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友人の奥様
「【クラン】を立ち上げたい?」
そう言って俺に意外そうな目を向けてきたのは、友人のオズだ。
俺は今、オズの家を訪れ、彼にクラン立ち上げのための相談をしているところである。
ちなみに、アイリは昨日できなかった家事をやっておきたいということで、ここにはいない。
「ああ。だが【クラン】を立ち上げるには、俺だけじゃどうしようもなくてくな。お前の力を借りたいんだ」
【クラン】を立ち上げる為の条件に、成人を迎え、己の【天賦】を知ってから5年以上経つ者が、最低でも三名いること、というものがある。
成人したばかりの者たちは、まだ自分の【天賦】に慣れていないことや、まだまだ精神的に未熟な部分が多い。
ある程度年齢を重ね、自分の力を把握している者がいなければ、【クラン】を作ることができないようになっているのだ。
そして、この条件をどうにかクリアするために、俺はオズに相談を持ちかけているわけである。
俺もこの村に住み始めて15年以上になるが、あまり他者との付き合いはいい方ではない。
それに比べて、オズは友好関係が非常に広く、村の中での信頼も厚い。
それ故に、誰か良い人物を紹介してもらえないかと思ったのだが。
「今まで通り、この村にある【クラン】に仮登録しておくんじゃダメなのか?」
俺とオズは、この村唯一の【クラン】――【ソル】に正式メンバーとしてではなく、仮登録という形で、仕事を回して貰っている。
この【クラン】は基本的に、村の近くで出現したモンスターや害獣の駆除を専門としており、時おり、村で困ったことがあれば、出来る限り対処するという形で運営している。
完全な地域密着型の【クラン】というヤツだ。
ただ……
「それだとクエストを自分で選べない。できれば俺は、今後は自分で仕事を選んでいきたいんだ」
「それって、やっぱアイリちゃんのためか?」
「ああ……」
アイリを面倒な外部からの干渉より遠ざけるためには、現状【クラン】を立ち上げて、クエストで各地を転転とすること意外に思いつかない。
仕事をしつつ、自分達の居場所を極力絞らせない。
そうすることで、アイリを外から接触してくる輩から、当面の間は遠ざけることができる。
時間稼ぎでしかないことは十分に承知しているが、それでも、行動をしないわけにはいかないだろう。
村の【クラン】は、外からのクエストを請けることはまずないが、今後はどうなるか分からない。
アイリと接触するために、この【クラン】が利用されないとも限らないのだ。
「俺だけでは【クラン】を立ち上げることができない。そこで、【クラン】を立ち上げるに当たって、誰か信用できる者がいないか探していてな。お前に相談させてもらったわけだ。どうだ? 誰か心当たりとかいないか?」
「つってもなぁ……俺達と【クラン】を組むなら、多分『討伐系』のクエストを請けるクランになるだろ? となると、戦闘系の【天賦】か……もしくは、裏方で事務系の能力がある奴になる……それでいて既存の【クラン】に入ってない、ってなると、かなり厳しいな……」
「そうか。やはり難しいか…………うん? おい待て。お前、今……『俺達と【クラン】を組む』って、言ったか?」
「そうだが? なんだぁ、俺は仲間外れか? 新しい【クラン】の立ち上げなんて面白い話、俺が乗らないわけないだろう?」
さも当然と言わんばかりに、俺の【クラン】立ち上げのメンバーとして名乗り出てくるオズ。
「お前、リゼさんと相談しなくていいのか?」
「大丈夫だよ。というか、アイツはむしろノリノリで参加しに来そうな気がするぞ、俺は」
「ああ……確かに」
あの人、かなり自由な性格してるからなぁ……
リゼさんは、オズの妻で、レオの母親だ。
年は俺より少し上……だが、見た目がかなり若いのだ。
それでいて、オズには勿体ないくらいのべっぴんである。
彼女はよく家を空けることが多い。
今も、彼女は町に出稼ぎに出ている。
ちなみに、夫の収入よりも、彼女の収入の方が多い……
このことを突っ込むと、オズがしょげるので話題にはしないが。
そして、アイリにとっては、母親代わりのような存在だ。
まだ娘が赤ん坊だった頃は、リゼさんからお乳を貰っていた。
彼女いわく――「一人にあげるのも二人にあげるのもかわらないよ、あはははっ」だそうだ。
中々豪快な性格をしている人物である。
それからも、アイリのことで色々と相談させてもらった経緯があり、俺は彼女に頭が上がらないのだ。
それにアイリも、リゼさんのことをかなり慕っている。
娘も、よく相談事を持ちかけているらしい。
親娘揃って、彼女には助けられてばかりだ。
いつか、この恩を返せる日が来ればいいのだが……
「そういえば、リズさんが帰ってくるのはいつになるんだ?」
「多分今日にも帰ってくると思うぜ? 昨日の夜には町から出るって話してたし、そろそろ帰ってくると……」
バン!
「たっだいま~~!」
「噂をすれば、だな。おかえり『リゼ』」
「ただいま、オー君♪」
オズと一緒に家の入り口に首を動かず。
するとそこには、赤髪を肩甲骨辺りまで伸ばし、深緑の瞳を持った女性が、満面の笑みを浮かべて扉に手を掛けている。
彼女は背中に大きなケースを背負っており、それには様々な『調理道具』がぶら下がっていた。
「その愛称だと。俺がオークみたいに聞こえるからやめてくれ」
「ええ~、オー君はオー君じゃない。前からこの呼び方なのに、今さら変えるのもなぁ」
「俺は前からその呼び方を変えてくれとお願いしているんだが?」
「そうだっけ? まぁいいじゃないの! 細かいことは!」
あははははっ! と笑う彼女の見た目は、どう見積もっても二十代前半だ。
子供を産んだとは思えないほど若々しく、スタイルも抜群。
性格はご覧お通り、かなり大雑把……いや、おおらかだ。
しかし、それでいてよく気が付く女性で、かなり鋭い観察眼を持っていたりもするのだから、侮れない人である。
「お邪魔してます、リゼさん。お久しぶりですね」
「あ、ユー君だ! 久しぶりだねぇ! アイリちゃんは? 元気にしてる?」
「ええ、おかげさまで。先日、レオと一緒に、無事に成人になりましたよ」
「そっかそっか。アイリちゃんももうそんな歳なのね。時の流れは早いわねぇ……あ、それでレオはどこ?」
リゼさんは首を巡らせ、自分の息子を探す。
しかし、彼はここにはいない。
「レオなら、今は森に出てるぞ。昨日わかった自分の【天賦】を試してみる、って言って出かけたよ」
「え? そうなの? せっかく久しぶりの息子とのふれあいを楽しみにしてたのにぃ……お風呂にも一緒に入ろうと思ってたのになぁ……」
「それはやめてあげろ」
「ええ~、なんで~っ?」
「あいつの歳を考えろ、歳を。さすがに成人してまで母親と一緒に風呂入るかってんだよ」
「む~……」
頬を膨らませて唸るリゼさん。
彼女は息子にべたったりで、かなり濃密なスキンシップを取っているらしい。
普段家を空けがちなため、それがより顕著に出るのだろう。
それにしても、風呂、か……
俺は昨日のアイリとの出来事を思い出し、思わず顔が熱くなる。
あの後、目を覚ました俺に、「今日はお父さんの調子が悪いみたいだから、背中を流してあげるのは、また今度ね」などと言っていた。
俺はその言葉に、気分が盛大に重たくなるのを自覚したのだった。
いくら娘であっても、あの歳の子と一緒に風呂とか……うん、いいな、じゃなくて! ダメだろ! 色々と!
「はぁ~、息子が成人したのは嬉しいけど、なんだかどんどん離れて行っちゃうみたいで、ワタシ寂しい……」
「息子なんてそんなもんだろ。いずれはこの家を巣立っていくんだ。お前も、いい加減子離れすることを覚えろ。いいな」
「……(ぷい)」
と、リゼさんは顔をオズから顔を逸らして、ちょっといじけた感じなってしまった。
「はぁ~、お前は本当に……」
「だって」
ぷ~、とむつけるリゼさん。
年甲斐もない仕草であるが、彼女がやると愛嬌がある。
「まぁ、今はいいさ。そのうちな」
「うん……あ、そういえばさ、あの子の【天賦】って、なんだったの?」
と、不意に思い出しように話題が変わった。
すると、オズはちょっと得意そうな感じで胸を張った。
「おう! そうそう聞いてくれよ! あいつさ、なんと【テイマー】だったんだよ!」
「うん? 【テイマー】ってそこまで珍しくもないじゃない」
「違う違う! 確かに【テイマー】は珍しくないが、あいつのは、そんじょそこいらの【テイマー】じゃない! 何か特定の生物を操れるんじゃなくて、ネズミから、果ては竜族《ドラゴン》まで使役できる【上級天賦】だったんだよ!」
「…………」
オズは興奮したように説明するのだが、それにリゼさんは目をぱちくりさせるだけだった。
しかし、頬に手を添えて考えごとをする仕草を見せ、首を捻る。
そして、数秒間沈黙したかと思うと……
「えええええええええ――――っっ?!!!」
時間差で大きな絶叫を上げた。
「う、うちの子が、【上級天賦】?! 本当に、本当なの?!」
「ああ、間違いない! あいつは将来、大物になるぞ!」
「うわ~! それは、今日は盛大にお祝いしないと! ああ、レオが【天賦】を読み上げられる場面に立ち会えなかったのが悔しいわ~! これなら仕事なんか請けるんじゃなかったわ!」
「いや、お前それはまずいだろ……」
「だって~!」
本気で悔しがるリゼさん。
そんな彼女の気持ちを、俺は理解できる気がした。
「はは、お気持ちは分かりますよ。子供の晴れ舞台に立ち会えないというのは、親としては悔しいでしょうから」
「そう! その通りよ! ユー君は分かってるわねぇ~、頭撫でてあげる」
「「え?!」」
「よしよし」
すると、本当に俺の頭をリゼさんは撫でてきた。
瞬間、
――殺気?!
「お前、人の奥さんになにしてくれてんだコラ」
「落ち着けオズ。俺はむしろ、されている側だ」
こいつは、こんな感じでも奥さん超絶ラブなのだ。
「あら~……もしかして、やきもち? それなら、オー君も撫で撫でしてあげよっか?」
「うぇ?!」
「よ~しよ~し」
言うが早いか、オズの頭も撫で撫でし始めるリズさん。
オズは顔を真っ赤に染めて、しかし、されるがままに、頭を撫でられている。
この二人は、子供ができても仲が良く、まさしくおじどり夫婦なのであった。
そう言って俺に意外そうな目を向けてきたのは、友人のオズだ。
俺は今、オズの家を訪れ、彼にクラン立ち上げのための相談をしているところである。
ちなみに、アイリは昨日できなかった家事をやっておきたいということで、ここにはいない。
「ああ。だが【クラン】を立ち上げるには、俺だけじゃどうしようもなくてくな。お前の力を借りたいんだ」
【クラン】を立ち上げる為の条件に、成人を迎え、己の【天賦】を知ってから5年以上経つ者が、最低でも三名いること、というものがある。
成人したばかりの者たちは、まだ自分の【天賦】に慣れていないことや、まだまだ精神的に未熟な部分が多い。
ある程度年齢を重ね、自分の力を把握している者がいなければ、【クラン】を作ることができないようになっているのだ。
そして、この条件をどうにかクリアするために、俺はオズに相談を持ちかけているわけである。
俺もこの村に住み始めて15年以上になるが、あまり他者との付き合いはいい方ではない。
それに比べて、オズは友好関係が非常に広く、村の中での信頼も厚い。
それ故に、誰か良い人物を紹介してもらえないかと思ったのだが。
「今まで通り、この村にある【クラン】に仮登録しておくんじゃダメなのか?」
俺とオズは、この村唯一の【クラン】――【ソル】に正式メンバーとしてではなく、仮登録という形で、仕事を回して貰っている。
この【クラン】は基本的に、村の近くで出現したモンスターや害獣の駆除を専門としており、時おり、村で困ったことがあれば、出来る限り対処するという形で運営している。
完全な地域密着型の【クラン】というヤツだ。
ただ……
「それだとクエストを自分で選べない。できれば俺は、今後は自分で仕事を選んでいきたいんだ」
「それって、やっぱアイリちゃんのためか?」
「ああ……」
アイリを面倒な外部からの干渉より遠ざけるためには、現状【クラン】を立ち上げて、クエストで各地を転転とすること意外に思いつかない。
仕事をしつつ、自分達の居場所を極力絞らせない。
そうすることで、アイリを外から接触してくる輩から、当面の間は遠ざけることができる。
時間稼ぎでしかないことは十分に承知しているが、それでも、行動をしないわけにはいかないだろう。
村の【クラン】は、外からのクエストを請けることはまずないが、今後はどうなるか分からない。
アイリと接触するために、この【クラン】が利用されないとも限らないのだ。
「俺だけでは【クラン】を立ち上げることができない。そこで、【クラン】を立ち上げるに当たって、誰か信用できる者がいないか探していてな。お前に相談させてもらったわけだ。どうだ? 誰か心当たりとかいないか?」
「つってもなぁ……俺達と【クラン】を組むなら、多分『討伐系』のクエストを請けるクランになるだろ? となると、戦闘系の【天賦】か……もしくは、裏方で事務系の能力がある奴になる……それでいて既存の【クラン】に入ってない、ってなると、かなり厳しいな……」
「そうか。やはり難しいか…………うん? おい待て。お前、今……『俺達と【クラン】を組む』って、言ったか?」
「そうだが? なんだぁ、俺は仲間外れか? 新しい【クラン】の立ち上げなんて面白い話、俺が乗らないわけないだろう?」
さも当然と言わんばかりに、俺の【クラン】立ち上げのメンバーとして名乗り出てくるオズ。
「お前、リゼさんと相談しなくていいのか?」
「大丈夫だよ。というか、アイツはむしろノリノリで参加しに来そうな気がするぞ、俺は」
「ああ……確かに」
あの人、かなり自由な性格してるからなぁ……
リゼさんは、オズの妻で、レオの母親だ。
年は俺より少し上……だが、見た目がかなり若いのだ。
それでいて、オズには勿体ないくらいのべっぴんである。
彼女はよく家を空けることが多い。
今も、彼女は町に出稼ぎに出ている。
ちなみに、夫の収入よりも、彼女の収入の方が多い……
このことを突っ込むと、オズがしょげるので話題にはしないが。
そして、アイリにとっては、母親代わりのような存在だ。
まだ娘が赤ん坊だった頃は、リゼさんからお乳を貰っていた。
彼女いわく――「一人にあげるのも二人にあげるのもかわらないよ、あはははっ」だそうだ。
中々豪快な性格をしている人物である。
それからも、アイリのことで色々と相談させてもらった経緯があり、俺は彼女に頭が上がらないのだ。
それにアイリも、リゼさんのことをかなり慕っている。
娘も、よく相談事を持ちかけているらしい。
親娘揃って、彼女には助けられてばかりだ。
いつか、この恩を返せる日が来ればいいのだが……
「そういえば、リズさんが帰ってくるのはいつになるんだ?」
「多分今日にも帰ってくると思うぜ? 昨日の夜には町から出るって話してたし、そろそろ帰ってくると……」
バン!
「たっだいま~~!」
「噂をすれば、だな。おかえり『リゼ』」
「ただいま、オー君♪」
オズと一緒に家の入り口に首を動かず。
するとそこには、赤髪を肩甲骨辺りまで伸ばし、深緑の瞳を持った女性が、満面の笑みを浮かべて扉に手を掛けている。
彼女は背中に大きなケースを背負っており、それには様々な『調理道具』がぶら下がっていた。
「その愛称だと。俺がオークみたいに聞こえるからやめてくれ」
「ええ~、オー君はオー君じゃない。前からこの呼び方なのに、今さら変えるのもなぁ」
「俺は前からその呼び方を変えてくれとお願いしているんだが?」
「そうだっけ? まぁいいじゃないの! 細かいことは!」
あははははっ! と笑う彼女の見た目は、どう見積もっても二十代前半だ。
子供を産んだとは思えないほど若々しく、スタイルも抜群。
性格はご覧お通り、かなり大雑把……いや、おおらかだ。
しかし、それでいてよく気が付く女性で、かなり鋭い観察眼を持っていたりもするのだから、侮れない人である。
「お邪魔してます、リゼさん。お久しぶりですね」
「あ、ユー君だ! 久しぶりだねぇ! アイリちゃんは? 元気にしてる?」
「ええ、おかげさまで。先日、レオと一緒に、無事に成人になりましたよ」
「そっかそっか。アイリちゃんももうそんな歳なのね。時の流れは早いわねぇ……あ、それでレオはどこ?」
リゼさんは首を巡らせ、自分の息子を探す。
しかし、彼はここにはいない。
「レオなら、今は森に出てるぞ。昨日わかった自分の【天賦】を試してみる、って言って出かけたよ」
「え? そうなの? せっかく久しぶりの息子とのふれあいを楽しみにしてたのにぃ……お風呂にも一緒に入ろうと思ってたのになぁ……」
「それはやめてあげろ」
「ええ~、なんで~っ?」
「あいつの歳を考えろ、歳を。さすがに成人してまで母親と一緒に風呂入るかってんだよ」
「む~……」
頬を膨らませて唸るリゼさん。
彼女は息子にべたったりで、かなり濃密なスキンシップを取っているらしい。
普段家を空けがちなため、それがより顕著に出るのだろう。
それにしても、風呂、か……
俺は昨日のアイリとの出来事を思い出し、思わず顔が熱くなる。
あの後、目を覚ました俺に、「今日はお父さんの調子が悪いみたいだから、背中を流してあげるのは、また今度ね」などと言っていた。
俺はその言葉に、気分が盛大に重たくなるのを自覚したのだった。
いくら娘であっても、あの歳の子と一緒に風呂とか……うん、いいな、じゃなくて! ダメだろ! 色々と!
「はぁ~、息子が成人したのは嬉しいけど、なんだかどんどん離れて行っちゃうみたいで、ワタシ寂しい……」
「息子なんてそんなもんだろ。いずれはこの家を巣立っていくんだ。お前も、いい加減子離れすることを覚えろ。いいな」
「……(ぷい)」
と、リゼさんは顔をオズから顔を逸らして、ちょっといじけた感じなってしまった。
「はぁ~、お前は本当に……」
「だって」
ぷ~、とむつけるリゼさん。
年甲斐もない仕草であるが、彼女がやると愛嬌がある。
「まぁ、今はいいさ。そのうちな」
「うん……あ、そういえばさ、あの子の【天賦】って、なんだったの?」
と、不意に思い出しように話題が変わった。
すると、オズはちょっと得意そうな感じで胸を張った。
「おう! そうそう聞いてくれよ! あいつさ、なんと【テイマー】だったんだよ!」
「うん? 【テイマー】ってそこまで珍しくもないじゃない」
「違う違う! 確かに【テイマー】は珍しくないが、あいつのは、そんじょそこいらの【テイマー】じゃない! 何か特定の生物を操れるんじゃなくて、ネズミから、果ては竜族《ドラゴン》まで使役できる【上級天賦】だったんだよ!」
「…………」
オズは興奮したように説明するのだが、それにリゼさんは目をぱちくりさせるだけだった。
しかし、頬に手を添えて考えごとをする仕草を見せ、首を捻る。
そして、数秒間沈黙したかと思うと……
「えええええええええ――――っっ?!!!」
時間差で大きな絶叫を上げた。
「う、うちの子が、【上級天賦】?! 本当に、本当なの?!」
「ああ、間違いない! あいつは将来、大物になるぞ!」
「うわ~! それは、今日は盛大にお祝いしないと! ああ、レオが【天賦】を読み上げられる場面に立ち会えなかったのが悔しいわ~! これなら仕事なんか請けるんじゃなかったわ!」
「いや、お前それはまずいだろ……」
「だって~!」
本気で悔しがるリゼさん。
そんな彼女の気持ちを、俺は理解できる気がした。
「はは、お気持ちは分かりますよ。子供の晴れ舞台に立ち会えないというのは、親としては悔しいでしょうから」
「そう! その通りよ! ユー君は分かってるわねぇ~、頭撫でてあげる」
「「え?!」」
「よしよし」
すると、本当に俺の頭をリゼさんは撫でてきた。
瞬間、
――殺気?!
「お前、人の奥さんになにしてくれてんだコラ」
「落ち着けオズ。俺はむしろ、されている側だ」
こいつは、こんな感じでも奥さん超絶ラブなのだ。
「あら~……もしかして、やきもち? それなら、オー君も撫で撫でしてあげよっか?」
「うぇ?!」
「よ~しよ~し」
言うが早いか、オズの頭も撫で撫でし始めるリズさん。
オズは顔を真っ赤に染めて、しかし、されるがままに、頭を撫でられている。
この二人は、子供ができても仲が良く、まさしくおじどり夫婦なのであった。
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