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はじまりの夏
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「遅い!」
お昼すぎ、農場に砂だらけで辿り着いた僕を開口一番で迎えてくれたのはグロウだった。
まあ納品に行っただけなのにこんなにもかかるだなんて確かに遅いし、腹も立つことだろう。
というか多分、この場合……。
「腹が減った!」
だと思ったよ。
そう思って昼食にと貝殻を渡すついでに寄った雑貨屋でいくつか食料品を買ってきた。
野菜で腹を満たすのも悪くはないけれども、今日の昼食はとれたてカンバをふんだんに使ったツナサンドにする予定だ。
「ごめんね。ちょっとアクシデントにあって」
「アクシデントって言うと、キョウのやつだな? 砂だらけってところでなんとなく想像はつくぜ」
「キョウちゃんとも知り合いなんだ?」
「キョウともっていうか、町中のみんなと知り合いだな。仕事柄色んな人と付き合うことがったもんだから」
「ああ、なるほどねぇ」
さくさくとそんな会話をこなしながらサンドイッチを作り上げると、そのままグロウに渡す。
「今日、午前中はありがとね。助かったよ」
「おう。おかげでもう岩は全部片付いたぜ。あとは耕して牧草の種を蒔くだけだな」
「え!? もうそんなに進んだの!?」
「俺の腕にかかればこのくらい容易いな。だから午後はお前は種を買いに行ってこい。俺は軽く厩舎の方を直しておくから。その後にふたりで耕せば、今日中には牧草地の準備完了だぜ?」
「嘘だ……。絶対にまだまだかかると思ってたのに……」
「俺は勝てない賭けはしないもんでな。さて、腹も膨れたし作業再開と行くか!……ところでお前、牧草の種売ってる店なんて知り合いいるのか?」
「うーん……とりあえずカノンさんところに行って聞いて見るよ。戻るのが遅くなったらごめん」
「おー。まあ厩舎の方は任せとけ。さっき見てきたけど、雨漏りと道具を磨くくらいでどうにかなりそうだったからな」
「了解。頼んだよ」
そうして午後の予定が決まった僕たちは別行動で、僕はカノン農場へとやってきた。
「す、すみませんー」
「あら、ノルズちゃんじゃないかい! どうだったい? 目的の人には会えたのかい?」
「あ、はい。オードちゃんでした」
「あはは、やっぱりあの子だったのかい。で、今日はどうしたんだい? また人探しかい?」
「あ、いや……。今日は牧草の種を探してまして……」
「牧草?」
「幼馴染? と再会して、その子が厩舎を直してくれたんです。牧草地になりそうなところも手入れしていて……なので、牧草の種を売ってそうなところって知ってますか?」
「そうかい……。じゃあノルズちゃんのところは牧場を始めるんだね。じゃあこれを持っておいき。うちの旦那がまだ元気だった頃にウチも牧場をしていてね。その時のあまりだけれども、まだ芽は出ると思うよ」
「え、その料金は……」
「もう捨てちまうものだったんだよ、だからいらないいらない! あ、けれどひとつお願いがあってね……」
「お願い、ですか?」
「子馬が一匹、実はまだうちにいてね。どこにも引き取り手がなくて困ってたんだ。荷物持ちにも移動にも使えると思うから、どうか引き取ってやってくれないか?」
「馬、ですか……」
「今日引き取ってくれるなら、当面の飼い葉とブラシをセットであげるよ。あの子も私だけじゃ見きれなくて、可哀想な思いをさせてるからね」
「今日!?」
「そう。どうだい?」
きゅ、厩舎の方はどうにかなるって言ってたしどうにかなるかな?
でも僕もいないことだってあるし……あ、でもチーかまがいるから寂しくないのかな?
「い、犬が一緒でも寂しくないもんですかね?」
「人がいるのが一番とは思うけれども、まあ今の一人っきりの状態よりは良いんじゃないかい? というか、てことはノルズちゃんも色々と出かけることが増えたんだね。おばさん、ちょっと嬉しいよ」
そう言ってアッハッハッと肩をバンバンと叩かれて、少し痛かったけれども、ここでも心配をかけていたんだなって少し申し訳ない気持ちになった。
勝手だけれども、カノンさんはこっちでも母さんみたいな人だから……。
そして今、その人が困ってる。
だったら僕は、僕は……!
「ひ、引き取ります!」
これからどんどん大変になっていくだろうけれども、それでも牧場を始めるなら頑張りたくて。
色んな人に背を押されて始めた、成り行きだったかもしれないけれどもそれでも頑張ろうと思うから。
お昼すぎ、農場に砂だらけで辿り着いた僕を開口一番で迎えてくれたのはグロウだった。
まあ納品に行っただけなのにこんなにもかかるだなんて確かに遅いし、腹も立つことだろう。
というか多分、この場合……。
「腹が減った!」
だと思ったよ。
そう思って昼食にと貝殻を渡すついでに寄った雑貨屋でいくつか食料品を買ってきた。
野菜で腹を満たすのも悪くはないけれども、今日の昼食はとれたてカンバをふんだんに使ったツナサンドにする予定だ。
「ごめんね。ちょっとアクシデントにあって」
「アクシデントって言うと、キョウのやつだな? 砂だらけってところでなんとなく想像はつくぜ」
「キョウちゃんとも知り合いなんだ?」
「キョウともっていうか、町中のみんなと知り合いだな。仕事柄色んな人と付き合うことがったもんだから」
「ああ、なるほどねぇ」
さくさくとそんな会話をこなしながらサンドイッチを作り上げると、そのままグロウに渡す。
「今日、午前中はありがとね。助かったよ」
「おう。おかげでもう岩は全部片付いたぜ。あとは耕して牧草の種を蒔くだけだな」
「え!? もうそんなに進んだの!?」
「俺の腕にかかればこのくらい容易いな。だから午後はお前は種を買いに行ってこい。俺は軽く厩舎の方を直しておくから。その後にふたりで耕せば、今日中には牧草地の準備完了だぜ?」
「嘘だ……。絶対にまだまだかかると思ってたのに……」
「俺は勝てない賭けはしないもんでな。さて、腹も膨れたし作業再開と行くか!……ところでお前、牧草の種売ってる店なんて知り合いいるのか?」
「うーん……とりあえずカノンさんところに行って聞いて見るよ。戻るのが遅くなったらごめん」
「おー。まあ厩舎の方は任せとけ。さっき見てきたけど、雨漏りと道具を磨くくらいでどうにかなりそうだったからな」
「了解。頼んだよ」
そうして午後の予定が決まった僕たちは別行動で、僕はカノン農場へとやってきた。
「す、すみませんー」
「あら、ノルズちゃんじゃないかい! どうだったい? 目的の人には会えたのかい?」
「あ、はい。オードちゃんでした」
「あはは、やっぱりあの子だったのかい。で、今日はどうしたんだい? また人探しかい?」
「あ、いや……。今日は牧草の種を探してまして……」
「牧草?」
「幼馴染? と再会して、その子が厩舎を直してくれたんです。牧草地になりそうなところも手入れしていて……なので、牧草の種を売ってそうなところって知ってますか?」
「そうかい……。じゃあノルズちゃんのところは牧場を始めるんだね。じゃあこれを持っておいき。うちの旦那がまだ元気だった頃にウチも牧場をしていてね。その時のあまりだけれども、まだ芽は出ると思うよ」
「え、その料金は……」
「もう捨てちまうものだったんだよ、だからいらないいらない! あ、けれどひとつお願いがあってね……」
「お願い、ですか?」
「子馬が一匹、実はまだうちにいてね。どこにも引き取り手がなくて困ってたんだ。荷物持ちにも移動にも使えると思うから、どうか引き取ってやってくれないか?」
「馬、ですか……」
「今日引き取ってくれるなら、当面の飼い葉とブラシをセットであげるよ。あの子も私だけじゃ見きれなくて、可哀想な思いをさせてるからね」
「今日!?」
「そう。どうだい?」
きゅ、厩舎の方はどうにかなるって言ってたしどうにかなるかな?
でも僕もいないことだってあるし……あ、でもチーかまがいるから寂しくないのかな?
「い、犬が一緒でも寂しくないもんですかね?」
「人がいるのが一番とは思うけれども、まあ今の一人っきりの状態よりは良いんじゃないかい? というか、てことはノルズちゃんも色々と出かけることが増えたんだね。おばさん、ちょっと嬉しいよ」
そう言ってアッハッハッと肩をバンバンと叩かれて、少し痛かったけれども、ここでも心配をかけていたんだなって少し申し訳ない気持ちになった。
勝手だけれども、カノンさんはこっちでも母さんみたいな人だから……。
そして今、その人が困ってる。
だったら僕は、僕は……!
「ひ、引き取ります!」
これからどんどん大変になっていくだろうけれども、それでも牧場を始めるなら頑張りたくて。
色んな人に背を押されて始めた、成り行きだったかもしれないけれどもそれでも頑張ろうと思うから。
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