言ってしまったと後悔しておりました。」
「そうだったのですね。今日はお話していただいて良かったですわ。私、ずっとイザベラ様のことを誤解いしたままでいるところでしたわ。」
「そう言っていただけると嬉しいです。僕はしばらく帰って来れなくなると思います。ベラのことよろしくお願いします。」
「そんな悲しいこと言わないでください。なんとかして一緒に行くことはできないのですか?」
「ロザリー、それは難しいよ。内戦が終わったばかりの国は危険だからね。」
「そうですか。分かりましたわ。絶対にイザベラのところに帰って来てくださいね。それから伝書鳩で毎日お手紙をイザベラに書いてあげてください。約束ですよ。」
「ロザリー、伝書鳩は国に五羽しかいない貴重な鳩だよ。」
「五羽もいるならいいではありませんか。私が頼んできます。」
私はジルド様たちに止められたけど、想いが通じ合ったばかりの二人が、引き離されるなんて耐えられないから、お父様と国王陛下のところに行ったの。パシュー国で船を沈めた褒美が欲しいとこじつけて、伝書鳩を一羽欲しいと伝えたわ。何に使うのか聞かれたので素直に国王陛下に話したら少し涙ぐみながら
「ロザは本当にマリアに似て優しいね。安心しなさい一羽あげるよ。」
と、私が小さい頃にお母様が呼んでくださった呼び名で優しく言ってくださったわ。私は思わず、
「おじちゃま…。」
って言ってしまったわ。小さい頃は二人っきりの時に、国王陛下は私のことをお母様と同じようにロザって呼んでくださって私はおじちゃまって呼んでいたの。おじちゃま本当にありがとう…。それから天国のお母様、私は幸せですから安心してくださいね。
「いえ、全く構いませんわ。」
「私も構わんよ。」
私たちは王宮の一番小さな食堂で話をすることにしたの。丁度誰もいなかったし、ここは色んな部署から遠いからあまり使われないんですって。
「早速ですが、僕とベラが血の繋がっていないことはご存じですか?」
「はい、最近、カルロス様にお聞きしましたわ。」
「そうですか、そのことをベラはこの間まで知らなかったようなのですが、僕は知っているものと思っていたのです。ベラがお兄様はどのような方と結婚したいかと聞いてくるたびに、僕は可愛くて、優しくて、刺繍が上手なベラのような女性かなって言ってきたんです。だから、僕の気持ちは伝わっていると思って言ったのに、ベラはずっとあなたを思い浮かべて聞いていたようで、勝手に僕の思い人をあなただと思い込み、どうやら僕とあなたをくっつけようと思っていたようなのです。」
「まぁ、そう言うことだったのですか?」
「あなたが、カルロス様が好きだとベラに言った日に、ベラが泣きながら、お兄様がぐずぐずしているからロザリーがカルロス様と結婚しちゃうじゃないと言ってきたのです。私は驚きました。ベラの思い人がカルロス殿だったのかと誤解しまして…。それでも、ロザリー嬢とカルロス殿が結婚するというのも正直寝耳に水で、カルロス殿に失礼を承知で確認したわけです。私はベラのことを妹だと思ったことはありません。ずっと一人の愛おしい女性として見てきましたから。」
「ジルド様、話の途中で申し訳ありませんが、恋愛に疎い私でも分かるのですが、イザベラ様は絶対にジルド様のことが大好きですよ。」
「ありがとうございます。実は僕も図々しい話ですがそう思っていたのでショックだったのです。勝手に両思いだと思っていたのだと思いまして。それで、カルロス様に確認した日に、ベラに僕の気持ちを伝えました。そこで初めて、ベラが僕のことを本当の兄だと思っていたことや、演劇のせいで余計に僕がロザリー嬢のことが好きだと思い込んでいたことを知りました。それから、可愛いって言ったらロザリー嬢でしょうが…紛らわしい…と言っていました。ベラも可愛いと思うのですが…。」
「それはなんといっていいのか、でも、イザベラの刺繍の腕前はすごいではないですか?」
「そうなんですよ。でもどうやら、ロザリー嬢も得意だったのですね。私はそのことを知りませんでしたので、余計に紛らわしいとベラに怒られました。でも今は無事に誤解も解けまして、ロザリー嬢に謝りたいと言っておりました。」
「では、お気持ちは通じたのですか?」
「はい、手芸屋さんの前で会いませんでしたか?」
「ああ、会いました。でもいつもより元気がない感じがしたんですけど、いつものように絡まれなくて安心してしまって、申し訳ありませんでしたわ。」
「実はあの時ベラは、あなたと仲直りするために刺繍の入ったハンカチを贈ろうとして手芸屋さんに行ったのです。そこであなたに会ってしまったものですから、動揺し過ぎてあのような態度になってしまったのです。実は私も馬車の中で見ていたのですが、見ていて少しベラのことが気の毒になりました。次の日カフェで会った時は私たちにとっても初デートの日でした。ロザリー嬢が入ってこられてベラは喜んでおりましたが、私たちを見てロザリー嬢が帰ろうとされたのでつい、いつもの調子で意地悪を言ってしまったと後悔しておりました。」
「そうだったのですね。今日はお話していただいて良かったですわ。私、ずっとイザベラ様のことを誤解いしたままでいるところでしたわ。」
「そう言っていただけると嬉しいです。僕はしばらく帰って来れなくなると思います。ベラのことよろしくお願いします。」
「そんな悲しいこと言わないでください。なんとかして一緒に行くことはできないのですか?」
「ロザリー、それは難しいよ。内戦が終わったばかりの国は危険だからね。」
「そうですか。分かりましたわ。絶対にイザベラのところに帰って来てくださいね。それから伝書鳩で毎日お手紙をイザベラに書いてあげてください。約束ですよ。」
「ロザリー、伝書鳩は国に五羽しかいない貴重な鳩だよ。」
「五羽もいるならいいではありませんか。私が頼んできます。」
私はジルド様たちに止められたけど、想いが通じ合ったばかりの二人が、引き離されるなんて耐えられないから、お父様と国王陛下のところに行ったの。パシュー国で船を沈めた褒美が欲しいとこじつけて、伝書鳩を一羽欲しいと伝えたわ。何に使うのか聞かれたので素直に国王陛下に話したら少し涙ぐみながら
「ロザは本当にマリアに似て優しいね。安心しなさい一羽あげるよ。」
と、私が小さい頃にお母様が呼んでくださった呼び名で優しく言ってくださったわ。私は思わず、
「おじちゃま…。」
って言ってしまったわ。小さい頃は二人っきりの時に、国王陛下は私のことをお母様と同じようにロザって呼んでくださって私はおじちゃまって呼んでいたの。おじちゃま本当にありがとう…。それから天国のお母様、私は幸せですから安心してくださいね。
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