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はじまりの夏
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「馬を引き取ってきた!?」
牧場について一番驚かれたのは、錆びたピッチフォークを磨いていたグロウにだった。
というか、この場にはグロウ以外の人間はいないわけなんだけども。
「馬って……お前、扱いがすごく大変だって聞くぞ? 大丈夫なのかよ?」
「うーん……やってみないとわからないけど、なんか目を見たら助けてって言われてる気がしたから。なんだかすごく寂しそうだったから、チーかまもいるし僕らも居るし平気かなって。あ、牧草の種も貰ってきたよ。あと飼い葉とブラシ」
「お前って……本当に時々こっちがびっくりするくらいに大胆な」
「そうかな?」
「そうだよ」
はぁあとため息をつかれた。おかしいな、そんなに変なことしたっけか?
「しかもこいつ、子馬って言うよりもう普通に乗れるくらいじゃないか。お前、馬に乗れるのか?」
「それは今から練習かな」
「本当、大胆な……」
「とりあえず荷物をおろしてっと」
「え、もう頭下げるのそいつ。お前に!?」
「うん、最初からそうだったよ。そういえばカノンさんも驚いてたけど、そんなに大変なこと?」
「大変っていうか……ああ、もういいや。考えるの嫌になってきた。お前、案外一回でヒョイッと乗れたりするんじゃねぇの?」
「そうかなー?どうだろ?」
飼い葉やブラシ、他の荷物をおろして馬用の鞍をつけてみる。
そうしてあしをかけて、ヒョイッと乗って見せれば、ペチペチと気のない拍手が送られてきた。
「だと思った」
「本当に乗れちゃった」
意外な才能の発見である。
「あー……なんかこう、やる気がみるみると減っていく気がする。というか減った。俺は午後はそいつと練習するから、お前はここの整地して種植えな」
「えー!一緒にしてくれるって言ったじゃないか!」
「うるせぇ! 目の前で神業見せられて負けてられるかよ!」
「神業って……」
心底呆れていると、グロウが馬の方へと近づいていく。
馬は少し怯えているようで、逃げたそうにちびちびとグロウとは反対方向へと逃げていっていた。
「なあ、そういえばこいつの名前は?」
「名前? ああ、リニカだよ」
ここに来る前につけておかないと変な名前をつけられると思ったから、つけておいたのだ。
ヒヒーンといなないて返事をしていたから、リニカの方も気に入ってるはず。
「りにかぁ!? 何だそのへんな名前」
「チーかまよりは良いと思ってる」
「チーかまっぽい色してるからいいんだよ! な、チーかま!」
その声に反応して、チーかまがまたワンと鳴く。本当にそれで良いのか、チーかま。なんか食べられそうな名前だよ、それ。
「さて、と……」
じゃあ自分の作業を終わらせるかと立ち上がって、クワを手に持ち耕し始める。
小石を取り除きながら畝を作るこの感覚は、僕は嫌いじゃやない。むしろずっとしていたいくらいだ。
「はええー」
そんな様子を見ていたのか、グロウが何かを呟いていた。
どうせ文句でもいているのだろうと判断して、僕は作業を続ける。
小さな小さな牧地。あっという間に終わってしまった。
「耕し終わったよーって、何をしているのグロウ?」
「いや、お前のもう一つの神業に見とれてた。さすが本職だわ」
「そうかな? まあ作地を作るときに散々やったから、もう慣れちゃったんだよ」
「まあ、この牧場半分ぐらいが作地だもんな。ざっと広場一個分くらい?」
「そんなもんになるのかな? こっちはその半分だし、そう考えればあっという間だよ」
「……いや、それでもはええよ。お前、農家の才能あったんだな」
「チートってやつ?」
「そうそう、チート。きっと俺たちがこっちに来る時に授けてくれたんだな。死んだの覚えてないけど」
「僕も覚えてない」
あははと笑い合いながら、ふたりで牧草の種を蒔いていく。これで三日もあれば芽が出て、少しずつ牧草地になるはずだ。
牧場について一番驚かれたのは、錆びたピッチフォークを磨いていたグロウにだった。
というか、この場にはグロウ以外の人間はいないわけなんだけども。
「馬って……お前、扱いがすごく大変だって聞くぞ? 大丈夫なのかよ?」
「うーん……やってみないとわからないけど、なんか目を見たら助けてって言われてる気がしたから。なんだかすごく寂しそうだったから、チーかまもいるし僕らも居るし平気かなって。あ、牧草の種も貰ってきたよ。あと飼い葉とブラシ」
「お前って……本当に時々こっちがびっくりするくらいに大胆な」
「そうかな?」
「そうだよ」
はぁあとため息をつかれた。おかしいな、そんなに変なことしたっけか?
「しかもこいつ、子馬って言うよりもう普通に乗れるくらいじゃないか。お前、馬に乗れるのか?」
「それは今から練習かな」
「本当、大胆な……」
「とりあえず荷物をおろしてっと」
「え、もう頭下げるのそいつ。お前に!?」
「うん、最初からそうだったよ。そういえばカノンさんも驚いてたけど、そんなに大変なこと?」
「大変っていうか……ああ、もういいや。考えるの嫌になってきた。お前、案外一回でヒョイッと乗れたりするんじゃねぇの?」
「そうかなー?どうだろ?」
飼い葉やブラシ、他の荷物をおろして馬用の鞍をつけてみる。
そうしてあしをかけて、ヒョイッと乗って見せれば、ペチペチと気のない拍手が送られてきた。
「だと思った」
「本当に乗れちゃった」
意外な才能の発見である。
「あー……なんかこう、やる気がみるみると減っていく気がする。というか減った。俺は午後はそいつと練習するから、お前はここの整地して種植えな」
「えー!一緒にしてくれるって言ったじゃないか!」
「うるせぇ! 目の前で神業見せられて負けてられるかよ!」
「神業って……」
心底呆れていると、グロウが馬の方へと近づいていく。
馬は少し怯えているようで、逃げたそうにちびちびとグロウとは反対方向へと逃げていっていた。
「なあ、そういえばこいつの名前は?」
「名前? ああ、リニカだよ」
ここに来る前につけておかないと変な名前をつけられると思ったから、つけておいたのだ。
ヒヒーンといなないて返事をしていたから、リニカの方も気に入ってるはず。
「りにかぁ!? 何だそのへんな名前」
「チーかまよりは良いと思ってる」
「チーかまっぽい色してるからいいんだよ! な、チーかま!」
その声に反応して、チーかまがまたワンと鳴く。本当にそれで良いのか、チーかま。なんか食べられそうな名前だよ、それ。
「さて、と……」
じゃあ自分の作業を終わらせるかと立ち上がって、クワを手に持ち耕し始める。
小石を取り除きながら畝を作るこの感覚は、僕は嫌いじゃやない。むしろずっとしていたいくらいだ。
「はええー」
そんな様子を見ていたのか、グロウが何かを呟いていた。
どうせ文句でもいているのだろうと判断して、僕は作業を続ける。
小さな小さな牧地。あっという間に終わってしまった。
「耕し終わったよーって、何をしているのグロウ?」
「いや、お前のもう一つの神業に見とれてた。さすが本職だわ」
「そうかな? まあ作地を作るときに散々やったから、もう慣れちゃったんだよ」
「まあ、この牧場半分ぐらいが作地だもんな。ざっと広場一個分くらい?」
「そんなもんになるのかな? こっちはその半分だし、そう考えればあっという間だよ」
「……いや、それでもはええよ。お前、農家の才能あったんだな」
「チートってやつ?」
「そうそう、チート。きっと俺たちがこっちに来る時に授けてくれたんだな。死んだの覚えてないけど」
「僕も覚えてない」
あははと笑い合いながら、ふたりで牧草の種を蒔いていく。これで三日もあれば芽が出て、少しずつ牧草地になるはずだ。
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