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番外編 2

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「まぁ、なんて可愛らしいのかしら!カール様見てください。私たちそっくりな双子の赤ちゃんですわ。」
「双子?!ロザリー、よく頑張ってくれた。初産なのに、つらかっただろう…。本当にありがとう。」
 あらあら、カール様が涙を流されているわ。こんなにも心配していただいて私は幸せ者だわ。
「カール様、大丈夫ですよ。初夜の方がもっと痛かったですから。」
 あら?なぜかしら?とても微妙な空気になってしまったわ?エマが咳払いをして、
「お嬢様、これからは嫌だと言っても奥様とお呼びしますよ。」
「そうよね…。この可愛らしい女の子にお嬢様の呼び名はあげないとね。こんなにも可愛らしいんですもの。こちらの男の子なんて、カール様にそっくり、将来が楽しみだわ。」
「私は、将来この子に恨まれないか心配だ…。」
「なにを仰っているのですか?そんなことあるわけありませんわ、二人共たぶんモテモテですわ。」

 双子の赤ちゃんの名前は、ローラちゃんとルイスくんに決まりましたの。カール様は想像以上の子煩悩で、持ち前の女子力?の高さもあって、双子のローラちゃんとルイスくんが三歳になる頃には、お菓子を作ってあげたり、花冠を作ってあげたり、それはそれは優しいパパさんになってくれましたわ。私が作ったカール様しか使えない、双子用抱っこひもも、バッチリ使いこなしてくれていますわ。

 ルイスくんは眠っていればカール様にそっくりなのですけど、目もとが私に似てしまい、残念ながらカール様の切れ長ではなくてウルウルした大きな瞳でしたの。これがまた優しい感じで…同い年の子よりもかなり大きな体格なのですが、なんとなくクマのぬいぐるみ?みたいで、可愛くって、女の子にも大人気ですわ。だってちっとも怖くないのですもの。

 ローラちゃんはとにかく天使のように可愛らしいのに、なぜか木刀を振り回して、騎士団の訓練場に入りびたるような筋肉好きになってしまいましたわ。まだ三歳なのに筋肉を見てうっとりしている顔は、絶対におばあ様似だと思いますの。騎士団の皆さまにとっては、良い刺激になっているとか?それから、エマとガゼルの子供も生まれまして、これがまた可愛らしい女の子で名前はアンちゃん、ローラちゃんとルイスくんとも仲良しですわ。

 お父様は相変わらずお仕事が忙しそうでございます。この国の宰相様ですもの仕方ありませんわね。早くジルド様に宰相を変わって欲しいと毎日のように仰っておられます。孫の世話をして過ごしたいそうですわ。そうそう、ジルド様とイザベラですけれど、無事にジルド様が帰ってみえて、結婚式も終えましたが、その熱々ぶりに私は真っ赤になってしまいましたわ。結婚式の誓いの言葉では、神父様の言葉に、誓いますというだけのはずですが…ジルド様ったら、
「誓うに決まっています、神父様。私は神様にお願いしたいのです。イザベラを私だけのものにしてください。出来れば、私とイザベラを一つにしてください!お願いします。」
 神父様も困り果てて、イザベラが、ジルド様をお叱りになるという、前代未聞の結婚式が始まり、そのあとの誓いのキスでは、これまた、長い長い濃厚な大人のキスを見せていただきましたわ。私は恥ずかしくて、顔を隠しておりましたが、見たい気持ちが勝ちまして…、指の隙間から見ておりました。するとカール様が、我慢できんとおっしゃられまして…、私までカール様に濃厚なキスをいただきましたわ。

 こんな感じで私も、カール様には毎日溺愛していただいております。ただちょっと困ったことがありまして…。あまりにもカール様が子煩悩で、双子の三歳児に振り回される姿を皆さまに見せていた結果といいましょうか、皆様の中のカール様に対する恐怖心?がなくなってしまったようなのです。最近では目じりの笑いじわまで出てきて、鋭い眼差しはどこへやら、はっきり言ってご令嬢たちから、もの凄い人気が出てしまいましたの。私の心の中は、大嵐でございますわ。近衛騎士団の騎士団長の妻として平気なふりはしておりますが、本当は心配で心配で仕方がありませんの。べつにカール様が浮気するとかは思っていないのですよ。でも私より若い方や妖艶なマダムに声を掛けられていたと聞くと、カール様が誰かに取られてしまわないかと不安になってしまい、ついつい、カール様に見張りをつけてしまいましたの。馬鹿でございましょう…。近衛騎士団の騎士団長のカール様にバレないわけがないのに…。

 なんとカール様は見張りの方を一週間もわざと放置して何を探っているのか的確に把握してから、あきれた顔で私に問いかけられましたわ。
「ロザリー、あなたが心配するようなことは決してないと誓えるのだが、どうすれば信じてもらえるのだろうか?」
「カール様、ごめんなさい。カール様が浮気するとは思っていないのです。ただ、私のカール様に触られたくないですし、取られたくなくて、心が狭くなっておりましたの。」
「ロザリーは、どうしていつまで経っても、そんなに可愛らしいんだ…。私に、良い提案があるんだが…。」
 その夜から私は、素敵な提案を受け入れましたの。ご令嬢がカール様に触った場所に、念入りにキスを落とすという提案。そして、カール様からも、お礼?と言われて、カール様はお口も大きいので、パクリ、パクリと食べられるような、キス?…を、全身に…いただいております。



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